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パンクジャズ  作者: 林広正
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 平和と愛の表現が、理解できないんだよな。その意味を知らないって言った方が正しいかも知れない。平和も愛も、真っさらな心にこそ存在し得るからな。しかし連中は、そんな俺たちを下品だと言ったんだよ。よく言うよな。裸で愛を表現することが下品だとさ。俺たちは自然のままの行動をしただけで、いやらしいことは一切していない。そもそも、性を売り物にしている連中が多く存在するこの世界で、よく言うよなって感じる。言っちゃ悪いが、顔を表に出す商売ってのは、本人の意思とは関係がなくそうなってしまうもんなんだよ。それを分かった上で商売している奴は意外と多いんだよな。男も女も、見た目を着飾るってそういうことだ。俺はそれが悪いとは思っていない。こう言っちゃなんだが、俺だって性を売り物しているってことは理解しているからな。俺の踊りがいやらしいってのは、ずっと言われ続けている。けれどまぁ、それって悪いことじゃないだろ? 異性に対して性的魅力を感じてもらえるってことは、むしろ嬉しいことだよ。最高の褒め言葉でもあるって俺は感じているくらいだからな。けれどまぁ、俺とナオコは批判をされたんだよ。

 俺の人気は下がらなかったが、ナオコと一緒にいることだけは常に批判をされ続けたよ。離婚をした今でもそうだ。どうしてあの女と結婚をしたんだ? 理解に苦しむらしい。ふざけた言いがかりだよな。俺はナオコといる時期に、多くの傑作を生んでいるんだ。俺たちが始めたことで今では常識になっていることのほとんどは、ナオコのアイディアやアドバイスが効果的に作用している。ナオコはあれで、アーティストなんだよな。俺と出会う前から、個展なんかを開いていたんだ。仕事とは別にだな。なんでも学生時代に始めたそうだ。なかなかに面白い作品を展示していた。天井に穴を開け、中を見てと矢印で記す。近くに置いてあるハシゴを使って登り覗いてみると、楽しかった? なんて書いてある。俺のお気に入りだよ。ベッドイン後のナオコは、そっち方面への力の入れようが増していった。ベッドインの発想も、ナオコによるところが大きかったしな。注目を集めるってのは、あまりいいことじゃないのかも知れない。ナオコは注目されすぎた。ナオコにとっては、出産も作品の一部だったんだ。子育ても、生まれてきた子供そのものまでもを作品のように扱っていたんだ。まぁ、その点は俺にも非があるんだけどな。俺は娘の名前を題材に、曲を作っている。

 しかし、俺への非難はほとんどなかった。むしろ俺が作ったその曲は、世界中で愛され歌い継がれている。非難されるのは、いつだって妻の方だった。だがあいつは強かった。決して負けないんだよな。後ろに引くってことを知らないんだ。次々と色々な発想で作品を生み出していった。音楽についても同様で、俺と二人でおかしな作品を作っては表現していたんだ。

 ナオコがいなければ・・・・ なんて言葉を世間は多く発している。俺もそう思うが、世間とは意味が違う。世間では、ナオコのせいで俺がおかしくなったとか、ライクアローリングストーンの評判を下げたとか、つまりはまぁ、俺と一緒になったことへの不満ばかりだってことだ。けれど俺は、ナオコがいなければ今の俺はもちろんだが、これまでの俺の存在全てがなかったと思っているんだよ。ナオコからの刺激を受け、俺は成長した。まぁ、子供達からの刺激も大きいんだけどな。

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