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パンクジャズ  作者: 林広正
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 現代のサンタクルースは、そのロバニエミに暮らしているんだ。なんでかわからないか、サンタクルースには寒くて空の綺麗な街が似合うんだよ。そしてこれも不思議だが、現代のサンタクルースはトナカイと生活をしているんだよ。そのトナカイに乗って、十月の最後の日に世界中の子供達にプレゼントを配るんだ。モデルになったじいさんとは違い、そっと家に忍び込んで枕元にプレゼントを置いて行く。ちょっと怪しいよな。今の世の中、スティーブに制御されているから他人の家に忍び込むのは不可能なんだよな。すぐに通報されるか、どこかに設置されているスティーブからの攻撃を受けて動けなくなってしまうんだよ。サンタクルースはスティーブの化身じゃないかって噂だ。まぁ、俺はサンタクルースからのプレゼントなんて貰ったことはないけれどな。それどころか、サンタクルースの代わりに子供達にプレゼントを渡していたくらいだよ。

 けれど俺は、サンタクルースが好きで、スオミが好きなんだ。なんて言うか、スオミっていうのは暖かいんだよな。とてつもなく寒い国だっていうのにだよ。暖房設備の話をしているんじゃないんだ。住んでいる奴らの心の問題でもない。とにかく一度足を運べばわかるよ。何年か前には、世界で一番幸せな国って呼ばれていたからな。まぁ、サンタクルースの容姿に象徴されているのかも知れないな。ふっくらとした体型で、白い髭を胸の辺りまで蓄えている。

 俺は、ロバニエミからスニークを乗り継いでウツヨキを目指すことにしたんだ。理由なんて聞くなよな。なんとなくそうしようってだけで、なにも考えていなかった。連結型スニークだけではウツヨキには辿り着けないってことを知ったのは、終着駅に着いてからだったよ。初め俺は、なんとなく北を目指しただけだったんだ。ウツヨキを明確な目標にしたのは、サリを着ていたあいつが友達と話していた会話を耳にしたからだ。スオミ最北の街、サリはそこの生まれで、家に帰るところだったんだよ。サンタクルースの街で妖精の仕事をしているとかなんとか、友達と仲良く会話をしていたんだ。俺が興味を持ったのは、サリの瞳の色だよ。本当に妖精なんじゃないかって思うほどに薄っすらとした緑と青だったんだ。右が緑で左が青だよ。知っているか? 日本っていう国では、緑って言葉を使わないんだよ。緑系の色は全て、青なんだよな。分かるような気もするが、まるで分からないとも言えるよな。スコットランドはまぁ普通だが、スオミでは色の表現が多いんだよ。あいつはよく、その瞳を季節や時間ごとに細かく色分けして表現するんだよ。お前が勝手に作った言葉だろと聞いたが、スオミでは当たり前だと笑われたよ。スコットランドって、表現に乏しいのねとまで言われたからな。一年中雨が降っているからかしらの言葉には、思わず吹き出して笑ってしまったよ。確かにそうだと思ったんだ。スコットランドはほぼ毎日が曇り空だからな。色彩感覚が乏しくなる国民性には頷ける。

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