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トイミンタは、歩きながら行うガメだ。日常の中に紛れ込んだ敵をやっつけたり、宝物を探したり、仲間を見つけたりしていく。もちろん基本は仮想現実であり、本当になにかをするわけではないんだが、ガメを通して本当の友達を見つけたり、遺跡やら未知の生き物を発見したりすることはあるんだ。それを聞くだけで、人気になる理由は理解できる。まぁつまりは、現実と空想が入り混じった世界を楽しむことができるんだ。しかも、スティーブの存在を無視しながらな。そこが革新的で、世界を変える可能性に満ちていると言われる所以だ。
トイミンタの凄いところは、実際の街の情報を取り込み、それをガメに反映させることは勿論のこと、その情報を更新できることにある。情報ってのは案外いい加減なものだからな。それはスティーブを使っている俺たちなら十分に理解しているだろ? スティーブの情報は、なかなか更新されないんだよな。世界中の意見をまとめているから当然といえば当然なんだが、それがいけないんだよ。世界中の意見ってのは、案外役に立たない。主観的で自分勝手な意見が多いんだよな。それじゃよくないだろ? 本当に役に立つ情報ってのは客観的でありながら個人の意見をしっかり言えてるんだよな。スティーブの情報は情報過多ってことだ。トイミンタではそうはならない。なぜかって? 実際にその場で感じた情報だけを更新していくからだよ。映像を見ただけで勝手な意見をいう奴の情報は受け付けない。知り合いからの情報や、多分なんていう想像も受け付けない。想像ってのは、たいていが間違いだからな。想像力のある人間ってのは、勝手な想像で会話をしないもんなんだよ。俺はいつも想像ばかりだ。だって仕方がないよな。俺ってまったく想像力のない妄想男なんだ。
トイミンタの遊び方にはもう一つ重要な要素があるんだ。それは、転送だよ。転送をすることでしか進まない物語が織り込まれているんだ。トイミンタにはしっかりとした世界観が存在する。ただ単純な冒険とは違うんだよ。架空世界からやってきた戦士とともに、誘拐された姫を救い出す。架空世界からは姫を誘拐した敵の仲間も、戦士の仲間もこの世界に迷い込んできている。敵をやっつけながら仲間を探し、姫の居所を突き止めていく。敵をやっつけると得られる情報を元に、転送を繰り返し、世界中を旅しながらガメを楽しむんだ。
ナミオはこのガメを数年前に生み出した。世界中で大人気なのは勿論だが、スティーブを使わないそのシステムに世界は注目をした。転送装置との連動も、面白い試みだった。コンタクタと転送はつながっている。コンタクタ同士も繋げることができ、スティーブの代わりになると言われ、今まさにそんな動きになりつつあるんだ。コンタクタでの転送も、ある程度は可能なんだ。スティーブとの連動も可能なんだが、どういうわけか、世界はスティーブとコンタクタを別物として分けている。
スティーブにだって転送機能はついている。まぁ、実態あるものの転送はできないんだがな。音声と画像、それから文字と匂いくらいだな。コンタクタと同レベルだ。しかし、これはあくまでも噂だが、スティーブ以前から転送の実験は始まっていたそうなんだ。スティーブは文明誕生以来から存在するって噂だから、転送は文明以前から存在するってことだ。まぁ、噂としては怪しい部類に入るな。当時は食べ物を送ることから始まったそうだ。ただ送るだけなら意外に簡単だったそうだ。誰が発明したのかは覚えていないが、確か日本人だったはずだよ。あの国の人間は、発明好きが多いようだな。スニークそのものの発明はしていないが、ホンダもトヨタもヒノも、日本人が手を加えて世界に広めたものだ。
パンを転送すると小麦粉になる。肉を転送すれば生き物の死骸だ。それが最初の成功だった。しかし、一緒に転送した皿を送ることはできなかった。その場で割れたりドロドロに溶けたりとしたようだ。それでも少しずつの改良を続け、元の形そのものに転送する技術を高めていった。形ある物の転送は、すでに数百年前には完成されている。おかげで俺たちは、食事や買い物の楽しさを知らなかったんだよ。まぁ、俺は今もまだ知らないんだが、そんな楽しみを見出している若者が最近は増えているようだよ。




