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パンクジャズ  作者: 林広正
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第9話 1

   第9話



 ショウが住んでいたのはアメリカだった。なにを考えているのか、アメリカでも一番危険な街で、普通に暮らしていたんだ。ショウが言うには、あの街では自分らしくいられるそうだ。誰もショウのことを特別扱いしない。他の住人と同じように、少し無関心な近所付き合いが気に入ったようだよ。まぁ、結果としてはそんな無関心さのせいで命を落としてしまったんだけどな。哀しいよな。俺はショウを主演にエイガを撮るつもりだったんだ。結局はジョージ主演で完成させたんだが、俺はショウを頭に描いて物語を想像した。やっぱりショウ主演のバージョンも見てみたかったよ。これはいい意味でなんだが、ジョージが演じることによって、俺が考えていたのとは別の物語になってしまったからな。売れてくれたのはすごく嬉しいが、その分、ショウだったらという想いは膨らんでしまった。それがジョージには失礼な考えだとは承知しているよ。しかしまぁ、これが俺の本音なんだよ。仕方がないだろ?

 ジョージ主演のエイガは、この世界初の興行エイガだ。まぁ、世界中で大ヒットはしたんだ。自分で言うのもなんだが、面白い。今でも人気はある。舞台では毎年何処かで誰かが演じているはずだよ。ポップンロールって聞けば分かるだろ? 俺が作った最後のエイガでもある。まぁ、今でも手伝い的なことはしているんだがな。なんせ俺が生み出した文化だ。ノータッチってわけにはいかないんだよ。しかし今は、エイガでなにかを表現しようとは思えないんだ。俺にはやっぱり、音楽がお似合いってことに気づかされたからな。と言うか、このときは色々なことが重なりエイガにのめり込むことになっただけだ。ショウが死んだのも、その理由の一つだよ。

 俺はミカンと一緒に撮影機と投影機、それから写真機を作り出した。先先代から譲ってもらった機械を元に、Movieと書かれた形のある本を参考にしながらな。まぁ後、ショウからの助言もいただいたよ。ショウが話していた活動写真ってのは、どうやら日本に伝わる文明以前のエイガのことらしいんだ。まぁ、現物は残ってなく、噂と伝承ってやつが残っていたんだよ。日本では、絵を描く文化が古くからあるんだ。まぁ、人間なら誰だって一度は絵を描いたことがあるから、特別なことではないんだがな。と言っても、俺たちは普段、頭の中で絵を描いている。スティーブがあるからこそ形にできることだが、どんな作品もまずは頭で想像するんだ。まぁ、ときには手が勝手に動くこともあるにはあるんだけど、それって無意識にでも頭が働くようになっているってだけのことだ。スティーブで分析すれば分かることだよ。本人にいくら意識がなくとも、頭は必死に動いているんだ。

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