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パンクジャズ  作者: 林広正
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 エイガっていうのは、写真の連続だっていう。まぁつまりは映像のことだよ。スティーブが映し出す現実世界のようなものってことだ。だがしかし、それを物語として編集してあるのが映画なんだ。つまりは偽物の映像ってことだ。写真についても同じだな。あれは全て、偽物なんだ。その瞬間を、主観的に、ときには客観的に切り取っているだけに過ぎない。まぁ、だからこその魅力に溢れているんだけどな。

 先先代は、そんなエイガを俺に作れと言い出したんだ。再現はできなくとも、想像すればいいんだなんて言うんだ。あんたは音楽を想像しただろ? なんて言われて引っ込むほど俺は真面目じゃなかった。やってやろうじゃないかと思ったよ。まぁ、先先代がなにも言わなくても、俺は興味津々で、きっとなにかのきっかけで映画作りにはまっていたはずだよ。

 映画作りには特殊な機械が必要だと言われたよ。スティーブでなんて撮ってはダメだと言うんだ。そしてちょっと待ってろと言い、別の部屋に消えていき、大きな箱を二つ抱えて戻ってきたよ。中には映像を撮るための機械と、撮った映像を映し出す機械が入っていたんだ。と言っても、動かすことはできず、どうやって使用するのかもわからなかった。ついでに先先代は、首から写真を撮るための機械も首にぶら下げていたよ。当然、使用はできなかったけれどな。

 先先代の説明は、さっぱり意味が分からなかった。実際に手に取っても、使い方も構造も、俺には意味不明だった。しかしショウは、少しは理解していたようで、先先代にちょこちょこと質問をしていたよ。そして突然、オォ! なんて声を出し、興奮のあまりその場で踊り出した。

 どうしたんだ? って視線を俺と先先代から浴びたショウは、これってもしかして、活動写真のことなのか? なんて小声で言ったが、俺も先先代も、ただきょとんとするばかりだった。

 ショウは俺だけじゃなく、先先代さえ知らない情報を知っていた。俺は噂でしか聞いていないが、きっとそれがエイガのことだと思うな。なんて話を始めた。写真の連続なんだろ? 一秒間に三十コマくらいの写真を連続して流すんだよな? スティーブだって似たようなもんだよ。映像を分析すると、結局は写真の連続になっている。スティーブでは、一秒間に二百五十コマだったはずだよ。

 ショウはその後も活動写真の説明を続けていたよ。けれど俺には、疑問が一つ残っていた。この機械を使って、どうやって映像を保存するんだ? 先先代が持ってきたのは、ただの機械で、箱だけだった。撮った映像を保存するなにかが足りないと感じたんだ。すると先先代が、その本にヒントがあるだろ? と言ったんだ。今度はショウだけがきょとんとした。俺はハッとして、そうか! と納得をしたよ。

 形のある本の中には、先先代が持ってきた機械にそっくりな物が写っていたんだ。それを使って映像を投影しているような写真の中に、連続した写真が並んだ細長い紙のようなものが、先先代が持ってきた機械に設置されている様子が写っていたんだ。そういうことかって思ったよ。そして、すぐに考えたんだ。ミカンに相談をしようってな。

 俺は先先代に約束をした。絶対にエイガを作るってな。だからこいつを譲ってくれと言ったんだ。先先代は、そのつもりだと笑ったよ。俺とショウは、二つの箱を持って、地下の転送装置で家に帰った。俺はすぐにミカンに連絡をした。ショウはその頃住んでいた家に帰っていった。機械が動いたら連絡してくれと言い残してな。

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