表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/69

第四十五話 コツコツと化石集め

【博物館】に入り、足を進める。


入口から吹いてくるひんやりした空気と、なんとも言えない神秘的な雰囲気が相まって、いつ来てもワクワクする場所だなーと思う。


ウルフもポカンと口を開けてキョロキョロしている。


「さて、化石標本エリアはと……」


一人つぶやきながら、歩いていく。


ウルフが「ガウッ」とひと吠えして「早く飾ろうぜ」みたいに尻尾を振ってる。


はいはい、わかったよ。急かすなって。


お、ここだな。


手元の化石を【博物館】機能に登録すると、それぞれが淡い光を放ち始めた。


「おおっ……!」


思わず声を上げてしまった。


すると光の筋がスーッと天井に伸びていき、あらかじめ決められたのかのように展示スペースに集まっていくから不思議だ。


ウルフは「ガウガウ?」と不思議そうに首をかしげている。


光の筋がワイヤーフレームみたいな形をつくり始め、それぞれが立体的なモデルとして完成していく。


この演出には何度見てもウットリする。


やっぱり【博物館】機能ってスゲェ。


アップデートで追加される理由もわかったぜ。


けっこうつくるの大変そうだし。


文句言ってごめん、女神。


登録された化石標本は、


ギガントサウルス(歯)

エルダースネーク(頭骨)

シェルドラゴン(甲羅の破片)

トリロバイト(全身)

ジャイアントクラスト(貝殻)

アンシェントファーン(全体)

メガバグ(翅)

ストームフィッシュ(骨格)


って感じだ。


「いやぁ、そろっていくの、楽しみだなぁ!」


思わず口を押さえて見入ってしまう。


「ん? これは……」


中でも、ジャイアントクラスト、アンシェントファーン、メガバグはこれひとつで化石として全体模型のようだった。


ステータスに【化石模型が完成しました。復元されます】と表示されている。


「おお、まさか……!」


単なる化石から、シュワワワワと淡い光を放ち、「キラリン☆」みたいな効果音が出たと思ったら、


実際に生きていた当時の姿を取り戻した!


「おお、これが復元ってやつか! めっちゃいい! 感動する!」


ウルフも「ガウウウ!」と吠えながらトテトテ走り回ってる。おいおい、テンション上がりすぎて展示ブースにぶつかるなよ?


すげえ、この生き物たちが、この異世界のもりの大昔には、生きて動いてたんだな……。


生命の神秘を感じで見入っている俺だが、


「あ、でも【復元】はされたけど……さすがに【復活】はしない……のか?」


みたところ、生きた時の姿を取り戻したはいいものの、たとえていうならば精巧な標本といったところで、動き出しはしなかった。


「ま、さすがにそうか」


ただ、それでも十分に神秘的だ。


まるで何千年も昔の姿をここに再現してるんだもんなー。異世界のスケールってホント、侮れない。


「やるじゃん、女神! 見直した!」


なんて、心の中で半分茶化しながらも、本音ではめちゃくちゃ感謝している。


こういう機能があると、集める楽しさが何倍にもなるよな。


しかも復元された生き物たちはとにかくデカいし、迫力満点だ。


古代にこんなヤツらが闊歩してたとか、想像するだけで鳥肌モノである。


ウルフは「これ強そうだな……」みたいに首をかしげているが、正直、同感だ。


「あ、そうだ」


こいつら、売ったらいくらになるんだろ(守銭奴)。


よこしまな考えが脳裏に浮かぶ俺。


展示をひと通り眺めたところで、ふと【ショップ機能】を開いて売却価格をチェックしてみる。


すると……


「……!」


それぞれが1万クルナを超える高額表示。


いいねぇ!! これはいいですねぇ!!


これから、どんどん発掘して、化石を完成させて金持ちを目指すぞ!


ウルフが「ガウ?」と不思議そうにこっちを見てるが、まあ気にするな。


「まあ、そりゃそうか。貴重な化石だもんな」


軽く独り言を漏らしながら、しかしここで売っちゃうのは惜しい気がする。


苦労して発掘してきたロマンの塊を、即金でサヨナラなんて……。うーん、モヤモヤ。


「せっかく飾ってるんだし、もうちょっとだけ置いとこ。売るのはいつでもできるしな」


こういうふうに収集物が飾られているのを眺めるだけで、なんというか満たされるんだよな。


ウルフも「ガウガウ!」と元気良く吠えて賛同してくれている(と勝手に解釈)。


  ※  ※  ※


博物館で化石の展示を終えたあと、俺は高台をさらに先へ行ってみようと決意。


ロマン好きにゴールはない!


「今度は、もうちょっと奥のほうで発掘してみるか」


ウルフと一緒に高台の奥のほうにトコトコ進んでいると、見慣れない光景が目の前に広がった。


「な、なんだ……これ?」


崩壊した建物の残骸があちこちに散らばり、石造りの壁や柱が倒れて地面に埋もれている。


苔むした石の表面には古代文字や模様が彫られており、かつての文明の痕跡を感じさせる。


ガレキがゴロゴロしていて足元は不安定だが、どこか荘厳な雰囲気が漂っている。


「これって……昔の文明の遺跡か……?」


こんなところに?


と思ったが、化石がたくさんあるような、昔の地層がある場所だから、おかしくはないのかもしれない。


ウルフが「ガウ?」と首を傾げながら慎重に歩き回り、崩れた石の隙間を嗅ぎ回っている。その姿を見ながら、俺は足を取られないよう慎重に進む。


「この異世界のもりの文化とは、かなりかけ離れた印象だな……。あの発掘機と同じ匂いを感じるぜ……」


目の前に広がる光景はまさに古代文明の遺跡そのもので、壁の一部には精巧な彫刻が残されている部分もある。


長い時を経て朽ち果てたとはいえ、その美しさには息を呑むものがあった。


近づいてみると、石のブロックには古めかしい文字みたいな模様が彫られている。


妙に芸術的だけど、崩れてるから全貌は分からない。


でも、なんだか胸がドキドキする。こういう遺跡って、絶対何か秘密が眠ってるパターン……!


「すごいな、これ……」


辺りをキョロキョロ見回していると、ウルフが「ガウガウ!」と鳴いてなにかを伝えようとしていた。


「どうした?」


ここほれワンワンの要領で、ウルフが、地面に落ちているなにかをしきりに前足でつっついている。


「……これが気になるのか?」


それをそぉっと手に取ると、脳裏にウィンドウがパッと現れた。


【魔導ゴーレムの腕】


「……は?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ