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勝負は二人で行うのが標準だ。三人以上でもできなくはないが、楽しさは下がり、難易度は上がる。最終的には必ず、二対一の構図ができてしまう。いじめの道具にする輩もいるそうだ。ガメは通常ブロックの色を選ぶところから始まる。選んだ色の濃淡で順番が決まるんだが、濃い方が先か淡い方が先かは、スティーブがその都度決めている。
このガメは、学校で大流行りだったそうだ。特に低学年に人気だった。当時の遊びってのは身体を使う遊びがほとんどだったからな、頭を使う新しい遊びに誰もが夢中になったんだよ。
その後、ガメは進化を続けていった。ブロックをただ重ねるだけではなく、上から落ちてくる様々な形をしたブロックの塊を決められた範囲内で自由に向きを変えながら好きな場所に落としていく。横一列がブロックで埋まると、その横列全てのブロックが消えていく。次から次へと落ちてくるブロックを、重ねては消していく。それだけの遊びだ。範囲内をブロックが一つでも超えてしまうと終了。実に単純で、中毒性のある大人でも楽しめるガメだよ。俺も一時期、はまり込んでしまった。娘が作ったガメだとは知らずにな。
そのガメは、ネルヤと呼ばれている。ガメが進んでいくと、ブロックの落ちてくる速度が速くなったり、対戦型を選択すると相手が消したブロックの一部が下から突き出てきたりと、飽きのこない作りになっているんだよな。ミナオは天才だって、俺だけでなく世界が認めていたよ。
しかし、ミナオが本当に世界を変えるガメを作り出すにはそれからも長い時間がかけられている。
ネルヤは世界中に愛され、ガメの存在がただの子供の遊びではないと認められるきっかけになったんだ。その後、多くのガメが作り出されるきっかけにもなった。スティーブで遊べるガメが大量発生したんだ。けれどまぁ、どれも発想が似たり寄ったりだったよ。ミナオの真似をした亜流が増えただけだったからな。
そんな中、ミナオはまた別のガメを生み出した。主人公が縦横自由に冒険をする物語風のガメだ。そうはいってもまぁ、敷かれたレールの上を進むってだけだったんだ。それでも革新的で、大ヒットしたよ。その後、少しの間は空いたが、自分で選択肢を選べる物語としてのガメを作り出したんだ。これが今に繋がる世界を変えるきっかけになったんだよな。アルプジーと呼ばれるジャンルのそのガメは、プレイヤーによって結末はもちろん、その過程も、物語の方向性までもが変わってしまうんだ。まるで人生そのもだっていう奴もいたよ。けれどそれだけではやっぱり、ただのガメでしかなく、世界を変えるほどの力はなかった。当然のように模倣品も多く出現したが、それが限界だったんだよ。
ガメが大いなる進化を遂げたのは、スティーブからの呪縛を解いたからだ。スティーブを利用して作り出されたガメが、スティーブを必要としなくなったとき、ようやく革命が訪れたんだよ。
ミナオが生み出したガメは、ミナオの手により自由になった。どういう意味かは、この世界の住人なら分かるだろ? 今やガメは、どこにいても、誰とだって、どんなメディアでも楽しむことができるんだ。さらに言ってしまえば、時代さえも超越してしまう。
最新のガメはまるで、仮想現実なんだよ。しかも、過去にも未来にも行き来ができる。簡単に言ってしまえば、夢の中で遊ぶことができるって感じだな。今やもう、スティーブを通しての映像には頼らないんだ。現実に行動を起こし、現実のガメを楽しみ、攻略していく。俺はまだ実際に試していないから分からないが、なかなかに楽しいそうなんだ。トイミンタなんて呼ばれている。
スティーブには頼らないが、トイミンタをするには装置が必要だ。眼球に薄っぺらで柔らかい円型の装置を取り付けるんだ。俺にはちょっと気持ちが悪い。コンタクタっていう名前だ。そいつを二つ、両眼に取り付ける。コツはあるそうだが、慣れると自然に取り付けられるそうだ。眼の中に生じる違和感も、数秒でなれるらしい。コンタクタには、画像が映る。その画像を見ながらガメを進めていくんだ。画像は現実の世界とリンクしているから、目の前が見えなくなる危険はないように工夫されている。




