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パンクジャズ  作者: 林広正
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第7話 1


   第7話



 最近はよく、この時代の大昔の話や、文明以前のことを調べては話題にすることが多くなっている。そんなときのお偉いさん方の言葉が俺は気に入らない。そんなに大昔に、今と同じような技術があったなんて信じられない。これは凄いことですよ。今とはまるで時代が違うんですから。なんてことを言う奴らの脳味噌が、俺には理解し難いよ。

 確かに大昔や文明以前の人達は、今とは違う世界に生きていたのかも知れない。文化が違くても、人の考え方は似たようなもんだ。いつの時代だって、似たようなことを考え、その考えを具現化しようとする。文明以前でもきっと、銀河系を飛び越えたことくらいあるはずなんだよ。最近、そんな証明になりそうな形のある本を発見したとかなんとかって噂を聞いたことがある。

 俺が思うに、文明以前の世界は、きっと今より楽しかったはずなんだ。だってそうだろ? 文明以前の世界を真似して、この世界は楽しくなった。まぁ、おかげで今までなかった争いが生まれたのも事実なんだけどな。

 俺たちの音源は、この国ではあまり、売れなかったんだ。勘違いするなよな。人気がなかったわけじゃない。小さな国だからな、タブレットを欲しがる奴より、直接見たいって奴の方が多かったんだ。当時はようやく転送が一般的に普及したばかりだったけど、俺のおかげで、この国での普及率は早かったんだ。タブレットの方が、馴染むのに時間がかかったよ。まぁそうだよな。薬みたいなもんを飲むのは、誰だって好きじゃないからな。最初は誰もが、それを噛まずに飲み込んでいたんだ。ピートはちゃんと宣伝で説明したのにな。薬のようなその形を噛むのは、結構な恐怖なんだよ。以前の薬は、それは苦くてとても噛めやしなかったからな。っていうか、飲み込んで胃で溶かすっていうのが当初の薬の考え方だったんだ。それも今じゃ違う。薬っていうのは、直接患部に届けてこそだからな。

 ノーウェアマンは、あっという間に世界を変えた。音楽っていう概念を世界に植えつけたのは、間違いなくそいつらだ。俺たちは、世間的には二番手なんだよ。まぁ、音源を世に出したタイミングは俺たちの方が三日ばかり早かったんだがな。そのことが世間に認められたのは、何年も先になってからの話だよ。

 あいつらが売れて、俺たちは得をした。似たような奴らがもう一組いると、話題になったんだ。しかも遠く離れた国で、妙な楽器を使っていると、話題には事欠かない連中が、俺たちだった。俺たちのライヴは、ノーウェアマンとはまるで違う。なんていうか、無計画なんだよな。ステージに飾り付けをしたことなんて一切ない。曲順だってきちんとは決めない。その場の思いつきで動くだけだ。まぁ、ステージってやつは変幻自在だから、今では誰もが自然とショウマンになってしまうんだけどな。イメージしたままにステージが動くんだ。背景が変わったり、突然花火が上がったり、人や物が登場するのも自在だよ。事前の準備が必要なく、頭で思い描くだけでいいんだから凄いよな。

 俺たちは、ときにはそんな演出もするが、基本は六人だけで勝負する。もともと爺さんの地下室から始まった俺たちだ。狭っ苦しい場所で汗かきながらってのが一番楽しめるんだよ。いつかまた、あの場所で演奏したいと思っている。

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