第二十四話 ベビドラ族との旅
※ ※ ※
しかし……、俺はふと考える。
全体的にとても好感触な商店ストリートなのだが……なにか、どこかに違和感を覚えてしまう。
この違和感、なんだろう……。
何かが、おかしいような……。
!!
あ……。
そういえば、と、ふと足を止める。
このお店たちの中に、食べ物屋が存在していない。
だから、人間の俺から見るとすこし違和感があったんだ。
ドラゴンがミートラット(と少量の魚)しか食べないから、これは仕方のないことなのかもしれないが……
もしも、ここにいろんな食べ物屋が並んでいて、たくさんのドラゴンたちが楽しそうにそれを買って食べていたら、どんなにいいだろうか。
そんなことを考えてしまった。
もしも、ドラゴンたちの偏食が本能レベルで植え付けられているものならどうしようもないかもしれないが。
もしも、そうでないのなら。
彼らに、食の楽しさも感じてもらいたい。
そう思った。
……よし、ミートラットの件を解決するだけじゃなく、ドラゴンたちに食の楽しさを知ってもらうよう、頑張ってみるか!
俺はそう心に誓った。
※ ※ ※
翌日。
昨日は、ドラゴン村の豪華な寝具セットで休ませてもらった。
ふかふかの布団と柔らかい枕、完全に異世界仕様で最高の寝心地だった。
「いやあ、あれは本当に快適だったな。家に持ち帰りたいくらいだよ」
そのお返し、というわけではないが。
昨日のうちに、俺が持っている焼き魚をあるだけドラゴンたちに提供した。
その時の様子はこんな感じ。
「え……いいんでしょうか?」
「本当にありがとうございます! こんなごちそうをいただけるなんて……!」
焼き魚を受け取ったドラゴンたちは目を輝かせながら、それを大事そうに持っていた。
誰もが空腹で弱っていたせいか、口に運ぶたびに表情が明るくなっていく。
「美味しい……!」
小さなドラゴンがそう呟きながら嬉しそうに笑うのを見て、俺も自然と笑顔になった。
「そんな大袈裟な……でも、まあ、喜んでもらえてよかったよ」
ドラゴンたちが互いに感想を言い合う姿に、俺の心も少し温かくなった。
ドラゴンたちにとっては食べられるものが限られている偏食さんたちなので、仕方ないのかもしれない。
ただ、俺のストック程度では、到底小型竜の村の食料を支えることはできない。
ここにいるドラゴンたちの様子を見る限り、食料不足は相当深刻だ。
空腹のせいで動きが鈍くなっている者もいるし、少しの焼き魚を分けただけで大げさなほど感謝されるなんて、どれだけ追い詰められているんだよ……。
俺一人の力じゃ、どうにもならない。それが現実だ。
でも、だからこそミートラットを呼び戻す方法を見つける必要がある。
俺がここに来た理由が、まさにそれだろう。
自分一人では無理だと認めるのは悔しいけど、ドラゴンたちがこれ以上苦しむのを見たくない。
というわけなのだ。
ちなみに、【ショップ】機能には、なんと保存効果もあったみたいで何十時間経っても焼き魚は新鮮なままだった。
最高やん。この機能、もっと活用できないか?
保存できるなら、調理した食べ物や収穫した素材を長期保管して、売るタイミングを調整できるじゃないか。
しかも、食料が腐らないってことは、冒険中の非常食にも最適だよな。
これがなかったら、俺のスローライフも破綻してたかもしれない。
いや、サンキュー、クソ女神。保存効果だけは認めるぜ。
これ、冷凍機能とかもつけてくれたらもっと最高なんだけどな……頼むぞ、次のアップデートで!
さて。
今日、俺たちは、いよいよ目的の地まで行こうとしている。
エンバーと一緒にミートラット大移動の元凶となった振動音の発生地点までな。
ウルフが「ガウ」と短く吠え、隣で歩調を合わせてくれる。
「エンバー、準備はいいか?」
「はい! ソータ様、よろしくお願いします!」
元気よく応えるエンバーを横目に、俺たちは森の中を進んでいく。




