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パンクジャズ  作者: 林広正
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4

 愛っていうのは、そこかしこに浮かんでいる。俺はただ、その愛を掴んだだけだ。その掴んだ愛の片端を、サリも同時に掴んでいたってわけだ。愛し合うって、そういうことなんだよ。それはなにも、特別なことじゃない。異性に対しての性的関係を含めた愛もあれば、性的関係のない愛もある。同性同士にたいしての愛も存在するってことだ。だってそうだろ? 家族に対しての愛に、性的要素は一切ないんだからな。

 俺はサリと歩くのが好きだった。寄り添って手を繋いたり、少し離れて見つめ合ったり、その空間を共有するだけで楽しくなるんだ。今でもそうだよ。サリが側にいると、俺は機嫌がいい。ずっと一緒にいたいって、不思議と今でも感じている。

 そんな俺がサリと別れることになったのは、スティーブの意思によるものだったんだよ。気持ちが離れたわけじゃなく、サリが息子をウツヨキで育てたいと言ったんだ。俺はそれを承知した。息子は少し、身体が弱かったんだ。喘息って病気は、薬が効かない厄介な病気なんだよ。自然に逆らった代償なんだろうな、きっと。自然溢れる中に戻ればあっという間に治っちまうんだから驚くよ。

 息子とは頻繁に会っていたんだが、サリとは会わない日々が続いたんだ。連絡もしなかったのは、心で通じていたからなんだけどな。息子を通しての会話もしていたし、二人の気持ちは決して離れていなかった。まぁ、俺の気持ちはいつだって、一人に向けてなんてわけにはいかないんだけどな。それは仕方がないことだ。なんせ俺は、世界中のみんなを愛している。そして、その多くから愛されてもいるんだからな。

 サリとの離婚が成立したことは、突然スティーブから知らされるんだ。前触れなんてなにもない。伺いをたてることも一切なしだ。俺もサリもびっくりだったよ。けれどまぁ、ときはすでに遅しだよ。離婚は、スティーブの匙加減ってことなんだよ。

 けれどまぁ、俺は少しばかりの感謝をしてはいるんだ。そのおかげで二度目の結婚に辿り着いたんだからな。

 二度目の結婚は、なんとも微妙だったな。俺は確かにあいつを愛していたし、あいつも俺を愛してはいたんだが、まぁ、その感情の矛先は人それぞれってことなんだよ。あいつとの出会いには感謝もしているしな。

 あいつとの間には三人の子供がいる。あいつは俺を愛しているというよりも、俺の背景を愛していたんだよな。それが悪いとも、裏切りだとも思わないよ。ただ、俺としては面白くなかったってことだ。あいつの愛の矛先を感じるほどに、俺の愛が薄れていく。そしていつしか、一緒にいたいという気持ちが消えてしまったんだよ。

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