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パンクジャズ  作者: 林広正
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5

 俺たちは、当然のように月でもライヴを開催している。今では太陽系の全ての星に、人類が暮らし、転送で行き来ができるようになっている。銀河系の一部にも人類は進出しているが、いまだに未知の知的生命体とは出会えていない。微生物やら植物やらはいるんだが、アリンコほどの生命にも出会えていない。

 宇宙は俺たちの想像以上に広い。いつの日か、地球外生命体に出会えると感じている。スティーブを搭載した光装置を宇宙に飛ばし、今では銀河系の外へ飛び出しているが、いまだに出会えていないのは悲しいことだよな。宇宙にはいくつもの銀河があるが、光装置が届いた銀河はまだ三つだ。まだまだこれからの話なんだよな。宇宙を知るには、それなりの時間が必要ってことだ。宇宙には外側の世界があるかも知れないっていう話もあるしな。まずは宇宙全体を知ることから始めているってわけだ。地球のことすらその全体の把握には至っていないのにってことは気にするな。

 三姉妹の末っ子は、ガメクリエイターをしている。今や大人気の最新の職業だよな。末っ子のミナオは、俺以上の天才かも知れないんだよ。二人の姉より七年遅れて生まれてきたミナオを、俺は特別甘やかした。その結果なのかどうかは分からないが、とんでもない世界を作り出そうとしている。まぁ、ミナオはそれを学生時代から始めていて、目が出てきたのは最近の話なんだがな。ようやく時代が追いついてきたんだろうな。これからまた、世界は変わっていく。しかしそれは、残念なことに、俺が生きているうちには間に合わないだろうな。表面的な世界はあっと言う間に変化を見せる。今がまさにそうだが、内側からの変化を見せるのには時間がかかる。長ければ数十年だ。早くとも五年はかかるだろうな。音楽で世界が変わったときもそうだった。五年後からなんだよ。内面の変化が見え始めたのはな。まぁ、こんなことを言うと、周りは必ずこう言うんだ。お前はまだまだ死なないってな。俺はいつ死ぬんだろうな? そんなこと、どうでもいいか? もしも生きていて、世界が変わっていく様子を酒でも飲みながら眺められれば最高なんだけどな。娘が作ったガメで世界が変わっていくんだ。是非ともその後の世界を味わってみたいものだ。

 ミナオは学校で、教育学を学んだ。主に小さな子への教育だ。幼児教育ってやつだな。俺が思うに、一番大変で、一番大事な教育期間だよ。まぁ、本来ならな。そいつをおろそかにしている学校は多い。まぁ、学校だけでなく、家庭での教育も重要で、そいつもまたおろそかにされていることが多いんだけどな。っていう俺もまた、おろそかにしてきたのは否めない。

 俺はミナオが学校でなにをしていたのかを全く知らなかった。何十年も経ち、こうしてガメが話題になってから初めて知ったんだよ。けれどまさか、そこでの勉強からこんな発想をするなんて不思議だよな。これは全くの個人的予想に過ぎないんだが、このガメってのは、文明以前の産物からアイディアを頂いたんじゃないかって思うんだ。

 最初のガメは、スティーブを使って映し出した映像にブロックを積み重ね、縦でも横でも斜めでもどこでも構わないから七つを直線に並べたら勝ちっていう遊びだったんだ。もちろんそれも、俺の娘が考え出した。

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