第二十七話 DIY作業台でつくるとっておきの合成アイテム
DIY作業台を素早く展開する俺。
その上で【ショップ】機能でまずスズメバチ用の噴射スプレーを購入する。
両替手数料は相変わらずの50%。
そして地球アイテムの値段は5000円なり。
ぼったくり価格が半端ない。
独占企業のデメリットが濃縮されているが、このクソ女神のネットショップを通さない限り購入できないのだから仕方ない。
……仕方ない?
なんかこの理不尽インフレに慣れてきてないか!?
「ちくしょう、時間がない……」
くそ、だとしても、今ははそんなことを考えている場合じゃない……!
あとでじっくりこの件は恨み目録として記録しておこう……!
さあ、次の合成素材だ!
ギガマンティス戦で使用しなかった魔結晶を準備する。
「この組み合わせでいけるはず!」
作業台のウィンドウを操作し、スプレーの効果と魔結晶の特性を見比べる。
スプレーは蜂を殺す成分を含んでおり、魔結晶はその効果を大幅に強化できる。
完成したのは【殺蜂魔石】。
さらにそれに、もういちど地球アイテムの噴射スプレーを掛け合わせる。
ドロップされたのは異世界の巨大蜂に致命傷を与える噴射スプレーだ。
『魔蜂専用毒煙スプレー:広範囲に毒と煙を撒き散らす。ハチや小型の飛行系生物に効果絶大』
ウィンドウに表示されたその説明を見て、俺は一息ついた。
「できた!」
エンバーが不安げな表情で尋ねてきた。
「ソータ様、何を作ったんですか?」
「ハチ専用の遠距離武器だ。これで一掃する!」
ウルフが「ぐるるるる……!」といまも祠の入り口付近を威嚇してくれている。
頼もしい相棒だ。
「サンキュー、ウルフ、あとは俺に任せてくれ」
「がう!」
吠えながら尻尾を振っている。
「さあ、反撃開始だ!」
俺は祠の出口に立ち、毒煙スプレーのボタンを力強く押した。
ブシュウウウウ!!
緑色の煙が勢いよく吹き出し、ヴェノムホーネットの大群を包み込む。
その煙は広範囲に広がり、あっという間に祠の周辺を覆った。
「ギイイイッ!!」
ハチたちは羽を震わせながら空中で暴れ始めた。
毒と煙が呼吸器に侵入し、体を掻きむしるように暴れる姿が見える。
その動きが徐々に鈍くなり、次々と地面に落ちていく。
よっしゃあ!!!
魔熊を瞬殺する巨大バチでも、科学のチカラには叶うまい!!
さすがっす! 地球のサイエンティスト様方ありがとう!!!
バタバタと羽音が止まり、祠の周囲はハチの死体の山となる。
「やったぞ!」
俺は息を整えながら、スプレーをしっかりと握り締めた。
エンバーとウルフが歓声を上げる。
「ソータ様、本当にすごいです!」
「ガウガウ!」
と思ったのも束の間、
「あ……ダメです、まだまだホーネットが襲ってきます!!」
「ええええええ!?」
おそらく、俺たちが祠で作業をしている間に、ヴェノムホーネットは仲間を呼んでいたのだろう。
さっきの大群よりも何倍にもその数は膨れ上がっていた。
「げ……まずいな」
全然、需要(?)と供給があってない。
供給=スプレーが圧倒的に足りない。
需要=毒蜂がどんどん増えてくる。
ヴェノムホーネットさん、仲間多すぎじゃね!?
虫の一致団結感は、異世界でも健在だった。
うじゃうじゃと集まってくるホーネット。
こんどこそと言わんばかりに、祠の前で攻勢をかけようとブブブブ……と対空している。
しかもなんか、めっちゃ怒ってる気がする。
そりゃそうか、目の前には大量の仲間の死体があるわけだから。
心なしか、蜂のボディが赤く変色している気がする。
これってまさかまた怒りゲージMAXってやつ?
この世界の昆虫ってキレたら必ず赤くなるみたいな掟があるのか!?
「ソータ様、どうしましょう!!」
うるうる泣きそうな顔でこっちをみるエンバー。
確かにどうすっか……。
うう……。
マジか……。
仕方ねえ……。
あれをやるしかないのか……。
今後のことも考えて、やらなかった手段が一つだけ残ってる。
しかし!
今は出し惜しみしている場合じゃねえ!!
「しゃあねえ……こうなったら!!」
俺のDIY作業台が火を噴くぜ!!
再び作業台を出現させる俺。
「今度の手順はシンプルだ! すぐできるから待ってろよ!!」




