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転送技術は、確かに自然の摂理には反しているよな。けれどさ、その最終的な完成には、自然的な発想が役に立ったんだよ。まぁ、言い方によっては超自然的とか言うんだけどな。それを不自然だなんて言う奴もいる。しかしそれは、間違っていると俺の祖父が証明したんだ。魂ってのは、自然の存在なんだよな。俺たち人間だけじゃなく、どんな生き物にも必要なんだよ。魂がない生き物はいないんだよ。まぁ、魂がないように感じる人間は多いけれどな。それは単純に、無機質に見える人間のことを指している言葉上の表現に過ぎない。魂ってのは、死んでからも簡単には消えないしな。食べ物にも、魂の存在は感じられる。まぁ、祖父の発見は、機械には魂が埋め込めないことを証明するきっかけにもなってしまったんだけどな。
植物だって生き物だよな。当然、魂がある。けれどさ、加工されてしまうと魂を失ってしまう。哀しいよな。動物は加工をしても、その魂が残る。まぁ、加工の仕方によっては失われるんだけどな。つまりはさ、人工的な加工では魂は死んでしまうってことだ。焼いたり煮たり、切ったり潰したりだけなら魂は生きていられるんだよ。その詳しい理由は分かっていないっていう現実はまぁ、そのうち解決されるだろうな。
俺が作った楽器には、残念ながら魂がない。しかし、楽器には、というかその音色にはだな、魂を込めることができるって俺は信じている。まぁ、その証明は永遠にできないだろうな。そうする必要もないしな。魂ってのはさ、確かに存在はしているが、そんなことはどうでもいいんだよな。感じるものなんだよ。俺は音楽を感じている。俺の音楽もさ、感じてこそなんだよ。なにも感じない奴には聞いて欲しくない。というか、俺はそんな音楽を作れないからな。俺の音楽でなにも感じない人間はいないんだよ。人間だけじゃない。犬や猫だって、俺の音楽を感じている。だからなんだよな。俺たちの音楽はいつまでも愛されている。まぁ、哀しいことに今では魂のない音楽が溢れているんだよな。
俺の親父は、転送技術を開発している会社の職員だったんだ。まぁ、親父はただの事務職で、開発はしていなかったんだけどな。祖父のアイディアを同僚に伝え、その同僚が最終的に開発を成功させたんだよ。
転送装置の開発が最終段階に到達したとき、俺の親父が大勢の被験者を募集して一斉に実験をしたらどうかと提案したんだ。馬鹿げた提案というか、素晴らしい提案というか、その判断は難しいよな。
俺はその実験を実施を知り、親父に直訴した。世界の運命がかかっている大実験だ。親父の話では、すでに転送技術は熟成しているってことだ。俺はそれを信じていたし、実際に前段階の実験現場にも顔を出していた。当然、その理論の研究もしていたんだ。絶対の自信があった。そしてなにより、世界初の転送経験者になりたかった。




