表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/38

Ep32. 嫉妬という熱

嫉妬は、醜い感情だ。


 前世の俺は、そう断定していた。


   ◇ ◇ ◇


 他人を羨む。

 他人を妬む。

 他人を排除したがる。


   ◇ ◇ ◇


 非生産的。


   ◇ ◇ ◇


 無意味。


   ◇ ◇ ◇


 そして。


   ◇ ◇ ◇


 弱い。


   ◇ ◇ ◇


 だから俺は。


   ◇ ◇ ◇


 嫉妬する人間を軽蔑していた。


   ◇ ◇ ◇


 ……なのに。


   ◇ ◇ ◇


 今。


   ◇ ◇ ◇


 胸の奥にあるこれは、何だ。


   ◇ ◇ ◇


 熱い。


   ◇ ◇ ◇


 不快だ。


   ◇ ◇ ◇


 ざわつく。


   ◇ ◇ ◇


 落ち着かない。


   ◇ ◇ ◇


 原因は明確。


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアが。


   ◇ ◇ ◇


 他人に笑っている。


   ◇ ◇ ◇


 それだけ。


   ◇ ◇ ◇


 それだけのこと。


   ◇ ◇ ◇


 なのに。


   ◇ ◇ ◇


 こんなにも、不快だ。


   ◇ ◇ ◇


 ……理解したくない。


   ◇ ◇ ◇


 だが。


   ◇ ◇ ◇


 理解してしまう。


   ◇ ◇ ◇


 これは。


   ◇ ◇ ◇


 嫉妬だ。


   ◇ ◇ ◇


 ——最悪だ。


   ◇ ◇ ◇


 完全に。


   ◇ ◇ ◇


 感情に支配されている。


   ◇ ◇ ◇


 合理性がない。


   ◇ ◇ ◇


 意味もない。


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアは、俺のものではない。


   ◇ ◇ ◇


 当然だ。


   ◇ ◇ ◇


 そんな権利は、誰にもない。


   ◇ ◇ ◇


 なのに。


   ◇ ◇ ◇


 身体が納得しない。


   ◇ ◇ ◇


「オリヴィア、行こうぜ!」


   ◇ ◇ ◇


 男の子が手を引く。


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアが笑う。


   ◇ ◇ ◇


 その瞬間。


   ◇ ◇ ◇


 胸の奥が、強く熱を持った。


   ◇ ◇ ◇


 嫌だ。


   ◇ ◇ ◇


 ——思ってしまった。


   ◇ ◇ ◇


 行くな。


   ◇ ◇ ◇


 こっちを見ろ。


   ◇ ◇ ◇


 ……ありえない。


   ◇ ◇ ◇


 何だ、その感情は。


   ◇ ◇ ◇


 幼稚すぎる。


   ◇ ◇ ◇


 前世の俺なら、吐き捨てている。


   ◇ ◇ ◇


 だが。


   ◇ ◇ ◇


 今の俺は。


   ◇ ◇ ◇


 否定しきれない。


   ◇ ◇ ◇


 なぜなら。


   ◇ ◇ ◇


 実際に、苦しいからだ。


   ◇ ◇ ◇


 胸の奥が。


   ◇ ◇ ◇


 重い。


   ◇ ◇ ◇


 熱い。


   ◇ ◇ ◇


 落ち着かない。


   ◇ ◇ ◇


 これが。


   ◇ ◇ ◇


 嫉妬。


   ◇ ◇ ◇


 ……醜い。


   ◇ ◇ ◇


 本当に。


   ◇ ◇ ◇


 醜い。


   ◇ ◇ ◇


「ルーク?」


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアが振り返る。


   ◇ ◇ ◇


 視線が合う。


   ◇ ◇ ◇


 その瞬間。


   ◇ ◇ ◇


 胸の熱が、少しだけ和らいだ。


   ◇ ◇ ◇


 ……確定。


   ◇ ◇ ◇


 完全に。


   ◇ ◇ ◇


 俺は。


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアに依存している。


   ◇ ◇ ◇


 精神状態が。


   ◇ ◇ ◇


 影響されている。


   ◇ ◇ ◇


 しかも。


   ◇ ◇ ◇


 相当深く。


   ◇ ◇ ◇


 ——危険だ。


   ◇ ◇ ◇


 頭では理解している。


   ◇ ◇ ◇


 だが。


   ◇ ◇ ◇


 もう、切り離せない。


   ◇ ◇ ◇


「すぐ戻るね!」


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアが言う。


   ◇ ◇ ◇


 笑顔。


   ◇ ◇ ◇


 そして。


   ◇ ◇ ◇


 走っていく。


   ◇ ◇ ◇


 男の子と一緒に。


   ◇ ◇ ◇


 ……静かになる。


   ◇ ◇ ◇


 部屋が。


   ◇ ◇ ◇


 いや。


   ◇ ◇ ◇


 違う。


   ◇ ◇ ◇


 静かになったのは。


   ◇ ◇ ◇


 俺の内側だ。


   ◇ ◇ ◇


 熱だけが残っている。


   ◇ ◇ ◇


 じわじわと。


   ◇ ◇ ◇


 不快な熱。


   ◇ ◇ ◇


 前世なら、切り捨てていた。


   ◇ ◇ ◇


 こんな感情。


   ◇ ◇ ◇


 不要だと。


   ◇ ◇ ◇


 弱さだと。


   ◇ ◇ ◇


 だが。


   ◇ ◇ ◇


 今の俺は。


   ◇ ◇ ◇


 その熱を。


   ◇ ◇ ◇


 完全には、嫌いになれなかった。


   ◇ ◇ ◇


 なぜなら。


   ◇ ◇ ◇


 この熱は。


   ◇ ◇ ◇


 “特別”の証明でもあったからだ。


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアが。


   ◇ ◇ ◇


 俺にとって。


   ◇ ◇ ◇


 その他ではないという。


   ◇ ◇ ◇


 どうしようもない事実の。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ