ネオンテトラとミレニアム おまけ
おまけ
二次会の会場は、横浜馬車道にあるイタリアンレストラン【トラットリア ベコットペッコリー】を貸し切った。
ステファニーさんのお気に入りだという、ピザの美味しいお店だ。
大学からはそこそこ距離があるので、参加者は全員タクシー移動。もちろんこちらでチャーターした。
おじさん達や親族連中は、三々五々、思い思い帰ったり飲みにいったりしている。
麓の駅までは大学からバスを出してもらっているし、潤沢にタクシーも用意した。
ウチの親や親族には、横浜のベイエリアにまとめてホテルを取ったので、その付近で適当にご飯でも食べているのだろう。
後で挨拶に行かなきゃな。
二次会の参加者は、比較的若い連中。
マキ、メグ、悠華さん、といった宴会番長が、既にどんちゃん騒ぎを始めている。
一気飲みは、ほどほどにな。
そして敦盛を舞うのはやめような。
俺の関係者が多いので、女子が圧倒的に多い。
男は、豪太郎、弁護士の滝川さん(まだ独身だった!)、【輪台証券】の松永さん、【GOUCHI】の鈴原さん、その他俺の高校や大学の友達や若い投資家など。
自然、女子からみたら優良な物件が多いので、結構盛り上がり、合コン会場みたいになってる一角もある。
「へえー、河内さんて社長さんなんだ〜」
「ええ、結構偉いんですよ私。こう見えて」
「ただのイケメンだと思ってた!」
なんて話し込んでいるのは、豪太郎と、少し派手めな妙子こと、曽良岡四姉妹の三女、夏子さんだ。
妙子の二つ上になる。
夏子さんは、妙子に属性が近くて、コミュ力お化けだ。
二次会にも、姉妹で一人だけ参加して、あっという間に溶け込んだ。
横浜の百貨店で、化粧品の販売員をしている。
1Fにある、お高そうな化粧品の販売エリアあるよね、アレだ。
それだけに、化粧のテクニックは極まっており、やたらと美しい。
なんか良い感じだな。
豪太郎よ、それで良いのか?
妙子を含む【ブラックエンゼル】のメンバーは、有希の周りに集まっていた。昔話に花が咲いている。
「岸谷くん、スピーチ、すっごく良かったよ!」
「そうか?」
何か照れる。
「私も、数字のことばかりじゃなくて、人を見ないとな、って、思い返したよ。勉強させてもらいました」
悪戯っぽく笑う有希は、とても頼もしく見えた。
別の席では、海原と岩城が楽しく話していた。
「そっか、籐子は先輩と同じ職場にいるんだ?」
「はい。今はウェブデザインの仕事をしてます」
「カッコいい!時代の最先端って感じ!」
「そんなすごいものじゃないです……。
私は、言われた通りにやってるだけで」
「あ、せんぱーい!お久しぶりです!」
「おう、岩城。元気そうだな!」
「ええ、元気いっぱいです!
悪ガキどもの世話で大変ですけどね!」
「ははは。岩城は昔から面倒見が良かったもんな。
楽しそうで何よりだ」
「私も思い切って上京すれば良かったかなー?
籐子、幸せそうだし」
「岩城が自分で選んだ道だろ?
自信を持って頑張れよ」
こいつは先生として、結構幸せに暮らすはずなんだよな。
「はーい」
端っこのテーブルでは、管を巻く真鍋の話を、花明院と宮下が聞いていた。
「はぁ、私振られちゃったんですよ」
「また?」
「またって何ですか!
大手の商社勤めだからって、夜遊びしまくって!
ちょっと問い詰めたら、面倒だとか重いだとか。
その癖、こっちが出かけたらネチネチ聞いてくるし。
あー、男って、ほんとどうしようもない!」
「うんうん。佳奈は悪くないよ」
「あー、私も結婚したい!」
「うんうん。いい人見つかるよ」
「佳奈、河内さんなんか良いんじゃない?まだ独身だし」
「あんなの無理よ。競争率高過ぎ!」
なんて話を延々としている。
そうか真鍋よ、おまえは重いタイプか。
結婚したい、は禁句だぞ。
前世で二戸が、念仏のように唱えていた文句だ。
新垣の席には、何人もの男が話に来ていた。
新垣は、シースルーのあしらわれた、胸元のセクシーな濃紺のワンピース。何がとは言わないが、たわわに実った果実がこぼれ出しそうになっていて、すごい破壊力だ。
男どもがホイホイと吸い寄せられている。
そのまま、アカデミー賞の会場にいてもおかしくないゴージャスさ。
さすがにモテる。モテまくる。
それを恨めしそうに見ている二戸には、気が付かなかったフリをしよう。
皿橋は、マキ、メグや悠華さんと一緒に、何やら場を回している。
「みなさまお待ちかねっ!
フィーリングカップルをやりまーす!!」
やめてくれ。
そんなこんなで、二次会は夜更けまで続いたのであった。




