↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

136/136

第六十八話(後編):世界で一つのブレンドシャンプー

エリックたちが作った、世界で一つのブレンドシャンプー。


いよいよ、実際に使ってみることになりました。


果たして、その使い心地は?


そして、エルフの薬師とドワーフの職人による、新しい研究も始まります。

「よし、試すぞ!」


エリックが。

瓶を手に取った。


「風呂に行こう」


こうして。


一行は。

風呂場へと向かった。


脱衣所で服を脱ぎ。


男湯と女湯に分かれる。


男湯には。


エリックと。

数人のドワーフ。


そして。


「キュルルッ!」


ルークがいた。


「こら、動くな。まだ粉が残ってるぞ」


エリックは。

ルークの身体に湯をかけながら。


毛並みに入り込んだ小麦粉を。

丁寧に洗い流していた。


「……さて」


ふと。


隣の女湯へ。

意識が向く。


……何を話しているんだろう。


そんなことを考えながら。

ルークの背中を洗っていく。


一方。


女湯では。


全員が。

湯で髪を濡らしていた。


それぞれが。

自分の小瓶を手に取る。


栓を開け。


手のひらに。

少量ずつシャンプーを移した。


「……やはり、良い香りですね」


フィオネが。

目を細める。


「ええ。ハーブの香りがします」


エリシアも。

嬉しそうに頷いた。


「では、使ってみましょう」


ミッシュルが。

自分の髪にシャンプーをなじませる。


他の者たちも。

慎重に髪を洗い始めた。


「……泡立ちは」


レイナが。

髪を洗いながら呟く。


「市販の粉石鹸のほうが、多いように感じませんか?」


「そうですね」


エリシアが。

自分の髪を確かめる。


「こちらは、少し泡立ちが控えめな気がします」


「配合の違いでしょうか……」


ミッシュルは。

泡の様子を観察しながら。

ゆっくりと髪全体に広げていく。


やがて。


全員が。

髪を洗い終えた。


「……あら?」


フィオネが。

指先を髪に通す。


「気のせいでしょうか。いつもより、指通りが良いような……」


「私もそう思います」


エリシアも。

自分の髪をそっと撫でた。


「いつもより、引っかかりが少ない気がしますね」


「椿油の効果でしょうか?」


レイナが。

自分の髪を指で梳きながら尋ねる。


「その可能性はあります。まだ一度使っただけですから、もう少し試してみないと分かりませんが……」


ミッシュルは。

そう答えてから。


ふと。

申し訳なさそうに顔を上げた。


「実は……私、あえてミントを多めに入れてみたのですが」


「ミントですか?」


「はい。香りが強くなるかと思いまして」


ミッシュルが。

自分の頭皮をそっと押さえる。


「……少し、刺激が強いかもしれません」


「入れすぎたのか?」


レイナが。

心配そうに尋ねた。


「そうかもしれません。香りは良いのですが、頭皮が少し痛いです」


「それなら、次は量を減らしたほうがよさそうですね」


エリシアが。

真剣な顔で頷く。


「ええ。香りだけでなく、使ったときの感覚も記録しておきましょう」


ミッシュルは。

手元の小瓶を見つめた。


「……なるほど。ハーブの種類だけでなく、量も重要なのですね」


女湯では。


早くも。

次の研究が始まっていた。


「キュウ!」


「よし、綺麗になったな」


エリックは。

ルークの身体に残った小麦粉を確かめた。


「ここに座って待っててくれ」


「キュウ!」


ルークは。

湯船のそばにちょこんと座った。


その頃。


男湯では。


「おい、見てくれ!」


ドワーフの一人が。

自分の髭を撫でていた。


「髭までツルツルだぞ!」


「本当か?」


隣のドワーフも。

自分の髭を触る。


「おおっ! いつもより柔らかい気がするな!」


「こいつは凄いな!」


あちこちで。

髭を撫でる音と。

感心する声が上がった。


エリックは。

そんな様子を横目で見ながら。


手元のシャンプーを見た。


「……俺も試してみるか」


小瓶の栓を開け。


手のひらに。

適当にシャンプーを出す。


「こんなもんか」


そのまま。

頭にべしゃっとつけた。


「……」


特に量を気にする様子もなく。


わしゃわしゃと。

頭を洗い始める。


「……まあ、こんなもんだろ」


エリックは。

ざっと髪を洗い終えると。


湯をかけて。

泡を流した。


「……うん」


濡れた髪に。

指を通す。


「悪くないな」


エリックは。

小さく頷いた。


「フローラルは合格だな」


女湯では。


全員が。

一斉に湯をかけた。


髪に残った泡を。

丁寧に洗い流していく。


そして。


「……っ!」


ミーナが。

自分の髪に触れた。


「つ、ツルツルです!」


隣では。

ルチアも目を丸くしていた。


「本当です……! いつもより、ずっとツルツルです!」


二人だけではない。


エリシアも。

フィオネも。

レイナも。


それぞれが。

自分の髪に指を通していた。


「……本当ですね」


エリシアが。

驚いたように呟く。


フィオネも。

何度も髪を撫でている。


「これは……すごいですね」


レイナまで。

確かめるように髪を梳いていた。


ミッシュルは。

全員の様子を見渡して。


「……成功ですね!」


嬉しそうに声を上げた。


「マルタさん、これ、目玉商品になりますよ!」


「本当かい!?」


マルタが。

目を輝かせた。


「こいつは忙しくなりそうだねぇ!」


女湯は。


シャンプーの成功に。

大いに沸いていた。


一方。


男湯でも。


ドワーフたちが。

自分の髭を触りながら、盛り上がっていた。


「いやぁ、こいつはいいな!」


「髭がこんなに柔らかくなるとはなぁ!」


エリックは。

そんな声を聞きながら。


「……さて」


湯から上がった。


ルークも。

後を追うように鳴いた。


「キュウ!」


「お前は、もう少しそこで待ってろ」


エリックは。

ルークの身体を確認してから。


脱衣所へ向かった。


しばらくして。


女湯からも。

賑やかな声が聞こえてきた。


「本当に、指通りが違いますね!」


「これは、ぜひ研究を続けたいです!」


どうやら。

あちらも大成功だったらしい。


やがて。


皆は。

湯冷めしないように身体を拭き、

それぞれ着替えを済ませた。


「まだ一度試しただけですから、配合を変えて、もっと良いものが作れるか調べてみます!」


「頼もしいねぇ!」


マルタは。

すっかり乗り気だった。


そんな中。


フィオネが。

レイナたちに目を向けた。


「それでは、私たちはそろそろ戻りましょうか」


「そうですね。薬草の調査も、まだ途中ですから」


レイナも。

頷いた。


「……もう帰るのか?」


エリックが。

少し残念そうに尋ねる。


「ええ。調査の続きもありますから」


フィオネは。

穏やかに微笑んだ。


「……次は、いつ頃来る?」


エリックが。

尋ねた。


フィオネは。

手に持った小瓶へ目を落とした。


中身は。

もう、わずかしか残っていない。


「そうですね……」


フィオネは。

小瓶をそっと持ち直した。


「近いうちに、また調査に来ます」


フィオネが。

微笑んだ。


「そうか」


エリックは。

小さく頷いた。


そのとき。


フィオネは。

ミッシュルへと向き直った。


「ミッシュル。あなたは、ここに残りなさい」


「……えっ?」


突然の言葉に。

ミッシュルが目を丸くした。


「マルタさんと協力して、シャンプーの研究を続けてください」


フィオネは。

穏やかな口調で続けた。


「それから、粉石鹸を使わずに、ムクロジから作る方法も調べてみてください」


「ムクロジから……ですか?」


「ええ。せっかくですから、いろいろな方法を試してみましょう」


「分かりました、フィオネ様!」


ミッシュルの目が。

輝いた。


「必ず、良いものを作ってみせます!」


「期待していますね」


フィオネは。

優しく微笑んだ。


こうして。


フィオネたちは。

帰り支度を始めた。


そして。


フィオネたちは。

転移魔法陣のある場所へと向かった。


「それでは、またお会いしましょう」


フィオネが。

穏やかに微笑む。


「うん。またな」


エリックが。

手を上げた。


フィオネは。

小さく頷くと。


転移魔法陣の上へ。

足を踏み入れた。


「――《スペースリンク》」


光が。

フィオネの身体を包み込む。


次の瞬間。


その姿は。

消えていた。


続いて。


フィリアたち薬師も。

一人、また一人と。


転移魔法陣を使い。

エルフの郷へと帰っていく。


最後に。


レイナが。

魔法陣の前で立ち止まった。


「……じゃあな」


エリックが。

いつもの調子で声をかける。


「ああ。またな」


レイナは。

少し寂しそうに微笑み。


皆に向かって。

小さく手を振った。


その様子を見て。


エリシアが。

そっと声をかける。


「レイナ。すぐに会えますよ」


「……そうですね」


レイナは。

少しだけ表情を和らげた。


「それじゃあ、またな!」


ミーナとルチアも。

尻尾を振りながら手を振った。


レイナは。

最後にもう一度。


エリックたちの姿を見つめてから。


「――《スペースリンク》」


光に包まれ。

その姿が消えた。


静かになった。

転移魔法陣の前。


「……さて」


エリックは。

くるりと振り返った。


「さて、次は何を作るかな」


魔境の森では。


今日も。

いつもの日常が続いていく。


その日の夕食後。


エリックの家では。


ボルグと。

その弟子のジン。


エリック。

エリシア。

リシェル。


そして。


ルチアとミーナの七人が。

テーブルを囲んでいた。


話題は。


六十階層にある。

古代の扉についてだった。

いつも読んでいただき、ありがとうございます!

面白いと思っていただけましたら、評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。


世界で一つのブレンドシャンプーは、髪にも髭にも大好評!


ミッシュルは魔境の森に残り、マルタと一緒に研究を続けることになりました。


フィオネたちとの再会も楽しみですね。


そして、エリックたちは再び六十階層の扉について話し合うことに……。


次回もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。