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パンクジャズ  作者: 林広正
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 俺の言葉によって、スコットランドは立ち上がったんだ。その他の国でも、本気でアメリカを追い出そうとの動きが活発化した。まぁ、今の所はまだ、それに成功したのはこの国だけだがな。と言っても、アメリカ人が一人もいないってわけじゃない。なんて言うかな、この国が一番、自由に近づいたってことだ。この国のアメリカ人は、俺たちと同じでバカじゃない。自分たちが一番だなんておごりもなく、アメリカ人であることをある意味恥じている。まぁ、嫌な奴じゃないアメリカ人も実は多いんだよ。だからこそだな。あの国だけが、他国との戦争以外に、内戦が止まないんだ。

 アメリカの悪口が増えたように感じるかも知れないが、それは違うんだ。俺はこれでも、案外影響を受けている。まぁ、今の音楽は、アメリカのものはつまらな過ぎる。文明以前がどうとかっていう問題は抜きにしてだ。しかし、映画についてはちょっと話が変わるんだ。まぁ、これもまた文明以前の話に逆戻りしたりはするんだがな。俺は映画に関する形のある本をあの国で手に入れたんだ。あの国にだって当然闇はある。しかも、相当深いんだ。俺はその深部で、それを手に入れた。

表には大きくMovieの文字が書かれていたが、中身は文字よりも写真が多かった。俺はそれをノーウェアマンのショウに見せたんだ。あいつにしては珍しく、こんな写真は見たことがないと言ったよ。その文字も読めないと言ったんだ。

 俺がその形のある本を手に入れたのは、あの事件の直後のことだった。アメリカのなんて街だったかは覚えていないが、陽気な街だったのは覚えている。そこの闇は、見つけるのが異常に難しかった。にも関わらず、俺はなにかに導かれるようにいとも容易くそこへと辿り着いたんだ。まぁ、当時の俺には難しいなんて感覚はなかったけれどな。後日もう一度訪ねたときが大変だったんだ。ショウを連れて行ったんだが、俺一人じゃ辿り着かなかったはずだよ。

 あの日の俺は、事件のショックがまだ心の奥には届いていない状態だった。興奮状態とも違う、なんていうか、浮遊状態だったのかも知れないな。頭が空っぽで、無意識に足の動くままに街を徘徊していたんだ。そして一つの店に出会った。

 そこはあの国じゃ珍しいスコッチの飲めるバーだったんだ。俺はやっぱり、酒はスコッチと決めている。まぁ、日本のも美味しかったりはするんだけどな。当然、アイルランドも美味しいしな。カナダだってなかなかだ。残念なことにアメリカ産も美味いんだよな。最近じゃフランスもオーストラリアもスウェーデンもインドだって負けてはいないよ。ドイツ産ってのもあったな。とにかく、ウィスキーは美味いってことだ。

 俺は宣伝なんて一切ない地下への階段を降り、ごく普通のドアを開けると、そこにはスコットランドにあるようなバーが存在していたんだ。俺は嬉しくって、インチガワーをストレートで注文した。俺はやっぱり、モルトが好きなんだよ。まぁ、スコッチってのは世界中で愛されているからな。あの国でも愛されているんだよ。と言ってもさ、あの国にはあの国のウィスキーが存在している。バーボンって名前だ。俺は案外バーボンも好きだよ。けれどまぁ、俺にとってのウィスキーは、モルトのスコッチなんだよな。もちろん、ブレンドだって最高に美味いんだがな。

 ウィスキーってのは、いつの時代に作られたのか、謎なんだよ。文明以前にもあったて噂もあるが、定かではない。しかしまぁ、世界にある全ての工場は、とても古い建物で、古い製法を守っている。文明以前からって噂も納得できる話ではあるな。俺はそんな工場を見て回るのが趣味でね、昔はよくツアーの合間に立ち寄ったもんだよ。樽から直の原種は、そりゃあ素晴らしよ。俺だけのボトルも、何本か頂いているんだ。

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