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パンクジャズ  作者: 林広正
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 俺が乗っていたのは、スニークと呼ばれる二人乗りの光浮遊装置だ。今じゃめっきり見かけないが、当時は流行っていたんだよ。馬をイメージしたフォルムがお気に入りだったんだ。後になってわかったことだけど、あのデザインは文明以前の文化からいただいたようだよ。誰が作ったのかはよく知らないが、形のある本でそんな乗り物を見たことがあるんだ。

 スニークは箱型の方が主流だよな。五人乗りが標準だったけど、三十人以上ってのもある。荷物を運ぶでっかい荷台つきもあるしな。基本二人乗りをホンダと呼び、箱型をトヨタと呼ぶんだ。荷台付きはヒノなんて呼ばれているよ。まぁ、その意味は不明だ。

 俺はホンダが好きでね、今でも所有はしているんだ。敷地内でしか使用していないけれどな。

 転送はあまり好きじゃない。けれど、今となってはあれなしの生活は無理に等しいよな。どこへ行くにも、転送なら五分とかからない。昔と違って危険もないしな。ツアーの日だって、五分前まで家で寛げるんだ。最高だよな。まぁ、そのお陰で失った娯楽も多いんだけどな。旅する楽しみは、半減だな。っていうか、世界中の全てがご近所なんだ。どこへ行っても近所への散歩感が拭えない。スニークでの旅は、出会いもあちこちに転がっていた。飛行型スニークなら海外へも行けるし、海底型や海上型だってあったんだよな。俺の好みは海底型だ。海の景色を眺めながらってのは気分がいいものだよ。

 昔はごく当たり前にスニークが街中に溢れていた。固定通路式のスニークは、いっぺんに百人くらい乗れる箱を十箱くらい繋げて引っ張っていたんだ。今じゃ世界のどこにも残されていないが、あれで仕事や学校に通うのが当たり前の時代だったんだよな。連結型スニークって呼ばれていたんだ。俺は主に、一人旅を楽しんでいた。見知らぬ人との出会いが多く、楽しいんだよな。男とも女とも、色々楽しませてもらったよ。箱型はツアーの移動でよく使っていた。その街々で出会った女達を乗せては楽しんでいたな。旅っていうのは、そういう楽しみで一杯だったんだよ。

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