表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/32

Ep31. 初めての独占欲

欲望は、増殖する。


 ひとつ許せば、次が生まれる。


   ◇ ◇ ◇


 前世の俺は。


   ◇ ◇ ◇


 それを知っていた。


   ◇ ◇ ◇


 だから。


   ◇ ◇ ◇


 最初から切る。


   ◇ ◇ ◇


 欲しがらない。

 執着しない。

 期待しない。


   ◇ ◇ ◇


 その方が安全だった。


   ◇ ◇ ◇


 ……だが。


   ◇ ◇ ◇


 今の俺は。


   ◇ ◇ ◇


 すでに、ひとつ許してしまっている。


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィア。


   ◇ ◇ ◇


 その存在を。


   ◇ ◇ ◇


 “特別”として認識している。


   ◇ ◇ ◇


 ——危険だ。


   ◇ ◇ ◇


 理解している。


   ◇ ◇ ◇


 だからこそ。


   ◇ ◇ ◇


 次に生まれた感情を。


   ◇ ◇ ◇


 俺は、強く否定した。


   ◇ ◇ ◇


「オリヴィアー!」


   ◇ ◇ ◇


 知らない声。


   ◇ ◇ ◇


 子供。


   ◇ ◇ ◇


 同年代くらいの男。


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアが振り返る。


   ◇ ◇ ◇


「あ、トム!」


   ◇ ◇ ◇


 笑う。


   ◇ ◇ ◇


 いつもの笑顔。


   ◇ ◇ ◇


 だが。


   ◇ ◇ ◇


 向けられている相手が、違う。


   ◇ ◇ ◇


 ……その瞬間。


   ◇ ◇ ◇


 胸の奥が。


   ◇ ◇ ◇


 ざわついた。


   ◇ ◇ ◇


 不快。


   ◇ ◇ ◇


 明確に。


   ◇ ◇ ◇


 理由は?


   ◇ ◇ ◇


 分析。


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアは、他人と話している。


   ◇ ◇ ◇


 それだけ。


   ◇ ◇ ◇


 問題はない。


   ◇ ◇ ◇


 当然の行動。


   ◇ ◇ ◇


 制限する権利など、俺にはない。


   ◇ ◇ ◇


 なのに。


   ◇ ◇ ◇


 なぜ。


   ◇ ◇ ◇


 こんなにも、不快だ。


   ◇ ◇ ◇


「今日ね、一緒に遊ぼって言ってたんだ!」


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアが笑う。


   ◇ ◇ ◇


 その言葉。


   ◇ ◇ ◇


 胸の奥が、重くなる。


   ◇ ◇ ◇


 ……理解した。


   ◇ ◇ ◇


 これは。


   ◇ ◇ ◇


 独占欲だ。


   ◇ ◇ ◇


 ——最悪だ。


   ◇ ◇ ◇


 完全に。


   ◇ ◇ ◇


 前世の俺が、軽蔑する感情。


   ◇ ◇ ◇


 他人を、自分のもののように扱う。


   ◇ ◇ ◇


 愚か。


   ◇ ◇ ◇


 醜悪。


   ◇ ◇ ◇


 非合理。


   ◇ ◇ ◇


 ……なのに。


   ◇ ◇ ◇


 否定しても。


   ◇ ◇ ◇


 感情は消えない。


   ◇ ◇ ◇


 むしろ。


   ◇ ◇ ◇


 強くなる。


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアが笑うたび。


   ◇ ◇ ◇


 知らない男の方を見るたび。


   ◇ ◇ ◇


 胸の奥が、ざわつく。


   ◇ ◇ ◇


 ——面倒だ。


   ◇ ◇ ◇


 本当に。


   ◇ ◇ ◇


 面倒だ。


   ◇ ◇ ◇


「ルーク?」


   ◇ ◇ ◇


 呼ばれる。


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアの声。


   ◇ ◇ ◇


 俺は、反応しない。


   ◇ ◇ ◇


 いや。


   ◇ ◇ ◇


 できない。


   ◇ ◇ ◇


 感情の整理が追いつかない。


   ◇ ◇ ◇


「……あれ?」


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアが近づく。


   ◇ ◇ ◇


 それだけで。


   ◇ ◇ ◇


 少し、軽くなる。


   ◇ ◇ ◇


 ……確定だ。


   ◇ ◇ ◇


 完全に。


   ◇ ◇ ◇


 影響されている。


   ◇ ◇ ◇


 しかも。


   ◇ ◇ ◇


 極めて幼稚な形で。


   ◇ ◇ ◇


 前世の俺なら、笑っていた。


   ◇ ◇ ◇


 他人に嫉妬するなど。


   ◇ ◇ ◇


 弱者の感情だと。


   ◇ ◇ ◇


 だが。


   ◇ ◇ ◇


 今の俺は。


   ◇ ◇ ◇


 笑えない。


   ◇ ◇ ◇


 実際に。


   ◇ ◇ ◇


 起きているからだ。


   ◇ ◇ ◇


「ルーク、どうしたの?」


   ◇ ◇ ◇


 オリヴィアが顔を覗き込む。


   ◇ ◇ ◇


 近い。


   ◇ ◇ ◇


 だが。


   ◇ ◇ ◇


 今は、それでいい。


   ◇ ◇ ◇


 むしろ。


   ◇ ◇ ◇


 離れる方が、不快だった。


   ◇ ◇ ◇


 ——危険だ。


   ◇ ◇ ◇


 完全に。


   ◇ ◇ ◇


 依存が、形を変えている。


   ◇ ◇ ◇


 独占欲。


   ◇ ◇ ◇


 執着。


   ◇ ◇ ◇


 期待。


   ◇ ◇ ◇


 前世で切り捨てたものが。


   ◇ ◇ ◇


 次々と、生まれている。


   ◇ ◇ ◇


 なのに。


   ◇ ◇ ◇


 俺は。


   ◇ ◇ ◇


 もう。


   ◇ ◇ ◇


 完全には、戻れなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ