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パンクジャズ  作者: 林広正
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 当時の世界の荒れ具合は、今とはまるで違う。暗い世界で、万引きや引っ手繰り、強盗事件が横行していた。世界中で貧富の差が問題になるのはどんな時代でも当然のことだが、当時はそこに、なんの楽しみも逃げ道もなかったんだ。世界ができてからの約二千年間、俺たち人間は、ただ生きるためだけに生きてきた。それが悪いことだなんて思わない。っていうか、それが自然だって、俺は今でも考えている。

 そんな世界が荒れ果てたのは、俺が生まれる百年ほど前からだな。歴史で勉強しただろ? 生まれたときから人生が決まっているってことは、どこの家族に生まれるかが問題ってことだ。まぁ、大抵はそんなことに不満なんて抱かないんだ。親が百姓なら百姓になるのは当然だ。親が王様なら将来は王様だ。それが当たり前だと育っていくものなんだよ。それが崩れたのは、権力者の馬鹿どもが調子に乗ったことと、金はあるが権力のない家に生まれた奴らが反旗を翻したからだ。と言っても、戦争にはならなかった。小さな抵抗の積み重ねで、闇が広がり、治安が悪化した程度だよ。まぁ、当時はとにかく暗い世界だったんだ。俺が若いときが、一番酷かったよ。俺はまぁ、そこそこの生まれだから問題はなかったけれどな。俺の親は先生だったんだ。俺も先生になるはずだったんだよ。信じられないだろ? 実際に数ヶ月は先生として教壇に立ったんだからな。

 俺たちの世界ではさ、二十五までは基本仕事はしないんだ。まぁ、家が農家だったりすれば、子供のときから手伝いをするから、いつから就職なんて決まりはないし、実際に若くから働き始めるもんなんだよ。就職活動が始まるのが、二十五からってことなんだ。学校を卒業してからは、二十五まではやりたいことを自由にやれる時間ってわけだな。さらに勉強する奴もいる。自分で会社を作る奴もいる。ただ遊ぶだけの奴もいるな。卒業してからのその期間は、国から少しばかりの援助がもらえるからな。まぁ、小遣い程度だけど、ありがたいものだよ。確か今は、廃止になったんだっけ?

 その中でも一番多いのは、結婚をして子供を育てることだな。まぁ、俺たちは特別だったから、誰一人としてその時代に結婚はしなかったけれどな。俺の兄貴は、学校を卒業すると同時に結婚してたよ。祝い金みたいなのが貰えるんだったよな。羨ましいことだよ。今ではそんな制度も廃止だけどな。

 この世界では、まぁ基本的にはどの国でも同じ法律だよ。今はまぁ、少しばかり具合が違うんだけどな。それはみんなもご承知だよな。世界は今、変化の最中だからな。こんな時代を生きていることに、少しの誇りを感じている。俺が作り出した音楽は、そのきっかけでもあるんだから尚更だよな。

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