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第二十三話 洞窟村の商店街を練り歩く

 出発の準備を進める前に、せっかくだからドラゴンの洞窟を散策してみることにした。


 洞窟内を歩き回ると、思った以上に多様なお店が並んでいるのに驚かされた。


 「ここ、お店とかもあるんだな」


 エンバーが隣で頷く。


 「はい! わたしたちも物を作って売ったり、交換したりして生活しています」


 「へえ。てことは、別の種族と貿易したりしてんのか」


 「ええ、リッサー族、クマイン族、あとフロクス族ですね」


ちょっと前に聞いたなそれ!


 なんて話をしながら、まず俺の目に入ったのは家具屋だ。


 手作りの木製家具がずらりと並んでいて、どれも繊細な彫刻が施されている。


 テーブルや椅子には細かい模様が掘り込まれており、思わず見入ってしまう。


 「すごいな……。めちゃ丁寧な仕事って感じだ」


 それぞれの家具には、値札が付けられている。


 もちろん単位はクルナ。


 大体、1万〜10万クルナの幅で商品は形成されていた。


「これ、【ショップ】で売ったらどのくらいになるんだろう……? 売値と同じなのかな?」


 風情も何もない感想になってしまったが、しょうがないだろ、こちとら借金30億円なんだから。


 その隣には彫刻を売るお店もあり、小さな置物や装飾品が並べられていた。


 ドラゴンの形をした彫像や、小さな鉱石を埋め込んだオブジェが特に目を引く。


 「このドラゴンの彫像とかすげー立派だなぁ」


かなり威厳高そうなドラゴンだけど、ウルフといい勝負なサイズ感なベビードラゴン族がこの彫像を作ってるのが微妙にシュールだな。


「ドラゴン像、ウルフの犬小屋の飾りにしたら映えるかもな」


「ガウガウ!!」


 嬉しそうなウルフ。値段は……3万クルナか。よし、ちょっと後で真剣に考えてみよう。


 さらに進むと、花屋が見えてきた。色とりどりの花が洞窟内を鮮やかに彩っている。


 特に目を引いたのは、『フレイムブロッサム』という赤い花。


 葉が光を反射して輝いており、明らかに普通の花ではない。


 「この花、少し触ってもいいですか?」


「ああ、構わないよ」


 俺は店員ドラゴンに許可を得て、フレイムブロッサムに触れてみる。


 ピコン。


【ショップ】機能によってウィンドウが表示された。


「おっ、どれどれ」


フレイムブロッサム:洞窟内でも育つ希少な花。売値2000クルナ


 「へぇ、面白い植物だな。綺麗だし、テントの周りに飾ったら良さそうだな」


 その隣には絵描きのお店があり、ドラゴンたちが描いた絵が飾られていた。


 どれも独特なタッチで描かれており、風景画やドラゴン族の日常を切り取った作品が並んでいる。


 「絵画まであるなんて……驚きだな」


 「私たちが営むお店、気に入ってくださったようで、何よりです!」


 嬉しそうなエンバー。


 「ああ、これについてはお世辞でも社交辞令でもなんでもなく、純粋にそう思った。いいところだな」


 「にひひー」


 う、可愛い……。


 不覚にもベビードラゴンにドキッとしてしまった。


 だって、この子、性格いいもん。さすが巫女さんって感じ。


 どこぞの守銭奴クソ女神に比べると天と地の差があるよ。


 いきものって、見た目じゃないってことだな、うん。


 火は吹くけどな。


 そんなことを考えながら、一番奥の方へと進む俺。


 次に見つけたのがDIYの素材屋だった。


 「おお! ドラゴン村にもこんな店が!!」


 俺の趣味ドストライクじゃないか!


 「粘土に、カラーパステル、絵の具、ニス、それにカンナまで……品揃えすごいな。これ、完全に異世界のホームセンターじゃん!」


 棚には、用途ごとに分けられた素材が整然と並んでいる。


『耐水ニス:木材の防水加工に最適』、『魔法粘土:形を固定すると硬化』など、説明付きのラベルが貼られている。


 『耐水ニス:売値1500クルナ』


 『魔法粘土:売値3000クルナ』


 『高級カンナ:売値4000クルナ』 


 値段もそこまで高くない。リーズナブルなお店だ。


「魔法粘土とか、すげえ便利そうだな。これで何作るか考えるだけでワクワクするじゃねえか」


 ウルフも隣で「クゥーン」と興味深げに鼻を動かしていた。


 棚の下段に並べられた木材の端材を軽く嗅ぎながら、何かに興味を示している。


 「エンバー、お前らの村、最高だよ」


 「ありがとうございます! 村のみんなで頑張って作り上げた場所なんです」


 エンバーが嬉しそうに胸を張る姿を見て、俺も自然と笑みがこぼれた。


 「このドラゴン村でDIY用の素材を集めて、地球のアイテムと合成したり加工して売るのもアリかもしれないな……」


 想像を膨らませながら素材屋をでる。


 他にも、いろんな店があった。


 革製品を扱う店。ドラゴン族が手作りしたというポーチやベルトが並べられている。


 どれも丈夫そうで、実用性が高そうだ。


 焼き物を扱う店。入口には焼き上がったばかりの陶器が並び、その色と形の美しさに目を奪われる。


 エンバーによると、ドラゴンの炎を使って焼き上げているらしい。


 ドラゴンの炎ってことは、普通の窯より高温みたいだから、そりゃ丈夫にもなるよな。


 陶器には、魔力を蓄える機能を持つものや、熱を逃がさない器もあった。


 魔力ポット:魔法素材の保存に最適。売値6000クルナ  


 耐熱器:熱を保持したままにできる入れ物。売値4000クルナ


 「普通に便利そうだな」


 ウルフが近くの小さな皿を覗き込んでいる。


 「その皿、お前の水飲み場に使うか?」


 「ガウガウ!」


 満足げに吠えるウルフを見て、俺も自然と笑顔になる。


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