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パンクジャズ  作者: 林広正
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 俺はその形のある本の現物を爺さんに見せたが、知らないと言われた。見たこともないその姿に、燃やしてしまえと言う始末だ。俺はなんだか危険な感じを受け、形のある本の存在を他では口にしないと決めたんだ。ライクアローリングストーンのメンバーにも、今に至るまで話してはいない。まぁ、そいつには知られてしまったんだけどな。

 爺さんの家は、全体が煉瓦造りで、地下室の壁までが煉瓦を貼り付けている変わった家なんだよ。今時は、全てがプラチナ加工ってのが常識だろ? 煉瓦なんて土だよ。叩けば壊れる家なんて、怖くて仕方がない。

 けれど爺さんは、煉瓦造りの家に拘ってきた。その理由は、代々受け継いできたからだなんていうつまらないものだったけれど、それはそれで素晴らしい理由でもある。煉瓦ってのは土を固めて焼いて作るんだよ。プラチナに比べれば脆くもあるが、日常生活の上では頑丈でもある。手入れをすれば数千年は持つんじゃないかとも言われているからな。爺さんは、訳も分からずに一冊の形のある本を守ってきたってわけだ。そこにそれがあることすら知らずにね。

 いつの時代の誰がそこに隠したのか、見当はつかない。まさかあの家が文明以前から存在しているとは思えないしな。いくら古いとはいえ、それはありえないと俺は思っているよ。今度鑑定でもしてみるかっていつも思っているんだが、ついつい忘れてしまうんだ。余計な詮索って、なんだかあまりいいイメージが湧いてこない。しかし、案外と本当に文明以前からの建物だったりしてな。そう考えると、あの家の丈夫さに納得ができるんだ。似たような建物は以前には幾つかあったが、あんなにも長持ちの家は他には存在しないんだよ。長年の手入れで、煉瓦は強度を増していく。とは言ってもまぁ、やっぱりそれはありえないな。

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