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第三十五話 巨大扇風機、ゲットだぜ!


※ ※ ※


「さあ、いよいよメインイベントだ!」


俺は木材を広げ、巨大な羽根を作る作業に取りかかる。


水車からの動力を伝える先……巨大扇風機作りに取り掛かる。


ここが今回のDIYの花形と言える部分だ。


軽さと強度を両立するため、薄い板をリブ構造で補強し、曲げながら成形する。


もしくは平板を斜めに張り合わせてもいいが、少しでも効率のいい送風を目指したい。


「バランスが大事だから、全部の羽根の長さと重さをきっちり揃えないと」


エンバーが重さを量る秤を用意して、一枚一枚丁寧にチェックする。


ウルフは完成した羽根板をそっと口でくわえて運んでくれる。


中央のハブとなる部品は、念入りに作って強度を高める。


ここが壊れたらファン全体が吹っ飛ぶ恐れがあるからだ。羽根の枚数や配置角度は設計図どおりに慎重に合わせていく。


「こっちはどうだ、エンバー?」


「大丈夫です、ぴったり揃ってます。少し傾きを調整すれば振動も減らせそうです」


なんと、水車を作る時は、ただただ木でできた部品や素材に不思議そうにしていうことを聞くだけだったドラゴンが、今では内容を理解して俺の質問に当意即妙に返してくる。


やっぱりこのベビードラゴン族はかなり知能が高いな!


かなり助かるぜ。


俺たちうまく連携し、巨大ファンの組み立てが意外なほどスムーズに進む。最後に軸としっかり噛み合わせて固定し……。


木製の巨大扇風機が完成した。


【ショップ】機能でウィンドウを表示してみる。


【木製の巨大扇風機:DIYでつくられた、巨大な扇風機。電動ではないので、どこかから動力を確保する必要がある。要メンテナンス】


「おお……、自作のものにもしっかりフレーバーテキストが完備されている……」


クソ女神が目視でやってるわけないし。


どうやってるのかな、AIによる自動生成か?


あとで【燃焼乾燥機】についても確認してみるか!


というわけで!!


くるっと一回転してぇ~~


「巨大扇風機、ゲットだぜ!!」


決めポーズ!!


※ ※ ※


すべての組み立てが終わり、ついに試運転の時がやってきた。


川から引いた水路を開き、水流を水車へ当てる。


最初はゆっくりと回り始めた水車が次第にスピードを増し、ベルトを介して巨大ファンの羽根を回転させる。


「エンバー、ウルフ、気をつけろよ! あんまり近づくと危ないからな」


俺は防護柵の外側から見守る。バサバサ……という風切り音を立てて、扇風機の羽根が回り始める。


勢いよく吹き始めた風が、周囲の木々をザワザワと揺らし、ウルフの毛並みをふわっと撫でていく。


「すごい……本当に風が起こせてます!」


エンバーが歓喜に満ちた声を上げる。


ウルフも嬉しそうに尻尾を振り回している。


俺はぐっと拳を握り締め、思わず叫びそうになるのをこらえた。


成功だ――少なくとも、予想以上の風力が確保できている。


「よっしゃあ……これでミートラットたちを誘き寄せる準備は整ったな」


大がかりな装置だから、まだまだ改良の余地もあるし、安全面での課題も多い。


部品のスペアも必要だろうし、メンテナンスが大変な部分にはあらかじめ調整をかけておくべきだろう。


(これがうまくいけば……)


けれど、こうして仲間と一緒に作り上げたという喜びが湧き上がってくる。


(あとは、取り扱いに際してのマニュアルを作れば、俺がいなくなった後もドラゴンたちがこの【装置】を使うことができる)


そうすれば、俺がいなくても、村のみんなはミートラット不足に悩まされず、腹ペコにならずに済むぜ。


俺は水車と巨大ファンが生み出す力強い風を感じながら、エンバーとウルフに微笑みかけた。


  ※  ※  ※


完成した巨大扇風機の前に、俺たちはフルーツボムをセットした。


風がビュウウッと吹き抜ける音が辺りに響き、羽根の回転がつくりだす風が少し肌寒いほどだ。


だが、その風こそが今の作戦の要。


ミートラットたちをおびき寄せるために、この扇風機と香りの強いフルーツボムを合わせて使うのだ。


「ここに置けばいいんですね」


エンバーが木のカゴを持ち上げながら確認してくる。


木製のカゴは見た目以上に頑丈で、ちょっとやそっとでは倒れないように工夫してある。


「ああ。ミートラットが簡単に持ち去れないように、このカゴで固定しておくんだ。とにかく、匂いだけは拡散させたいからな」


カゴの中には、DIY作業台で作成した香りの強いフルーツボムが収まっている。


ドロッとした果汁がほんの少しにじみ出ていて、甘酸っぱい独特の匂いがすでに漂っていた。


扇風機の風がその匂いを遠くまで運んでくれるはずだ。


「これ、ほんとに効果あるのでしょうか……?」


少し不安げなエンバーに、俺は笑みを浮かべながら自信を込めて頷く。


この作戦は実地経験が少ないけれど、俺なりの確信をもって考案したものだ。


「大丈夫だって。きっとこの匂いでミートラットが戻ってくる。匂いはやつらにとって一番大事な感覚らしいからな」


【ミートラット図鑑】には、そう書いてあった。


「ガウ!」


ウルフが尻尾を振りながら賛成の声を上げる。


風が彼の灰色の毛並みをふわりと揺らしていた。


俺たちはフルーツボムをセットし、巨大扇風機をガコンと稼働させてから、その場を後にする。


まだ風の勢いは控えめだけど、これが一晩じっくりとミートラットの嗅覚に働きかけるはず――。


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