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第三十三話 仕組みのシステム化

ミートラットをおびきよせる【ラット誘引フルーツボム】は完成した。


よし、これを使えば、ドラゴンたちのハラヘリ事情は改善する……!


と、いうのは簡単なんだが。


そこで俺は少し考えた。


確かにフルーツボムで誘導したら事態は解決する。


しかし、もしそれが一過性のものだったらどうする?


ミートラットを誘き寄せたはいいものの、すぐにまた逃げ出してしまったら?


「ソータ様、どうしたのですか?」


フルーツボムが完成したとの報を聞いて、隣までやってきていたエンバーが不思議そうに尋ねてくる。


「ああ、ちょっとな……」


そう。


一時的なミートラットの帰還では意味がないのだ。


あの森の南東にあった古代遺物『魔導採掘機』。


止めたはいいものの、あれを稼働させた【何者か】が存在している。


そいつがもし再び稼働させてしまったら、せっかく誘き寄せたミートラットは、また逃げてしまうんじゃないだろうか。


ベビドラ族たちも、毎回あの崖まで行って魔導機を止めに行くのも面倒だし、何よりヴェノム・ホーネットがウヨウヨしてるんだ。


いかなくていいに越したことはない。


稼働させたヤツが危険な存在である可能性も捨て切れない。


そもそも俺がずっとこの洞窟村にいるわけにもいかない。


「おーい、ソータ様ー」


エンバーが目の前でパタパタと手を振っているが、未だ集中して頭を働かせている俺はそれどころじゃない。


どうすればいい?


どうすれば、このドラゴン村の問題を完璧に解決できる……?


どうすれば……。


「ソータ様!!!!」


ゴオッ!!


っと、目の前を紅蓮の炎が横切った。


「お熱っちいいいいい!!!」


超絶高温度の火の奔流を受け、俺は思わずのけぞった。


「テメェ!! なにすんだよ!!」


あぶねええええええ、今の直撃してたら、完全に死んでたんだが!?


「やっと、こっちに気づいてくれました!」


「いや、さっきから気づいてたって!! ちょっと考え事してたんだよ! エンバー!」


「あっ……そうだったんですか……それは申し訳ございません」


ペコペコと頭を下げるエンバー。


いや、見たらわかるよね!? 考え事してたくらい!?


それになんか、都合がいい時だけ、ファイヤーブレスを吐けてないか!?


「あ!」


とかなんとかやってると、不意に俺は思いつく。


この村を持続させる方法を。今流行りのSDGsってやつだ。


「これで行こう!」


※ ※ ※


俺がやるべきなのはマニュアル制作だ。


この【ミートラット誘き寄せ作戦】ーー


①森の中で素材をゲットしてくる。


②それらを燃焼乾燥機にかけてミートラットの好物を作る。


③その好物を使ってミートラットを誘き寄せる。


この一連の作業をシステム化するんだ。


いわゆる【ラット誘き寄せ装置】がずっと長く稼働するように、俺がいなくても誰でも扱えるように、システム化させればいい。


ブラック企業で働いていたサラリーマンのイロハがこんなところで生かされるなんて……。


異世界どうぶつのもりは人生のおさらいにぴったりなのかもしれないな。


というわけで。


まず、①については問題ない。誰でも採集は可能だ。


次に②。燃焼乾燥機については、どうすれば稼働して、故障したときにどうするか、部品が摩耗した時にどれを変えるかなどが記載されたものを作ってエンバーたちに託しておくのだ。


俺はフルーツボムを【合成】で作ったが、そうでなくても混ぜて好物はつくれる。


いい意味での【歯車化】、【誰がいなくなっても稼働するスキーム】を作ればいい。


そのために、③にあたる【装置】を作ろう。


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