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パンクジャズ  作者: 林広正
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7

 なんだか話が行ったり来たりで分かり辛いか? まぁ勘弁してくれ。俺たちの曲もそうだが、これが俺のカラーなんだよ。今更変えるのは無理ってもんだ。

 そいつは恵まれていたんだよ。俺たちとはまるで違うアプローチで音楽を世界に送り出した。まぁ、そいつらの国は特別なんだ。音楽の文化を受け入れる体制が整っていたからな。あの国は本当に不思議なんだ。この世界の伝説は、全てがあの国からだって噂もあるくらいだ。魅力的だが、俺はああいう形で世に出るのは好きじゃない。自分たちじゃなくてよかったと思っているよ。

 そいつからの連絡があったときはまだ、お互いにデビューしたてで、それほどの注目は浴びていなかった。しかし、翌月には、ノーウェアマンは世界中の人気者になっていたよ。まぁ、そいつらがああしてくれたおかげで、俺たちも有名になり、世界が少し、楽しくなったんだけどな。

 ノーウェアマンは、俺たちとはまるで違う方法で音源を発表した。と言ってもまぁ、手段が違うってだけで、結局はスティーブで聞くことになるんだけどな。

 奴らは路上で行ったライヴを録音し、その映像を街中にバラまいたんだ。スティーブってのは、頭の中は勿論だが、世界中の至る所に埋め込まれている。

 しかしまぁ、その程度の発想は俺にだってあったよ。そいつが凄いのは、そのやり方だな。悪く言えば商売人だ。楽曲を売るっていう点では俺たちと同じだが、俺たちはタブレットだ。それを欲しいと思う奴が、個人で買うだけ。しかしあいつらは、映像を企業に売ったんだ。スティーブを通して街中に流す際、企業の宣伝を同時に流す。その分のお金を企業からもらうんだ。スティーブは、建物の壁や道路からも、空からも映像を流す。ノーウェアマンの映像には、企業広告とロゴが映し出される。何秒でいくらとか、そんな取り決めをしたそうだ。

 まぁ、言うのは簡単だけど、現実はそんな簡単なもんじゃないよな。ノーウェアマンは、自分たちを広告塔として売り出したんだよ。けれど、それはその利用価値があってこそだ。そいつは、ライヴ活動を頻繁に行い、その評判を高めていった。あの国じゃ、そういう場所がいっぱい用意されていたからな。闇にある酒を飲む場所では、ノーウェアマン以前に音楽を奏でる奴らはいなかったが、なんだかよくわからないショウをする奴は大勢いた。そいつはそこでのショウをするために、楽器を集め、仲間を集めた。

 そいつの名前は、ショウだ。だからショウが好きなんだな。ノーウェアマンは、俺たちとは違う形のライヴをする。当時からな。まぁ、あっという間に人気者になったよ。俺も何度かショウに呼ばれているが、俺たちには真似ができない。なんていうか、祭りのようなんだよな。たった三人だけなのに、その音もまた分厚くてな、使う楽器の数は俺たちの倍はある。全てを三人だけで鳴らすんだ。それなのに、音に違和感がない。どう頑張っても、俺たちにはあんなショウはできないよ。

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