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第二十六話 巨大バチ退治の秘策

 森の南東に進む一行。その静寂を突如破る不気味な羽音。


 「……ん? この音、なんだ?」


 俺が顔を上げると、空中に大群のハチが現れた。その姿を見て、思わず息を呑む。


 「おいおい、なんだよあれ!?」


 目の前に現れたのは、体長30センチはありそうな巨大なハチ。


 全身が黒光りし、鋭い針が鈍く光っている。しかも、大群だ。


 「ソータ様! あれは『ヴェノムホーネット』です!」


 エンバーが叫ぶ。


 「ヴェノムホーネット?」


 もうなんというか、名前だけでもうヤバそうな気がする。


 ヴィラン感ある。


 絶対に友好的じゃなさそう。相手昆虫だし、ギガマンティスをはじめとしてインセクト系とは対話が通用しなそうだ。


 「非常に攻撃的で、毒のあるハチです! その毒は恐ろしくて、魔熊10頭が刺されて即座に死に至るほどなんです!」


 「また魔熊!? どんだけたとえに使われるんだよ! 完全に東京ドームじゃん!」


 突っ込みを入れるものの、事態は全く笑えないレベルだ。


 魔熊さんとはお会いしたことはないが、まあリアル世界の熊とたぶん変わらんだろう。


 そんな熊さん、なんか昔テレビでスズメバチの針なんて全く効かずに、ガンガン巣を荒らしてるって映像を見たことがある。


 つまり、スズメバチにとっては熊は天敵なのだ。


 そんな熊を、この異世界の巨大バチは一匹の毒で10頭殺しちゃう……


 ってことですかぁああああ!?


 「いや、それもっと前に言ってくれてもよくね?」


 「言ってしまうと、ソータ様が一緒に来てくれないかと思いまして……」


 「なんかところどころ、気を遣うポイントズレてるよね。きみ」


 それがベビドラ流なのだろうか。非常に迷惑である。


 って、そんなこと言ってる場合じゃねえ!!


 目の前の光景に足がすくむ。


 羽音がどんどん大きくなり、耳をつんざくような不快感が全身を走る。


 体長30センチってマジででかいからね。


 想像してみてほしい。


 30センチって、PSな5のゲーム機ちょっとちっちゃくしたくらいだからね。


 しかもそれが大群で空飛んで襲ってきてる。


 空が覆い尽くされんばかりの圧力っすから。


 「こいつらに刺されたら一発アウトだろ……どうするんだよ!」


 ヴェノムホーネットは羽音を高めながら、一斉にこちらに向かってきた。


 クマさん10頭を瞬殺する毒を垂らしながら。


 うわああああああああ!!


 文句ばっか言っててなんの対策も取ってないよ!!


 俺はバッと、後ろを向いて叫ぶ。


 「エンバー、火ィ! 火を吐け!」


 「わ、わかりました!」


 エンバーが勢いよくブレスを吐こうとする。


 いけ、やったれ!!


 昆虫は火が怖いからな!!


 が、


「プスっ……」


 黒い煙がシュウウウウ……と出てくるのみ。


「エンバー!! どうした!?」


「すみません、恐怖と緊張のせいで黒い煙しか出ません」


 うるうるとこちらをみてくるドラゴン。


 つつつつつ使えねええええええ!!


 「おい! 煙じゃダメだろ!」


 「ううう……でろでろ、炎でろ……ぷすぷす」


 だめだこれ。


 「がううううううう!!!」


 ウルフが背中の棘を飛ばして応戦するが、ハチの大群にはほとんど効果がない。


 「やばい! うわあアアアアア!!!」


 一心不乱に、【ショップ】から取り出したスコップを振り回す!!


「ギィギィギィ!!!」


 俺たちの牽制に、ヴェノムホーネットの襲撃が少しだけ和らぐ。


「てか、どうするんだよこれ……!」


 心臓がバクバクと鳴り、手に持つスコップが汗で滑りそうになる。


 羽音が全身に響き、冷や汗が背中を伝う。追い詰められた俺たちだが、その時。


「!! おい!! あそこ!!!」


 森のはじに聳える壁の近く、そこに小さな祠を見つける。


「あそこに逃げ込むぞ!!」


 俺たちは慌てて逃げ込んだ。


  ※  ※  ※


 祠に逃げ込んですぐに、


 「ウルフ、棘をありったけだせ!!」


 「ガウガウ!!」


 入り口付近にヘッジホッグを射出するウルフ。


 ホーネットたちは、その奇襲に驚き、いったん退避していく。


 「よし! エンバー! 煙でいいから、履き続けてくれ!」


 「はぁかりゅまふゅた!!」


 ごうっぽふ、ごうっぽふ、と炎にならない煙を祠入り口に吐くエンバー。


 充満する煙に、ホーネットたちは入ってこれないようだ。


 よし、これで、どうにか時間を稼げた。


 「ガウガウ!」


 ウルフが吠えながら、祠の入口を見張っている。


 しかし、外からは依然として羽音が響いている。


 どうやらヴェノムホーネットは祠の周囲を飛び回りながら、出口を塞いでいるらしい。


 「しかし、完全に待ち伏せしてるな……」


 エンバーが怯えた声で呟く。


 「ソータ様、どうしましょう……」


 「そうだな……」


 俺は頭を抱える。


 …


 ……


 ……… 


 だが、次の瞬間、閃いた。


 「よし、五分だけ時間稼いでくれ!」


 「えっ、何をするんですか?」


 「DIYだ!」


 俺は【ショップ】をウィンドウ操作し、相棒とも言えるアイテムをリロードした。


 「いでよ!! DIY作業台!!」




 


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