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パンクジャズ  作者: 林広正
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 マネキンが動くってのは、初めは怖かったよ。けれどその顔が、恐怖を薄めたんだ。そりゃあそうだよな。エジプト系の顔は、その美しさだけでなく、優しさも兼ね備えているんだ。

 結婚会はそりゃあ盛大だったよ。評判も良かったしな。しかし、その後が少し問題だったんだ。俺たちはちょいと調子に乗ってしまったんだよな。時代的な理由もあってな、二人で裸になり、ベッドに入る様子を公開したんだ。平和と愛を表現したってわけだ。ホテルの一室で、ギャラリーがいる前でな。大いに受けたことは確かだ。いまだにその画像をあちこちで見かけるからな。評判も良かったはずなんだよ。しかし、一部の連中が猛烈に批判をしたんだ。なんていうか、滑稽な連中だよ。カンガルー保護の連中によく似ているよな。

 カンガルー保護については知っているだろ? 俺はまぁ、元々食べたこともないし、食べたいと思ったこともないからどうでもいい話ではあったんだけどな。ああいうやり方は気に入らない。元は確か、大学生が始めた路上パフォーマンスだったんだよな。カンガルーの肉を食べるなんて野蛮だと言い出したんだ。あんなに可愛いくジャンプする生き物を食べるなんて可哀想なんだとよ。お腹の袋で赤ん坊を育てる母性と知性を冒涜しているらしい。まぁ、最初は誰も相手にしなかったよ。なんせカンガルーを食べるのはオーストラリアくらいだからな。他ではまず食べない。興味すら持てない言葉だったんだ。俺たち大人にはな。しかし子供の耳にはちゃんと届いてしまったんだよ。可哀想だよと、泣きながらスティーブに訴えた姿が世界に配信され、それが多くの共感を呼ぶことになったんだ。おかしな大人ってのはどこにでもいるんだよな。そんな感情を利用したんだよ。俺には意味がわからないが、カンガルーの肉を食べる輩を批判することで得られる利益があるんだとよ。全く、おかしな世界になっちまったもんだ。カンガルーってのは、今や世界中で繁殖しているっていうのにな。その数はまぁ、それほど多くはないが、食用にしても困らない程度の数はいるんだよ。そんなことは世界が分かっている。それでも、自分たちの利益のため、思ってもいない批判を繰り返す。俺たちへの批判も、そんな滑稽な連中が言い出したんだよ。

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