表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンクジャズ  作者: 林広正
47/102

12

 ナオコとの間には三人の子供がいる。全員娘だよ。娘ってのは本当に可愛いが、女は生まれたときから女なんだよな。息子と違ってガキンチョでいる時間がほとんどない。態度や仕草に色気がある。心配事が消える日は、いまだにやってこないよ。

 ナオコと別れたのは、まぁ、俺のせいかも知れないな。世間でなにをどう言われようが、ナオコに非はない。俺がそう言うんだから、間違いないし、それでいいんだよ。

 俺は娘達を可愛がり過ぎたようだな。やりたいことはなんでもさせ、欲しいものはなんでも与えた。ナオコはそれが気に入らなかったようだ。なんでかはよくわからない。まぁ、俺とは考えが違うんだよな。俺は子供達に自分と同じ人間になって欲しいとは思わない。俺ができなかったことをやらせたいと考えていた。しかしナオコは、娘達に自分と同じ様に育って欲しいと願っていたんだ。自分が子供の頃にしてきたことをなぞる様に、同じ習い事をさせ、学校まで同じ学校へと通わせたんだ。まぁ、どんなに遠くても、当時はすでに転送が一般的だったから問題はなかったんだけどな。そこまでしなくても、いい学校はこの国にもある。俺にはどうでもいいことだったがな。学校なんて、どこも似た様なもんだ。どんな学校に入るのかじゃなく、そこでどんな生活を送るかは自分次第の他ならない。

 それでもまぁ、俺とナオコの関係は良好だった。今でもそうだ。それほど険悪ってことはない。ナオコの個展には顔を出すしな。ナオコも俺のショウを見にきている。離婚をしたのは、本当のことを言ってしまうと、俺が若い娘に恋をしたからだ。仕方がないよな。誰かを好きになるっていう気持ちを止めることはできない。俺はただ、感情に従っただけだ。ナオコにしても同じことだ。感情に従い起こした行動に、俺は非難するつもりはないよ。ナオコは離婚をするための、会議を要求したんだよ。この世界は基本、なにをするにも自由だ。まぁ、見えない規制はこの際無視しての話だがな。しかし、他者間の意見が食い違ったりすると、多少面倒なことになる。スティーブに意見を預け、役人を交えての会議をしなくてはならないんだよ。どっちが正しいとか、どっちの意見を尊重するとか、和解案をどうするべきかとか、そう言った下らないことを決めるための話し合いをするわけだ。とは言っても、会議の内容はいつもだいたい決まっている。会議をするってことは、なんだかんだと言い訳やら屁理屈やら言いがかりをつけ金を要求することとイコールなんだよ。

 ナオコは俺から当時の財産を三分のニほど持っていったんだ。俺としては妥当だと感じている。俺はナオコとの出会いで更なる飛躍をしたって信じているからな。まぁ、俺からの不満と言えば、ナオコからの請求が金だけだったってことだ。俺は知っているんだ。あいつは初めから、俺の金を愛していたってな。それでも俺は構わない。って言うか、金を持っているってのも、今では俺の魅力の一つだろ? 貧乏が魅力の人間と、たいして変わらない。まぁ、魅力ってのは人それぞれの背景ってことだからな。

 ナオコは三人の娘を俺が預かることになんの迷いもなく合意した。それが最大の不満だな。ナオコが娘達を愛していないわけじゃないことは百も承知だ。俺が娘達を離すつもりがないことも知っていたはずだしな。それでも少しは抵抗するって俺は考えていたんだ。あんまりにあっさりした結果に、拍子抜けしたとも言えるな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ