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ショウの死体の周りには、誰もいなかった。野次馬どもが押し寄せてきて、その対処のため、誰も近づけないようにしていたんだ。しかし俺は、そんなことを御構い無しに、スティーブによる防御線を突っ切り、ショウに近づき、地べたに膝をついて抱きかかえた。スティーブは人や状況を判断する能力に優れている。俺は特別に、ショウの身体に近づくことを許されたんだ。というか単に、スティーブの混乱だったのかも知れないけどな。即死のはずのショウが、俺に声をかけてきたんだから、そりゃあスティーブだって驚くさ。しかもその言葉がさらに突拍子も無い。スティーブの混乱から察するに、事実である可能性が高いと俺は感じているよ。
ちょっくらまた過去へと旅をしてきたよ。俺たちのしていることは間違っちゃいないんだ。あんたはいつまでも、ロックしていてくれよな。ロックってのは、楽しむって意味だよ。あんたならわかるだろ?
ショウはそのまま、今度こそ本当に死んでしまった。俺はショウの頭を胸に埋め、大勢の前で泣き叫んだ。お菓子を買ってもらえずに駄々をこねる赤ん坊のように、鼻水を垂らし、まるで世界の中心が自分であり、自分以外はそこにはいないかのようにな。事実俺は、そう感じていた。
ショウの死は、世界に影響を与えている。もちろん、俺個人にもだ。俺は本当は、エイガ作りを辞めるつもりでいたんだ。ショウの分までも音楽に捧げようと考えた。けれどまぁ、ショウをイメージした物語を世に出したいって気持ちも強かった。どうすればいいか悩んだよ。結果、俺はどっちが楽しいかを考えた。俺は、なにかをするってことがたまらなく好きなんだよ。音楽は当然楽しい。物語を生み出すのも楽しい。エイガ作りを楽しもうって決めたんだ。俺はショウの言う、ロックな道を選んだんだよ。
エイガ作りは楽しいが、苦しい。そこが音楽との違いだな。俺にとって音楽は、楽しみしかないんだ。苦しみなんて微塵も感じたことはないよ。しかしエイガは、苦しかった。ショウがいてくれればよかったのかも知れない。ショウはいつだって、なにをするときだってロックだったからな。けれどまぁ、それは関係ないんだよな。エイガってのは、作っているときは最高に楽しいんだ。完成品を見るのも楽しい。しかし、撮った映像を編集するのが辛いんだよな。なんども見返すのは辛くない。どこを切り捨て、どう繋げるかって作業が俺には向いていなかった。捨てる映像なんてどこにもないんだよな。しかし永遠撮りためた映像を流しても物語にはならない。切り捨て繋げるのがエイガなんだとは思うが、それが辛かった。なんとか完成させたが、納得はしているが満足はしていない。これは未公開なんだが、別の編集バージョンが三つ存在するんだ。俺はどれも未だに満足していない。撮影した映像だけでも、もっといいエイガになるんじゃないかって今でも思っているよ。
エイガのヒットで俺にはさらなる期待が押し寄せてきたよ。次の作品は? なんて声にはいまだに無視している。まぁ、自分で言うのもなんだが、違う形では応えている。俺たちはいまだに現役だし、毎年新しい作品を提供している。常にロックしているんだ。俺たちの人気は、減った試しがないんだよ。まぁ、年寄りが死んでいけばそのぶんのファンは減るが、新しいファンも日々生まれているってことだ。




