決着
「こんど こそ つ かまえた ぞ」
やれ。
今だ。
さぁやれ!
燃え滾るような闘志がバオバオの目からジェイクの心臓へと燃え移った。
「はい、(開門)します!」
グルグルの鼻に、忌まわしい潮と魚の生臭い匂いが漂ってきた。
そんなはずはない、ここに海水は無い、さっきまで自分で確認したはずだ。
どこだ? どこから? 臭いはすぐ近くに・・・。
「ほ~、テメェが聞いてた三色猿か、待ってたぜぇ~暇で寝ちまいそうだったがよ」
瓢箪の口が砕け、内部の光の輪から何かが覗いている。
それはコバルトブルーの鱗に覆われ、研がれた包丁のような爪を向けている。
危険だ、何かは知らないが、嫌な予感がする。
「くたばれ!」
逃げようとしても、牙が抜けない、首が動かない、仇敵が自分の首を掴んでいる。
それは自分を離すためではない、放さないために掴んでいたんだ。
噛みついたんじゃない、噛みつかされたんだ。
グルグルは自分がとんでもない毒餌に食いついたと気づいた時、知らない何かに顔面を鷲頭掴みにされ、視界が一瞬赤くなったかと思うと、すぐ何も見えなった。
視界を塗りつぶす真の黒と、絶え間ない激痛にグルグルは捕らえられた。
「ギャアァァァァァ!」
瓢箪に入っていた海水より開かれた(門)により現れたドツバの腕がグルグルの顔面を握りつぶしたのだ。
「すみません、これ以上(門)が維持できません、閉じます」
「ちっ! もっと鍛えろジェイク!・・・まぁいい、これでお宝はもらったな!」
最後に余計な事を喋ると、ドツバは腕を引っ込める。
それを確認したジェイクは(門)を閉じた、海水は本来の性質を取り戻し、割れた瓢箪からこぼれ始めた。
「か み さ ま か え せ~!」
束縛から解かれたバオバオは右手にあらん限りの力をこめる、(杯手)は急所をつく以外にも重要な意味をもつ構えである。
それは(相手の喉を掴み、握りつぶすのに適した構え)という事だ。
「ゲボッ!」
喉を砕かれたグルグルは拳大の泥と血反吐の混じった物体を吐き出すと、地面に突っ伏して動かなくなった。
沈黙、長い沈黙が神殿に訪れた。
負傷したバオバオが荒い呼吸を立てる音以外、何も聞こえないほど。




