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パンクジャズ  作者: 林広正
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 エイガって知っているか? 今の世界でも復活しているが、思ったほどの人気は得ていないからな。俺がその発起人なんだけど、人気がない理由は理解している。エイガっていうのは、時間が長いんだ。二時間程度の絵物語だからな。しかも俺たちは、エイガ館で座席に座ってじっとしながらそれを観るんだ。大きなスクリーンで、他の観客と一緒にな。俺はその臨場感やら一体感やらが大好きなんだ。しかしまぁ、それがあまり評判が良くなかったんだ。と言うか、俺たちにはスティーブがあるからな。そっちを使っての鑑賞に慣れているんだよな。実際にスティーブを使っての上映がされていた時代もあったんだ。ほんの一瞬で終わってしまったがな。確かにスティーブでの鑑賞は物凄く現実感があって、物語に入り込むことができる。それはそうだよな。頭の中で映像が流れ、物語が動くんだから。現実のようでもあり、夢を見ているようでもある。俺も体験したが、確かに最高な気分になれる。けれどまぁ、この世界の人間ってのは、じっとしているのが性に合わないようだな。エイガ館でも同様の理由で客の入りが悪いんだよな。まぁ、作品が評価されれば客が押し寄せることもあるにはあるんだけどな。それはもう、大昔の話になっちまったよ。

 スティーブを使っての上映には大きな問題点があったんだ。分かるだろ? 外出先で移動しながら鑑賞をし、目の前の現実が見えなくなり事故に遭う。そんな現実が多く、エイガをスティーブで鑑賞をすることが禁止されてしまったんだ。そしてさらに、今ではスティーブを使っての全ての映像鑑賞が十五秒までと決まっている。通信は別としてな。通信機能での映像は半透明になっていて、現実の世界が透けて見えるようになっているからな。けれど、エイガや映像作品でそれをすれば、しらけてしまう。エイガってのは、ある意味での現実逃避でもあり、それを楽しむ文化なんだよ。

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