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パンクジャズ  作者: 林広正
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 金を欲しがる人間の気持ちは、俺にだってわからないわけじゃないんだ。金がないとなにもできない。生きて行くことさえできないんだからな。まぁ、今では少しばかり自由になっているから、金を得ること自体は難しくはない。以前とは大違いだな。俺が子供だった頃はまだ、貧乏人は子孫も含めて永遠に貧乏なままってのが当たり前だったんだ。今のように自分次第でのし上がるってのは、よほどの運がなくちゃ無理なことだった。俺たちのようにな。

 しかしまぁ、俺たちもそうだが、他人になにかを与える仕事っていうのは、金を求めるべきじゃないんだよな。金の匂いがちらつくと、なにをしても鼻につくんだ。どんなにいい事を語っても、いい音楽を奏でても、その全てが無意味になってしまうほどに臭うんだよ。なにもそれは、音楽に限った事じゃない。というか、音楽で金儲けをしようっていう輩は、俺は好きじゃないが、ある意味まともだよ。なんだかんだ偉そうなこと言っても、音楽ってのは一つの産業になってしまっているからな。それもこれも俺たちが稼ぎまくったせいでもあるんだ。ライクアローリングストーンとノーウェアマンの稼ぎはさ、たったの半年でこの世界の年度予算を超えたらしいからな。俺たちの音楽に純粋に憧れた奴も多いが、その稼ぎ出した金額に憧れる奴も当然多いんだよ。まぁ、そんな憧れだけならまだ許せるが、俺が嫌なのは、音楽を利用しての金儲けだよ。金が欲しいのはわかるが、音楽で稼ぐのも悪くはないが、利用するってのがダメなんだよ。まぁ、俺の周りにはそんな奴らが多く集まるんだけどな。運がいいことに、俺たちはそんな奴らの力を借りなくても十分音楽を楽しめるんだ。そういう段取りが初めからできていたからな。しかし俺たち以外の後発はちょいと話が違うんだ。俺たちの儲けぶりを見た連中が、音楽を味気ないビジネスにしようと近づき、利用したんだ。まぁ、こいつはあんまり言いたくないが、ノーウェアマンのショウがその一役を担っていたんだよ。ショウは金の亡者じゃないが、ビジネスの天才でもあった。あいつは望むと望まざるとに関係なく、多くの金を生む方法を考え、全てで成功している。俺たちはただ、その恩恵を受けただけに過ぎない。

 ノーウェアマンの功績は大きいよな。いい意味でも、悪い意味でもだ。ショウはいまだに多くの金を稼いでいる。死んでからもう、三十年も経つのにな。

 音楽ってのは、認めるのは嫌だが所詮は商売だ。だがな、先生って呼ばれる奴らは、それを商売にしちゃまずいだろ? 警察官も同様だな。金のためじゃなく、人のために動くからこそ尊敬され、先生と呼ばれるんだよ。命を守っているとか、教育をしているとか、秩序を維持していると、そんなことを理由に金銭を求めるなんてナンセンスなんだよ。そういう立場だからこそ、金で動いちゃダメなんだよ。金なんてなくても命を守る覚悟がない奴に、命を預けるなんて無理だろ? 教育者についても同じだよ。まぁ、今の時代、そんな先生はどこにもいないんだけどな。仕方がないよな。俺たちだって、そんな先生がいないとわかっているから、本気で信頼なんてしていない。尊敬できる先生は、政治家も含めて一人もいない。悲しい現実だよな。本気で信頼される奴なら、金なんて求めなくても自然と集まるんだ。勘違いしないでくれよ。信頼でなく、恐怖と権力で金を集める奴もいるからな。っていうか、この時代の先生って奴で金を得ているのはそんな奴らだけだ。

 まぁ、どうでもいい話になっちまったな。金の話はどうでもいいよな。俺たちはなにをするにも金を使わなければならない。この文章にだって、読む側は幾らかの金を払っているんだよな。俺は形のある本にこだわり、真似をして売り出しているが、現実にこれを読んでいる奴らはほとんどがスティーブを利用しているはずだ。スティーブの利用には金がかかるからな。検索をすればその内容に見合った金額が、転送についても同じだ。まぁ、勝手に保管庫から引き出されちまうんだけどな。

 これは最近知った話だが、文明以前には金にも実体があったそうだ。持ち運び、取引に利用していた。今でもたまにある現物交換の発展形だな。金を手に持つってのは、表現上の言葉だと思っていたが、実際にそうしていた時代の名残なんだろうな。今と文明以前とでは文字も言葉も異なってはいるが、伝わっている事も多いって事なんだろうな。都市や国の名前もそうだし、概念的な事は、それほど変わりがないって事だ。

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