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第三十四話 巨大扇風機のDIY製作


※ ※ ※


「さあ、次はこれを作るぞ!」


「巨大、扇風機、ですか……?」


「ああ。しかも電力は水力発電で調達する、エコ仕様だ」


俺はDIY作業台の前で設計図を広げながら、エンバーとウルフに向かって勢いよく宣言した。


大きな紙には、小川に設置する水車と、それを動力源とする巨大扇風機の構想が描かれている。


「これは……?」


「小川の水を利用して風を起こす装置の設計図だ」


エンバーが図面を覗き込みながら、興味津々といった表情で声を上げる。


彼女は器用な手先を持っているから、きっと細かい作業も手伝ってくれるだろう。


その隣でウルフが「ガウッ」と吠え、まるで自分も参加したいと言わんばかりに尻尾を振った。


(いざとなれば試作してみて、失敗があれば直していけばいい。あとは安全をしっかり確保しながら、少しずつ完成へ近づけるだけだ)


俺は大きく深呼吸して、まずは資材のチェックから取りかかることにした。


森の中から、燃焼乾燥機をつくるさいに、たっぷりと木材を取ってきている。


これらをDIYツールで加工すれば、部品はすぐにつくることができるだろう。


DIYマニアの腕が鳴るってもんだぜ!!


  ※  ※  ※


そうして俺は、水車の部品をせっせとつくりはじめ……。


一通りそろったところで、現地ーー洞窟村の近くの小川まで足を運んだ。


「よし、まずはここに水車を設置しよう」


そして流れを観察する。


水流の速さや水量、増水時の危険性などを一通り確認しておくのだ。


エンバーもウルフも俺と一緒に川の水際を行ったり来たりしては「この辺りなら水の流れが安定しています」「そこに杭を打てば大丈夫そうだな」と意見を交わしながら候補地を探っていく。


「エンバー、木材を運んでくれ」


「はい!」


エンバーが意外なほどの力で木材を抱え、ウルフはその隣でガシガシと地面をひっかき、杭を打つ場所をならしている。


俺は丸太を組んで水車の枠組みを作るため、ノコギリとカンナを使って大まかな形状を切り出した。


「下掛け水車でいくか……上掛けにするか……」


この川の流れなら、シンプルに“下掛け(アンダーショット)”方式が妥当だろうと俺は考えていたが、もし落差をしっかり確保できれば“上掛け(オーバーショット)”のほうが効率がいい。


結局、現地を見て判断した結果、落差を作るには大掛かりな工事が必要になりそうだったので、今回は下掛け水車を選択することにする。


「今回は直接川の流れを利用した下掛け方式だ。羽根板(パドル板)を取り付けて、水流がバシャッと当たるようにして回転させる。大きめの防腐処理済み木材を使って耐久性を確保するぞ」


羽根板を均等に取り付ける際は、どうしても寸法の誤差が出がち。


ミリ単位で測りながらきっちり打ち込んでくれる。ウルフは器用に口で小さな羽根板を運び、投げ渡してくれるので助かる。


「これをしっかり補強しないと、増水したら全部流されちまう」


杭を地面に打ち込み、石で周囲を固め、さらに流されないようロープで固定。


ちょっとやりすぎかなと思うくらい頑丈にしておく。


小型モデルとはいえ、台風や豪雨が来ると一瞬で流される可能性があるから注意は必要だ。


「ふぅ……これで水車の基礎は完成だな」


川に羽根板がひたひたと浸かる程度の高さで、試しに水を流してみる。


バシャッ、バシャッと板に水が当たるたび、水車がギシギシと音を立てながらゆっくり回転し始めた。


「へえ……! これが水車ですか……!!」


とエンバーが感動している。


ウルフも「がうがう!」と小さく感嘆の声を上げる。


俺もホッと胸を撫で下ろした。


※ ※ ※


「次は、この水車から扇風機まで動力を伝える方法を考えよう」


俺はDIY作業台で用意してきた滑車プーリーやベルトを取り出す。


いくつかサイズの異なる滑車プーリーを組み合わせることで、回転数や回転運動トルクを調整できるようにするのだ。


エンバーが滑車プーリーを手に取り、少し首を傾げる。


「これは、一体なんなんですか? 大きいのや小さいの……いろんなものがありますね」


「ああ、水車で得たエネルギーを伝達するためのアイテム……ってところかな。まずは俺のいう通りに組み立ててくれないか」


「はい、わかりました!」


おう、いい返事。


めっちゃいい生徒だな。エンバーは。


「水車側に小さいの、扇風機側に大きいのをつければ、回転運動トルクを増やせる。逆に水車側が大きく、ファン側が小さければ回転数を上げられるんだ。今回は大きな羽根を回すからトルク重視でいこうと思う」


「???? はい? わかりました?」


「ぐるるるるう〜〜??」


エンバーとウルフが、全くわかっていない表情で返事をする。


まあいいんだ。あとで全てマニュアル化するから、今は俺のいう通りに手伝ってくれるだけで。


「でも、強すぎるトルクでファンがガタガタ壊れる可能性もあるな。そこは後で試運転しながら調整だ」


ベルトの張り具合も大事だ。緩すぎると空転し、きつすぎると軸に負荷がかかる。


エンバーが手伝ってくれるおかげで、回転軸と滑車プーリーの取り付けがスムーズに進んだ。



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