第五十二話 ログハウスをつくろう!
「さあ、今日から本格的に家づくりを始めるぞ」
俺はウルフとゴーレムを横に並ばせながら、小川のほとりに広げた地図や資料に目を落とす。
実は今回、地球式のログハウスづくりノウハウをまとめた本を【ショップ】でゲットしてあって、それを参考に進めていくつもりだ。
「えーっと、『はじめてのログハウスDIY』によると、まずは道具の確認からって書いてあるな」
ウルフが「ガウ?」と首をかしげて、本の表紙をクンクンと嗅ぎまわる。
ゴーレムはいつもの無表情だけど、なぜか肩を傾けて覗き込んでくる(ように見える)。
「よし、みんなで確認するぞ。斧とノコギリ、ロープ、釘、粘土、苔……あとはハンマーやネジもOK。あ、それと地球本いわく『測量用の道具』もあったほうがいいらしいけど、まあ最悪は目測でなんとかなるか」
地球の本にはレーザー測定器とか載ってるけど、さすがにこっちじゃ手に入らない。代わりに【ショップ】機能で買ったメジャーがあるから、それで充分だろう。
あと書籍曰く、「家づくりには計画が大事!」とのことだが、俺はちょっと大雑把な性格なんだよな。ウルフは「ガウガウ!」と尻尾を振って「細かいことはいいんじゃね?」みたいな顔をしている気がするけど。
「だめだ、計画大事って本に書いてあるんだから、俺もちゃんと読むぞ」
俺は慌ててページをめくり、設計図代わりのざっくりスケッチに目を落とす。
なるほど、基礎と土台をしっかり作るのがログハウス成功の要らしい。
「この本によると、丸太だけじゃなく、床や屋根用に板材もあると便利って書いてるな。あ、釘のサイズは数種類あったほうがいいんだって。なるほど……」
ここでウルフが「ガウガウ!」とこちらをチラッと見る。
なんだ、急にアピールか? まさか釘を買い足すべきじゃないかって? 俺も同意見だぞ。
「よし、ゴーレム。お前は丸太運び専門ってのは変わらないけど、今度追加で板材も運ぶかもしれないから、覚悟しといてな」
ゴーレムは「ゴゴ……」と唸り音みたいな反応。
たぶん「任せろ」ってことだろう。
この本によると、板材で床を張ると冷気対策になるそうだし、釘やネジを使って補強すれば頑丈さアップ。
俺はメモ帳に「床用板材」「短めの釘」「長めの釘」「ネジ」などを書き加える。
あとは森で追加の苔や粘土、そして松ヤニ的な防腐アイテムも集めないと。
「本当、結構やること多いな……でも本を読んでから動くと、ミスが減りそうだ」
ウルフは「ガウガウ!」、多分「がんばろー!」という応援だ。
とりあえず、まとめだが……。
斧:木を伐採するのに必須。先日までは刃こぼれした小斧を使ってたけど、新調したやつは切れ味バツグン。
ノコギリ:丸太や木材をカット。刃こぼれしにくいらしい。
釘・ネジ:いくらログハウス風とはいえ、固定用には釘が必要。森で拾った粘土や苔だけじゃ心もとないしな。
ロープ:森で採取した繊維から作ったものに加え、丈夫な市販ロープを合わせて使う。
粘土・苔:すき間埋め用の自然素材。
ハンマー・金づち:釘打ちには必須。金属製のしっかりしたやつ。
その他:水筒(浄水機能付き)、虫除けスプレー、ウルフ用の特製骨付き肉などなど。
て感じかなぁ。
とうわけで。
いよいよ森で木を伐採する段階に入る。
例の本曰く、「倒す方向を考え、周囲の安全を確保するべし」とか「切り込みを入れる角度に注意」とか書いてあって、めちゃ真面目だなあ。
「よし、ウルフは周囲の安全確認をお願い。ゴーレムは……まあ、大丈夫か」
ゴーレムは重たいものが落ちてきても平然としてそうだし、ウルフは「ガウ!」と声を上げて近くの小動物やモンスターがいないかチェックしてくれてる。
そして俺は斧をギュッと握りしめ、一番使えそうなスギっぽい木の根元に当てる。
「本に書いてた通り、最初に受け口を作るんだよな……斜め下に斧を入れて、それから水平にもう一度……よっこらせ!」
ザクッ、バキッ……という音とともに切り込みができあがり、次は反対側から追い口を入れる。
木がグラグラと揺れ始めるから、ウルフが「ガウガウ!?」とやや焦ってる風。
「大丈夫、大丈夫……倒れる方向はコントロールできるはず」
ズシャァ……と木が傾き、狙ったとおりの方向へズドーンと倒れた。
見事成功だ。
やっぱり本のとおりにやると安心感が違うね。
ゴーレムが「ゴゴゴ……」と近づき、倒れた木をムンズと抱え上げてくれる。
頼もしすぎるだろ。
「さて、次は枝払いと皮むきだな」




