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エイガの作り方を学んだ俺は、いよいよショウを主演に迎えた物語を撮ろうと動き始めた。しかしまぁ、タイミングってのは不思議だな。ショウが死んだのは、俺がエイガ用の物語を書き上げ、スティーブで送ったその日のその瞬間だったんだよ。ショウはその日、どこかへ出かけようと外に出たその瞬間に、待ち伏せしていたあいつに殺されたんだ。拳銃を頭に突きつけられ、そのまま引き金が引かれた。俺はその瞬間を、スティーブの映像で見たよ。ショウは即死のはずだったが、最後のその瞬間に、俺からのメッセージが届けられた。反射的にショウは、最後の瞬間の映像を俺に送りつけたんだ。きっと、無意識の行動だろうな。数分前に遡ったショウ目線の世界が、そこには記録されていた。俺は、犯人とショウを除く他の誰よりも早くその事実を知ったってことになる。俺からの連絡により、犯人はすぐに射殺されることになった。俺としては殺さずに、その真意を深く探りたかったんだがな。まぁ仕方がない。おかげで今でも、ショウの死は様々な噂と共に言い伝えられている。世界の陰謀説や、宇宙人による策略なんていう訳のわからない噂ばかりだがな。まぁ、現実はもっと簡単だ。ショウのファンが、その想いを暴走させたまでのことだよ。
俺の頭に送り届けられた映像は、ショウが家の玄関を開けるところから始まった。あいつはアメリカの、ニューヨークなんていう街に暮らしていた。あの街は自由だとショウは言うが、俺はそうは思わない。あそこはいつでも、無法地帯だ。それを自由と呼ぶのは、俺はちょっと違うと思う。が、ショウはそんなあの街を気に入っていた。あの街では、誰もが自分を特別扱いしないんだと、喜んでいた。一人の住人として受け入れてくれることが嬉しかったようだよ。たまにはサインを求められるが、それ以上に私生活を鑑賞したりはしないんだ。残念なことに、俺たちの世界では、大抵が干渉されながら生きていくはめになる。有名でなくても、有名でも同じだよ。まぁ、俺は干渉されることが好きなんだけどな。なんていう余計な話はどうでもいいんだ。ショウはそんな見せかけの自由の中で生活をしていたってことだ。アパートのワンフロアを貸し切っての暮らしだった。玄関から廊下に出て、エレベーターで二階に降り、そこから階段で一階の表玄関に向かう。そこを開けば、もう外だ。外へ出てからも階段を降り、ようやく歩道に足を下ろす。そのときだ。目の前に現れる一人の男。サインをもらえますかとノートをサインペンを突き出す。ショウは慣れた様子でそれを受け取り、名前は? なんて言いながらサインを書く。その男は、無言でなにかを懐から取り出す。そして、ショウの頭にそれを突きつけた。これであんたは永遠に僕のものだ。なんて言葉を静かに唱えた。そして、引き金が引かれた。
俺はすぐにスティーブを使ってアメリカに連絡を入れた。ショウを助けて欲しかったんだ。状況からみれば即死なのは分かっていた。しかし、まだ助かるんだとの思いが俺にしがみついていたんだ。ショウが死ぬなんて信じられない。どうしても助けたいとの気持ちがそうさせたんだろうな。俺はその後、転送装置に走った。すぐにショウが暮らす家の近くに向かったよ。転送が済むと、ちょうどあいつが射殺される音が聞こえた。あいつの名前は、チャップマン。ふざけた名前だが、本名だ。俺はチャップマンが殺されたことに腹が立ったよ。殺してしまえばそれでお終いだ。なにもわからなくなってしまう。どんな理由があったのか、どんな感情があったのかを知りたかった。なにか手がかりが残されていたとしても、そんなものには意味がない。いくらでも嘘がつけるからな。幸いにもチャップマンはなにも残していなかった。幸いじゃなかったかも知れないとの思いはあるよ。なにも残さなかったからこそ、勝手な憶測が進んでしまった。まぁ、なにかを残していても、そこから勝手な憶測が進むんだけどな。やっぱり生かしておくべきだったってことだよ。生きている感情にしか、意味は感じられないよ。だからだろうな。スティーブでさえ、死んだ感情には興味を持たない。死んだその瞬間から、スティーブはその人の記憶を消してしまう。ショウの記憶はもう、どこにも残されていない。俺に送られてきたメッセージを別にしてな。
俺はチャップマンの死体を横目に、ショウの元へと走り続けた。なんてことだ・・・・思わず声が漏れたよ。眉間に穴が空いていた。俺は近づき、そこに手を乗せたんだ。




