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パンクジャズ  作者: 林広正
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第3話、1



   第3話



 サリとの結婚は、幸せしかなかった。離婚の原因は、特にはないよ。離れていたくなるときもあるだろ? その時間が長くなり、離婚という結果になっただけだ。

 結婚と違い、離婚は簡単だ。結婚には、自らの意思と申請が必要だが、離婚にそれは必要ない。スティーブは、俺たちの感情とその行動から、勝手に離婚を受理し、書類に書き込んでしまうんだ。同じ空間にいる時間がなくなり、連絡も取らなくなると、その二人の感情を考慮しながらも、離婚が成立してしまう。一緒に暮らしていても、感情の離れ方によっては離婚を成立させられ、離れて暮らすようスティーブに指示をされる。どちらかが死んでしまえば、残された方の感情には関係なく離婚扱いとなる。まぁ、全てを勝手に判断してくれるのは楽でいいよ。

 結婚も離婚も、所詮はスティーブの中で管理されている書類上の事実ってだけに過ぎない。つまりはどうでもいいことなんだ。家族の繋がりっていうのは、そんなに単純なものじゃない。会わないでいる期間が長くなるのは当然として、感情が離れることだって多々あるんだよ。それでも心の奥ではつながっている。それこそが家族なんだよな。まぁ、スティーブにはまだ、その辺のところが理解できていないんだよ。こう言っちゃなんだが、俺たちの生命体とは異なるってことなんだよ。考え方によっちゃ、心はあるかもしれないが、スティーブに生命はないからな。

 ウツヨキでの体験は、俺の心を少し、変えてしまった。サリへの愛情とか、そういうこととは別の話でだよ。俺の心がサリに奪われたのは事実だが、それとは違う、音楽的な心が変化をしたんだ。

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