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パンクジャズ  作者: 林広正
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6

 彼女が死んでから、俺は一時的にだけど、音楽を辞めた。それはみんなも知っているだろ? 哀しみは、人生を狂わせる。しかし、友情は、人生を建て直すんだ。

 彼女の死で、俺は生きる意味を失った。だってそうだ。本気で心の底から無条件に愛したのは彼女だけだ。俺はどうすればいのかわからなくなっていた。死を選ぶ余裕すらなかった。

 ピートは本当に偉いよな。自分のことをさておいて、俺の心配をしてくれるんだ。娘が亡くなったショックを隠し、俺の哀しみを癒してくれた。ピートは俺のために、曲を書いてくれた。それはまさに、俺の感情そのものだったんだ。それの意味はわかるよな? ピートも俺と同じ哀しみを抱いていたってことだ。なんて言うと、大袈裟だよな。いくら俺が哀しんでも、ピートの哀しみには到底及ばない。しかし、ピートが俺の感情を認めてくれたことが嬉しかったんだ。

 俺は、ピートの曲に言葉を乗せた。嬉しいんだか恥ずかしいんだかわからないが、世界中で受け入れられている。

 ピートは最初、ただの友達だった。曲を配信するための協力者に過ぎなかった。しかし、ノーウェアマンとの出会いで、状況が変わった。そいつが色々教えてくれたからな。俺はもろに影響を受けた。まぁ、自分たちのスタイルを崩すつもりはなかったけれどな。実際、崩れてはいないだろ?

 ピートはライクアローリングストーンの六人目のメンバーだ。担当は鍵盤だ。ピートの鍵盤は、激しくも繊細で、俺たちの音楽を暖かく包み込むんだ。今でもピートは、俺たちをサポートしてくれている。鍵盤っていうのは、そいつが言うところのピアノと同じだよ。まぁ、この楽器もミカンが作成したオリジナルで、本来のピアノとは構造が違っているんだけどな。奏でる音も当然違う。オルガンって楽器があるだろ? その二つを掛け合わせたような音色って言えばいいのか? まぁ、俺はピートが奏でる鍵盤が大好きなんだよ。

 ピートを正式メンバーにしようって話は幾度もあったよ。それでもならなかったのは、会社の方針だな。なんていうか、ピートは顔が俺たちにはまらなかったんだ。一度一緒に写真を撮ったんだけど、ピートだけが、借りてきた猫のようだったんだよ。

 まぁ、気持ち的には正式メンバーなんだし、金銭で揉めたこともないから、これでいいってことだな。

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