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第四十三話 縞模様地層での化石発掘

しばらく歩き続けると、足元に小石や岩が増えてきてゴツゴツとした感触が伝わってくる。


斜面は本格的な岩場になり、ところどころ苔が生えているから滑りそうで怖い。


ウルフは鼻先で匂いを確かめながら、何か新しい発見がないか探索している様子だ。俺は慣れない岩場に手こずりつつ、転ばないよう必死にバランスを取る。


「うわ……ここ結構急だな」


ちょっとした崖っぽい段差をロープで降りる場面もあって、なかなかハードな道のりだ。太陽はとっくに天頂を過ぎており、そろそろ午後も中盤かと感じる。


やがて、先ほど遠目で見えた巨大な高台が目前に迫ってきた。


背後の森を振り返ると、随分と歩いてきた実感が湧く。


地表には縞模様の地層がむき出しで、強大な自然の力を感じる。崖の高さは数十メートル、下から見上げると首が痛くなるほどだ。


「ここを抜ければ高台にたどり着く……よし、やっと見えてきたな!」


ウルフも「ガウッ」と歓声のように吠え、少し走り回っている。


足元には転がる石や砂利が多いが、ウルフが注意しながら進んでくれるので助かる。


「さて……、いよいよ秘密兵器を出すときがきたな!」


遠くから観察していた時も、おそらくこの高台登りはかなり険しい道のりになることは覚悟していた。


そして、その中でも断崖に近いような場所に遭遇することも。


なので。


こんなこともあろうかと!


用意していたのだよ!


「崖のぼりのための、【はしご】を!!」


俺は荷物の中から木材とロープを取り出し、お手製のはしごを組み立て始める。


実は昨日の夜に設計を考えておいたのだ。


長いロープと木材を活用して、簡易的なはしご兼用の足場を作るプラン。


ウルフが「ガウガウ!」と声を上げ、「早く登ろうぜ」と言わんばかりだが、焦りは禁物。念には念を入れて固定しないと、大怪我につながる。


「でもその前に……ウルフ、ちょっとじっとしてろ」


ウルフの胴体にロープを巻き、ハーネスのように装着させる。


これにはわけがあるが、とりあえず今は大人しくしておいてくれ。


ウルフは「クゥーン」と鳴いて少し緊張している様子。


「大丈夫だって。もうしわけないけど、俺が登りきるまで、ここで待っててくれな」


「がう」


はしごを高台に立てかけ、慎重に足をかけて登り始める。


木製のはしごはしっかり固定したつもりだけど、強風が吹けばどうなるかわからない。


手汗がじっとり湧いてくるのを感じるが、ウルフが下で見守ってくれているので、弱音は吐けない。


「おっと……ここは滑りやすい」


高台の表面に苔のようなものが付いていて、踏み込むとズルッとなることがある。


一歩一歩、岩肌を確かめながら登り、何十メートルもある崖を手と足を動かして登り切る。


背中のリュックが重くて息が上がるが、登るにつれて見晴らしが良くなり、下界の景色が小さく見える。


いけいけ……!


よし、もうちょいだ……!


そりゃあああああ。


「ふう……やっと登れた!」


高台の上に身体を乗り上げ、肩で息をしながら一息つく。


遠くには森や小川が広がり、ずいぶん高い場所まで来たんだと実感する。


少し強めの風が吹くが、汗ばんだ肌には気持ちいい。


「おい、ウルフ! 今からお前を引き上げるからな」


高台の上からロープを引っ張り、下にいるウルフをリフトアップする要領で慎重に引き上げる。


最初は足をバタつかせていたが、途中からは尻尾を振って嬉しそうにしているから大物だ。


「よし、あと少し……頑張れ、ウルフ!」


最後の力を振り絞ってロープを巻き上げ、ウルフが高台の上に到達。


地面に着地したウルフは「ガウガウ!」と駆け回り、苦労を知らずに楽しんでる様子だが、その姿を見ると疲れが吹き飛ぶようだ。


そうして、最後にはしごを【収納】し、崖のぼり、完了!


「お前も頑張ったな! ここからが本番だぞ」


ウルフの頭を軽くなでると、さらに尻尾をブンブン振って応える。


高台の上に広がっていたのは、周囲の森とはまるで異なる光景。


木々がまばらにしか生えておらず、大地がむき出しになっているエリアが多い。まるで森の一角だけが剥ぎ取られたような、不思議な空間だ。


「ここが……【はげ山】か」


もちろん、俺がいま適当に決めた名前だけどね。


ウルフが地面をクンクン嗅ぎ回り、時折キュッキュッと足で地面をかいている。


苔や草が少ない代わりに、大小さまざまな岩や石がゴロゴロと転がっているのが目に入る。縞模様の地層が剥き出しになっていた。


「なんだ……? まるで何か巨大な力が地面を削り取ったみたいだが……」


以前、遠目に見ただけで辿り着けなかったこの場所。


地層がむき出しである上に、高台を登らないと来られないから、相当レアなエリアだろう、と予想したのだ。


こういうとき、俺が良く知っているゲームであれば、貴重な化石や珍しい鉱石、あるいは謎の遺跡だって眠っている……はず!!


なにより、高台にたどり着く前から、そのあたりの壁が地層になっているし、その期待はしてもいいと思うんだ!


「さあて……化石掘り、はじめますか!」


俺はスコップとハンマーを握りしめ、次の大発見に胸を高鳴らせた。


ウルフも「ガウガウ!」と吠えて気合十分だぜ!!




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