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さっきもちょこっと話したが、基本的にウィスキーってのは五つの国で作られているんだ。それぞれの作り方にはちょっとした違いがあるんだが、まぁそれは飲んで確かめることが一番のお勧めだ。スコットランド、アメリカ、アイルランドにカナダ、それから日本だ。俺はいずれウィスキー工場を作るのが夢なんだ。しかしまぁ、その製法が現代的じゃなくてな、秘密主義ってこともあり、誰に相談をしても難しいと言われている。工場を買い取ろうかとも思ったが、金で掴んだ夢は案外脆いものだよ。そんなウィスキー工場をいくつか知っているが、どれもが味を落とし、結局は潰れている。
俺はまた、一冊の形のある本を手に入れている。それはまぁ、今話そうとしているのとは別物なんだが、少し関係もあるな。ウィスキーについての形のある本だと思うんだが、まぁ定かではない。写真は表紙だけで、文字は全く読めないんだからな。表紙の写真が、ウィスキーの蒸留場のように見えるんだよな。グラスに注がれた液体も、琥珀色のいかにもって感じがする。まぁ、もしもそうだとするなら、ウィスキー文化は文明以前から続いているってことになるな。ともすれば、酒全体がそうなのかも知れない。これは物凄い発見になるんだ。俺たちは、文明以前からの味を楽しんでいるってことだからな。それだけじゃない。歴史が変わるほどの大発見でもある。もしかしたら、俺たちのこの世界は、文明以前と繋がっているのかも知れないってことなんだよ。
不思議だが、誰もこんなにも魅力的な謎を解こうとしていない。俺は知りたいって思うよ。過去との繋がりは、きっとあるんだ。その証拠を掴みたい。まぁ、後何百年か後には、俺たちがそんな繋がりを作ったとか言われているのかも知れないがな。
俺は思うんだ。誰も謎を解こうとしないんじゃない。解こうとすれば、なにかしらの圧力がかかり、最終的には消されてしまうんだよ。まぁ、そんな噂があるのは事実だ。俺もこれからは命を狙われるのかも知れないな。こんな文章を発表しているんだから。なんて、今は少し時代が変わっている。文明以前の世界をもっと本気で知るべきだとの声は高まっているんだ。俺の話を元に、歴史がまた動けばとは考えているよ。
俺はスコッチの飲めるバーで、映画についての形のある本を手に入れた。ウィスキーについての形のある本は、残念なことに別の場所なんだ。まぁそっちの話はまた今度だな。ウィスキー話は、もっと色気のある物語に相応しいんだよ。
俺は二杯目にグレンアラヒーを注文した。そして、バーテンに声をかけたんだ。ここは面白い店だな。ってな。そしたらそのバーテン、もっと面白いのがありますよなんて言いやがるんだ。この国でさえ珍しいウィスキーを出す店だ。俺は大いに興味を注がされたよ。見てみたいなって言うと、そのバーテンは、それではこちらに、なんてかしこまった声で言うんだよ。俺の期待は膨らんだよ。相当珍しいウィスキーが眠っているんだと思ったよ。ポートエレンか軽井沢なんかを想像したな。どっちも閉鎖されちまった蒸留場のウィスキーだよ。俺がウィスキーを飲むようになった頃にはもう、幻と言われる酒だった。いつか飲みたいと思っていて、ついに飲めるのかなんて期待をしたんだ。まぁしかし、期待ってのはある意味ではいつだって裏切りが常套だからな。少しはショックだったが、それ以上に興奮が優ったよ。裏切りってのは、案外嬉しかったりするもんだ。このときはまさにそんな感じだったよ。




