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パンクジャズ  作者: 林広正
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 俺が旅したその日は、白夜だった。太陽が沈まないってのは、不思議な感覚だな。夜でも明るく太陽が輝いているんだ。俺は転送装置でロバニエミまで行ったんだ。あそこにはサンタクルースがいるんだ。知ってるか? サンタクルースにはモデルがいるそうなんだよ。十月の最後の日、近所の子供達にプレゼントを配っていたじいさんがそのモデルだ。玄関をノックし、悪い子はいねえか? と言い、いい子にしているよと答えるとプレゼンを貰えたらしいんだ。その風習は今でも残っている。まぁ、少しばかり今風に代わってはいるけれどな。当時のモデルになったじいさんの姿は、ボサボサの黒髪に無精髭だったそうだ。服装はどこへ出かけるにもしっかりとしたスーツを着ていたんだ。まるで今のサンタクルースの姿とは違うよな。

 俺はスーツなんて着たことがないよ。スーツってのはこの世界の正装なんだよな。それは知っているし、俺も一応は持っているよ。けれどまぁ、俺は好きじゃない。理由はないんだが、おかしな感じがするんだよな。一枚の長い布を身体に巻きつけるなんて、面倒だしな。正直俺には、上手に着こなす自信がないな。別名がサリって言うんだろ? 女性が着たときにはそう呼ぶことが多いって言うよな。その名前は気に入っているんだ。サリを着ている女性にも魅力は感じるよな。俺の最初の女房も、出会ったときにはサリを着ていたんだ。なんせあいつの名前がサリって言うんだからな。

 現代のサンタクルースはスーツなんて着ていない。俺の普段着と同じで、着物姿なんだよな。着物ってのはまぁ、着る物の意味なんだけど、この世界では、黒のジャケットと白の袴に帽子っていうスタイルなんだ。帽子に拘りは少ないな。どんな帽子でもいい。色も形も自由だよ。サンタクルースは、白いボンボンがついた赤主体のナイトキャップを被っている。俺は黒のぺったんこ帽子だ。まぁ、ステージ上での俺の姿は少し違うんだけどな。俺のステージ衣装は、今じゃあスーツ以上に普及をしていている。今日の俺を見れば分かるだろ? って言うか、あんた達も俺と似たような格好をしている。スーツに代わる正装ってとこだな。まぁ、お堅い感じじゃなく、遊び向けの正装だよ。

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