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パンクジャズ  作者: 林広正
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 俺はその場でサリに一緒にならないかと言ったんだ。恋をする瞬間なんてそんなもんだよ。見た目の雰囲気とちょっとした会話だけでじゅうぶんにサリがどんな人間なのかが想像できた。まぁ、それはちょっと大袈裟な言い方だけどな、俺との相性だけは確認できたよ。

 俺はサリと一緒に箱型スニークに乗り、ウツヨキへと向かった。空気が冷たく、綺麗な街だよ。ほのかに感じる甘みが、心を暖めてくれる。サリがこの街で生まれたことを、なぜだか誇らしく感じたんだ。

 俺はその日、白夜を体験した。不思議な感覚だよ。夜になっても暗くならない。夜更かしをしたときに感じる浮遊感とは違う、はっきりとした夢の中にいる感覚になるんだ。ちょっと表現に無理があるか? まぁ、一度訪れるといい。冬の極夜もまた、不思議な感覚を体験できるからな。

 その日のうちに俺は、サリの両親と会い、結婚をした。結婚をするには親の承諾が必要だろ? まぁ、親がいない場合はスティーブが代わりになってくれるんだがな。っていうか、親がいてもその届け出をスティーブにするってのはどういうことなんだ? 理屈としての説明の意味は分かるが、現実の感情としてはまるで理解不能なんだよな。この世界はいまだに、スティーブが牛耳っていると感じるんだ。

 この世界の全ての情報は、スティーブの中に保存されている。住人情報を記録するためにも、スティーブに報告するってわけなんだよ。面倒な世界だよな。結婚くらい自由にさせろってな。

 まぁ俺は、そんな不自由を苦にはしない。スティーブとは、うまく付き合っていくに限るんだ。結婚の情報を知らせるのだってそれほど面倒じゃない。書類の作成だって勝手に作ってくれる。特に審査があるわけでもないしな。なにかを規制しようって考えは、スティーブにはないはずなんだ。ただ、なにかをコントロールしようとはしているようだがな。

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