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スティーブの噂は他にもある。この世界の綻びを生み出しているって言う噂だ。俺やそいつが音楽を生み出したことや、その他の過去の文化の焼き直しには、スティーブの意思が働いてるんじゃないかって言うんだよ。まぁ、文化を作り出した俺からの意見ではあるが、その可能性は少ないよな。俺たちは常に、スティーブを避けて生きてきたんだからな。まぁ、利用できるところは最大限に利用しながらな。
スティーブだって馬鹿じゃないからな。俺たちの全てを分かった上で見逃しているのかも知れないが、そこまで賢くはないだろう。スティーブは、俺たちが生み出した結果を利用しているだけだよ。そもそも綻びっていうのは、生み出すことはできない。なぜだかは分かるだろ? もともと綻んでいる箇所を直すから綻ぶんだよ。なにもない場所に綻びを見つけるなんて、神様にしかできないだろうな。
スティーブってのは、本当のところ、意味がわからない存在なんだよな。政府の犬なのか? 以前はそう感じていたが、実はそうでもないってことに今は誰もが気づいている。 まぁ、スティーブはスティーブってことだよ。
スティーブの噂だけどさ、もう一つだけ語ってもいいか? ついでの話が一つだけあるんだ。そいつも関わっているからな。
スティーブってのは、日本人が考えたって噂があるんだよ。それはさっきも話したか? まぁいい。今言いたいのはそこじゃないからな。日本人がスティーブを考え出し、しかも、政府とは反対側の立場にいた、文明以前の人間が作り出したって話なんだよ。これは本当に危ない噂でさ、そのせいでそいつが殺されたって信じている輩もいるくらいなんだよ。まぁ、そうかも知れないが、俺には興味がない。俺が興味あるのはさ、そいつが死んだっていう事実だけなんだよ。
けれどさ、日本人には興味がある。俺は思うんだよな。この世界を生み出したのが誰かは分からないが、文明以前の世界は、日本が中心だったんじゃないかってな。あの国が世界をおかしくし、壊したんだよ。けれどな、それって言うのはさ、この世界から見てってことだ。つまりはさ、以前の世界が壊れたことで、今の世界がこうなったってことだ。分かるだろ? 俺が音楽を始めなければ、この世界は今でもつまらない。俺たちは、ようやく文明以前の世界に追いついたんだよ。スティーブは、そのためにずっと、俺たちの頭に埋まっていたんだ。俺は本気でそう考えている。まぁ、確かめようのない妄想ではあるんだけどな。
爺さんの家で、ソファーに横になっていたときのことだ。あの日は当時の恋人を連れ込んでお楽しみを楽しんでいたんだ。子供の頃は親と喧嘩をしたり、おこずかい欲しさのときだけに顔を出すことがほとんどだったが、年頃になってからは友達や恋人達との溜まり場に利用していた。爺さんは全く怒りもしなかったな。地下室へは外からも入れるんだよ。物置みたいな小屋があって、そこから地下へと続く階段を降りるんだ。おれは鍵を預かっていたから、いつでも自由に出入りができたんだ。まぁ、家の中からも降りられるから、ときには爺さんと鉢合わせすることもあった。そんなとき俺と爺さんは、ニカっと笑顔を交わす。爺さんはたまにだけど、地下室の飾り物を持って出かけることがあったんだ。当時はその行動の目的が分からなかったけれど、きっと、闇にでも行って売ってたんじゃないかって今では想像している。




