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アメリカの暴動に、世界が怒りを示した。たった一つの国を除いてな。流石にやり過ぎだ。国民は国の意思だといい、国は国民が勝手にしたことだという。どっちが嘘かは明らかだ。戦争はこうして始まった。アメリカを非難する国へは、無条件で攻撃が行われる。もちろん、予告なんてしない。戦争に興味のない一般市民にも牙は向ける。当然だよな。それが戦争ってもんだと、俺は思っていた。まぁ、誇れるものじゃないが、それが戦争だろ? 戦争ってのは、どんなに綺麗事を並べても、人の命を奪っている以上、醜い争いなんだよ。俺たちは戦争を知らずに生きてきた。ずっとそうだと思っていたよ。戦争がいいとは嘘でも言えないが、これからの俺たちは、戦争の上に生きていくんだ。戦争の時代が始まってまだ三十年だが、世界は確実に動いている。それがいいのか悪いのかの判断は個人ですればいい。平和には遠いかもしれない。だが確実に、自由には近づいている気がしてならない。戦争の被害で死んだ連中は多い。志願した兵士ならまだしも、巻き込まれた人には失礼な言動になるんだろうが、世界の表情は確実に明るくなっている。家族を戦争で無くした奴は大勢知っている。哀しみは背負っていても、みんな以前より確実に活き活きと生きているように思えるんだ。俺だって、戦争によって甥っ子を二人と孫を一人亡くしている。哀しいことだが、受け入れて生きているんだ。
アメリカを支持している国は、日本だ。俺はあの国が大好きだが、あの国の政治家たちは好きになれない。不思議な国でな、国民と政府が全く相入れていない国なんだ。あれでよく暴動が起きないもんだと思うよ。まぁ、あの国の連中は、色々と忙しいんだろうな。俺にはわからないだけで、政治家たちにも裏があるのかも知れない。とにかくまぁ、なにを考えているのか不思議な国なんだよ。国全体で文明以前の文化を守っているのは確かだしな。
この戦争は、わかりやすく言えばアメリカとそれ以外の戦いだな。押しつけられていた自由からの脱却をしているってわけだ。アメリカ人は世界中にいるからな、あちこちで戦いが止まないんだ。今ではだいぶ減ったが、世界中の国に少なくとも一つはアメリカの自治体が存在していたんだ。日本じゃ確か、全ての街にあったって聞いたことがあるよ。この国じゃ、主要な都市だけだったがな。スコットランドには今、一つも存在していないよ。カッコつけで言うんじゃないが、俺が潰したようなもんだ。事実は受け入れた俺だが、報復は忘れなかった。俺個人にはなんの力もないが、俺には音楽があるんだ。俺はアメリカのやり方に感じている疑問を吐き出した。世界中を回って、俺と同じ考えの同士を生んだんだ。もちろん、アメリカでも同じことをしたよ。勘違いするなよ。俺はなにも演説して回ったわけじゃない。いつものように、歌っただけだ。それだけで十分だったんだよ。言葉は力だ。音楽だって力だ。音楽に乗せた言葉は、それは物凄い力になるんだよ。俺は思うね。音楽があれば、心の壁だけじゃなく、実際の壁だっていつかは破壊できるってね。実際に今、そうなろうとしている。アメリカが作った壁が、崩壊しそうなんだよ。戦争が表面化するとすぐ、自分の国を壁で囲んだ。それは、自治体の土地についても同じだった。普通の壁じゃないのはわかるだろ? 高さは四メートルもある。スティーブによる監視だけじゃなく、物理的な武器を持った兵士も一定間隔に配置していたな。まぁ、今じゃ兵士の数はどこも減っている。だがしかし、あの壁だけは壊せないんだよな。スコットランドにもまだ壁だけが残されている。中は広場だけどな。




