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パンクジャズ  作者: 林広正
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8

 ショウは闇で様々な楽器を手に入れていった。手当たり次第っていうのか? 全ての金を注ぎ込んだそうだ。ショウは、初めて手にした楽器の鳴らした音が忘れられず、何度もその店に来てはこっそり弾いていた。店の人間も、最初こそ迷惑がっていたが、次第にショウの音を楽しむようになっていった。ショウはベース弾きだ。あいつのベースは凄すぎるよ。なんていうか、身体が弾むんだよな。まぁ、当然心も弾むがな。それにピアノも最高だ。なんだかよくわからない弦楽器も得意のようだな。ショウはまさに、音楽家って感じだ。俺とは違うんだよ。俺はまぁ、よく言えば芸術家だが、ただの自由人だ。わがまま放題好き勝手に生きているだけだからな。こうして世界中から名を知られているのは、運が良かったに過ぎないんだよ。

 ノーウェアマンの他のメンバーは、ギターのジョージとドラムのチャコだ。といってもそいつらはみんな、様々な楽器を弾くからな。全てをここにあげるのは面倒だ。文明以前の楽器をスティーブで検索すればいい。そのほとんどの楽器をノーウェアマンは持っているはずだからな。

 そいつらは三人とも、同じ年に、同じ病院で生まれたそうだ。日にちは一日ずつずれているとか言っていたな。まぁ、どうでもいい情報だよ。つまりはあの三人は生まれる前から出会っていたってことなんだよ。三人の母親は、病院で何度も顔を合わせていたようだからな。

 ショウは迷いもせず、二人を誘った。一番近い存在があの二人だったってだけのことだが、あの二人がいるからこそのノーウェアマンなんだよな。それはそいつもご承知だったはずだ。

 そいつとの出会いから、俺の音楽は少し変化した。文明以前の本物の楽器の音を聞かされたんだ。世界観が変わるのは当然だよな。ピアノを真似した鍵盤を取り入れたのは、ノーウェアマンの影響だしな。

 俺たちがいまだにオリジナルでいられるわけの一つは、そういうことだ。ミカンの作る楽器は販売していない。真似をして作るって奴は、今のところ一人もいないな。俺たちの楽器は特殊だからな。作りも弾き方も、真似をするのが難しい。

 チャップマンスティックって知ってるか? ノーウェアマンのジョージがたまに弾いているやつだ。ベースとギターがくっついたような個性的な楽器なんだよ。弾き方も個性的だしな。弾くっていうより、叩くって感じだな。ノーウェアマンが使う楽器にしては珍しく、ジョージじゃなくちゃ弾きこなせない楽器だよ。まるでジョージのために作った楽器なんだよ。俺は初め、オリジナルの楽器だと思っていた。まさかあれも文明以前の楽器だったとは驚きだよ。まぁ、他にも個性的な楽器はいっぱいなんだけどな。

 文明以前の世界でもきっと、俺たちのように新しい楽器をいくつも生み出していたんだと思うよ。あの楽器を見ると、そう感じるんだ。人間ってやつは、いつの時代でも似たようなことを考える奴がいる。

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