Ep243. 泉を、ひとりとして扱う
翌日。
王城。
中央会議室。
これまで。
何度も。
王都へ来た。
でも。
今日は。
少し違う。
中央泉について。
王国として。
正式に。
今後を決める日。
「人数」
ノアが。
会議室の前で。
小さく言う。
「多い」
「仕方ない」
俺。
「王家」
「医術院」
「監察院」
「第三の道」
「管理者」
「全部」
扉の向こう。
王家代表。
監察官。
セオドア。
エリシア。
ダグラス。
俺。
母。
ノア。
それから。
第三の道を通して。
ネイ。
ナエル。
セラ。
リア。
ラドウィンは。
拘束施設から。
監視付き。
遠隔参加。
多い。
本当に。
「ルーク」
母。
「疲れたら」
「途中で」
「休みます」
「分かってる」
「本当に?」
「今日は」
「休憩」
「入れる」
「なら」
「いいです」
そこ。
交渉。
成立。
◇ ◇ ◇
会議室。
長い机。
中央。
王家代表。
年配の男。
宰務卿。
俺は。
前にも。
何度か。
遠くで見た。
「本日の議題は」
宰務卿。
「中央泉」
「通称ネイ」
少し。
間。
「及び」
「新設された」
「相互同意型遠隔魔力対話流路」
「通称」
「第三の道」
ノア。
小声。
「正式名」
「長い」
「言わない」
「聞こえる」
母。
「静かに」
「はい」
宰務卿。
続ける。
「まず」
「確認したい」
「中央泉は」
「国家所有物か」
いきなり。
そこ。
室内。
少し。
空気。
固まる。
『違う』
第三の道。
ネイ。
即答。
宰務卿。
少し。
目。
動く。
「本人が」
「返答した」
書記。
記録。
「では」
「中央泉は」
「何であると」
「自認している」
『ネイ』
少し。
間。
『昔』
『ネイラ』
『今』
『ネイ』
「種別は」
『分からない』
宰務卿。
眉。
寄せる。
「人間か」
『昔』
「現在は」
『違う』
「精霊か」
『分からない』
「魔物か」
『違うと思う』
「では」
『ネイ』
ノア。
吹き出しそう。
俺。
肘。
軽く。
当てる。
「笑うな」
「でも」
「ネイ」
「強い」
宰務卿。
少し。
困った顔。
「分類できなければ」
「法的扱いが」
「難しい」
ラドウィン。
遠隔。
『新規分類を』
『設ければいい』
全員。
少し。
意外。
「ラドウィンが」
俺。
「言う?」
『何だ』
「前は」
「危険物」
「みたいに」
「扱ってた」
『今も』
『危険性は』
『高い』
「でも?」
『危険性が』
『高いことと』
『所有物であることは』
『別だ』
変わった。
本当に。
少し。
「新規分類」
エリシア。
紙。
見る。
「自律魔力生命体」
「どう」
『嫌』
ネイ。
早い。
「何が」
『長い』
ノア。
笑う。
「そこ?」
宰務卿。
困る。
「法的名称は」
「長くても」
「構わない」
『通称』
「ネイ」
『良い』
「では」
書記。
記録。
『法的暫定分類』
『自律意思保有魔力存在』
「さらに」
エリシア。
「長くなった」
「仕方ない」
◇ ◇ ◇
「次」
宰務卿。
「所有権」
「中央泉は」
「王国地下水脈へ」
「広範に存在する」
「土地」
「水」
「魔力資源」
「いずれも」
「国家法の」
「管理対象」
『私』
『土地?』
「違う」
俺。
「だから」
「問題」
宰務卿。
「中央泉そのものを」
「国有とする意見が」
「王城内にある」
『嫌』
「理由」
『私』
『私』
単純。
でも。
核心。
「俺も」
発言許可。
受ける。
「国有には」
「反対」
「理由」
「ネイは」
「意思がある」
「話せる」
「拒否も」
「選択も」
「する」
「人間じゃないからって」
「所有物にすると」
「また」
「昔と同じ」
「何が」
「神殿」
「研究者」
「王家」
「皆」
「ネイを」
「使うものとして」
「見た」
結果。
第一根。
第二根。
第三鍵。
全部。
生まれた。
「でも」
王家代表の一人。
別の男。
「中央泉の力によって」
「国家規模の被害が」
「生じた事実もある」
「うん」
俺。
「だから」
「自由に」
「何してもいい」
「とも思ってない」
『私も』
ネイ。
「なら」
「どこまで」
「制限する」
そこ。
◇ ◇ ◇
セオドア。
資料。
開く。
「提案」
「中央泉本体の」
「所有権は」
「設定しない」
「ただし」
「外部干渉については」
「第三の道管理協定へ」
「従う」
「強制接続」
「生命吸収」
「人格干渉」
「記憶転写」
「全て禁止」
「違反時」
「第三の道管理者による」
「強制停止」
「これ」
宰務卿。
「中央泉本人が」
「同意している?」
『してる』
「将来」
「撤回したら」
ネイ。
少し。
止まる。
『話す』
「話して」
「合意できなければ?」
『止める』
「誰が」
『皆』
六人の。
管理者。
四名承認で。
停止。
五名承認で。
解除。
「本人が」
「自分を」
「止める仕組みに」
「同意している」
監察官。
「記録上」
「確認済み」
「なら」
宰務卿。
「国家による」
「単独封印権は」
「不要か」
ラドウィン。
『不要』
「あなたが」
「言うのは」
エリシア。
少し。
複雑そう。
『何度も』
『言わせるな』
「でも」
「変わった」
『人は』
『変わることもある』
ネイ。
すぐ。
『私も』
『そう』
ラドウィン。
少し。
沈黙。
『……そうだな』
◇ ◇ ◇
「次」
王家代表。
「ネイによる」
「過去の被害」
空気。
また。
重い。
「これは」
「消せない」
「人的被害」
「記憶損傷」
「王族への干渉」
「死亡事故との因果関係」
俺。
前世。
事故。
「責任を」
「どのように」
「扱う」
ネイ。
少し。
沈黙。
『私』
『悪い』
「それは」
「認識している?」
『うん』
「償う意思は」
『ある』
「何ができる」
『分からない』
宰務卿。
「では」
「国家として」
「義務を」
「設定する必要がある」
『嫌』
早い。
「義務そのものが?」
『決められる』
「他人に」
『うん』
ネイ。
また。
役割。
押しつけ。
怖い。
「じゃあ」
俺。
「命令じゃなく」
「協定」
「どう違う」
宰務卿。
「ネイ本人と」
「相談して」
「何をするか」
「決める」
「国家が」
「一方的に」
「命じない」
「ただし」
「約束したら」
「守る」
ネイ。
『それ』
『良い』
「具体」
エリシア。
「何が」
「できる?」
ネイ。
少し。
考える。
『水』
「水質?」
『分かる』
「どこまで」
『地下』
『多い』
王国。
地下水脈。
ネイ。
広い。
「汚染」
「渇水」
「分かる?」
『少し』
「地震」
ダグラス。
『水』
『変わる』
「なら」
「地下水異常の」
「観測」
セオドア。
「災害予測にも」
「使える可能性」
ネイ。
『助ける』
「やりたい?」
『うん』
「なら」
俺。
「それ」
「協定に」
「入れる」
「義務じゃなく」
「本人が」
「やると」
「選ぶ」
宰務卿。
少し。
考える。
「ただし」
「警報を」
「無視する権利を」
「国家へは」
「認めない」
「どういう意味」
「ネイから」
「危険信号が」
「出た場合」
「関係機関は」
「必ず」
「確認する」
それ。
良い。
泉が。
助けようと。
しても。
人間側。
無視。
したら。
意味ない。
『良い』
ネイ。
「では」
『地下水脈異常観測協定』
「仮称」
「また」
「長い」
ノア。
「今日は」
「名前」
「多い」
◇ ◇ ◇
「もう一つ」
母。
珍しく。
会議で。
手を上げる。
「何でしょう」
宰務卿。
「ネイさんに」
「休む権利を」
「入れてください」
全員。
少し。
止まる。
「休む?」
「はい」
「異常観測」
「協力」
「対話」
「研究」
「全部」
「いつでも」
「応じる前提に」
「しないでください」
「疲労」
「するのか」
宰務卿。
ネイ。
『する』
「泉が?」
『頭』
『多いと』
『疲れる』
「なるほど」
母。
「だから」
「緊急時以外」
「断る権利」
「延期する権利」
「必要です」
俺。
少し。
笑う。
「母さん」
「何です?」
「俺と」
「同じ」
「当然です」
ネイ。
『母』
「はい」
『良い』
「ありがとうございます」
宰務卿。
書記。
見る。
「記載」
『非緊急対話・研究協力について』
『本人による拒否・延期を認める』
「良い?」
『良い』
ネイ。
満足。
◇ ◇ ◇
次。
研究。
「中央泉を」
「今後」
「研究対象として」
「扱う場合」
エリシア。
「本人同意」
「必須」
「採取」
「記憶観測」
「魔力測定」
「全て」
「個別同意」
『うん』
「過去記録」
「既にあるもの」
「どうする」
ネイ。
少し。
考える。
『見たい』
「自分の?」
『うん』
「全部?」
『怖い』
「じゃあ」
「少しずつ」
『うん』
「閲覧権」
俺。
「ネイ自身に」
「全部」
「与える」
宰務卿。
「国家機密を含む」
「自分の身体」
「自分の記録」
「本人だけ」
「見れない方が」
「変」
エリシア。
頷く。
「賛成」
ラドウィン。
『一部』
『王家軍事機密が』
『混在している』
「そこだけ」
セオドア。
「第三者情報を」
「分離して」
「本人記録として」
「開示」
ネイ。
『分からない』
「どうしたい?」
『皆で』
「確認しながら?」
『うん』
「決まり」
◇ ◇ ◇
休憩。
入る。
母。
俺。
水。
渡す。
「飲んで」
「はい」
「疲れた?」
「少し」
「ネイも?」
第三の道。
『少し』
「休む?」
『うん』
会議。
中央泉本人の。
希望で。
一刻。
休止。
王家代表。
少し。
変な顔。
でも。
受け入れる。
「本当に」
ノア。
廊下。
「泉が」
「会議」
「休憩する」
「変?」
「かなり」
「でも」
「良い」
エリシア。
「何が」
「本人が」
「疲れたって」
「言える」
「それ」
「良い」
俺。
「姉さんも」
「疲れた?」
「少し」
「休む?」
「休む」
「成長」
「それ」
「私にも」
「言うの?」
「言う」
「腹立つ」
でも。
少し。
笑う。
◇ ◇ ◇
休憩後。
最後。
最も。
面倒。
存在登録。
「ネイを」
「法上」
「権利主体として」
「扱うか」
宰務卿。
「現行法では」
「人間」
「亜人」
「一部高位精霊」
「この三種に」
「限定される」
「ネイは」
「どれにも」
「完全には」
「該当しない」
「じゃあ」
ノア。
「法律」
「変える?」
「簡単ではない」
「でも」
「変えないと」
「ずっと」
「物?」
宰務卿。
「だから」
「暫定措置」
「必要」
監察院。
提案。
『特別意思存在』
また。
名称。
「これで」
一定。
契約。
拒否。
同意。
財産管理。
代理。
認める。
「財産?」
ネイ。
『何』
「金」
『いらない』
「そういう問題じゃ」
「ある?」
ノア。
「泉」
「買い物」
「できない」
「でも」
俺。
「将来」
「何か」
「必要になるかも」
「例えば」
『鳥肉』
「食べられない」
『匂い』
「匂いに」
「金」
「いらない」
会議室。
少し。
笑い。
出る。
宰務卿も。
口元。
少し。
動く。
「では」
「資産権は」
「将来検討」
「まず」
「同意権」
「拒否権」
「契約主体性」
「記録閲覧権」
「これを」
「暫定承認」
ネイ。
『良い』
「本当に?」
俺。
『うん』
「分からないところ」
「ない?」
『財産』
「そこ?」
『分からない』
「後で」
「説明する」
『分かった』
◇ ◇ ◇
「では」
宰務卿。
最後。
「確認」
「中央泉」
「ネイは」
「王国所有物ではない」
「自律した意思存在として」
「暫定認定」
「外部干渉には」
「第三の道管理協定を適用」
「無断接続を禁止」
「本人同意なき研究を禁止」
「地下水脈異常観測について」
「相互協定を締結」
「非緊急協力は」
「本人が拒否・延期可能」
「過去被害については」
「記録を保存し」
「今後の協力によって」
「再発防止と」
「被害軽減へ」
「努める」
ネイ。
静か。
「異議は?」
『ない』
「王家」
「異議なし」
「監察院」
「異議なし」
「医術院」
「異議なし」
「第三の道管理者」
エリシア。
「異議なし」
ラドウィン。
『異議なし』
ナエル。
『異議ありません』
セラ。
『なし』
リア。
『ない』
「成立」
書記。
最後。
記録。
音。
小さい。
でも。
それで。
終わった。
五百年以上。
生贄。
神殿。
王家。
研究。
全部。
利用され続けた。
泉。
今日。
初めて。
誰かの所有物ではないと。
正式に。
認められた。
◇ ◇ ◇
「ネイ」
俺。
「どう?」
第三の道。
少し。
間。
『分からない』
「嬉しい?」
『少し』
「怖い?」
『少し』
「面倒?」
『かなり』
ノア。
笑う。
「法律」
「難しかった?」
『長い』
「分かる」
『でも』
「何」
『私』
『私』
「うん」
『王国の』
『ものじゃない』
「そう」
『ルークの』
『ものでもない』
「当然」
『ナエルの』
『ものでもない』
「そう」
『私』
「うん」
ネイ。
しばらく。
何も言わない。
『良い』
たった。
一言。
でも。
十分。
◇ ◇ ◇
会議。
終了。
廊下。
俺。
壁。
少し。
寄りかかる。
「疲れた」
母。
「帰ります」
「宿?」
「はい」
「医術院」
「今日は」
「なし」
「義足」
「明日」
エリシア。
「分かった」
最近。
俺だけ。
ではない。
休む。
覚えた。
「王都」
ノア。
「あと」
「何日?」
セオドア。
「急ぎの案件は」
「ほぼ終わった」
「ラドウィンの」
「刑執行手続き」
「マティアス」
「移送」
「それは」
「君たちが」
「待つ必要はない」
「じゃあ」
俺。
「帰れる?」
「明後日」
「帰路の」
「護衛」
「用意できる」
母。
顔。
明るくなる。
「本当に?」
「はい」
「村」
俺。
胸。
少し。
軽い。
帰る。
ようやく。
◇ ◇ ◇
その日の。
夕方。
第三の道。
村。
セラ。
リア。
『帰るの?』
「明後日」
『本当?』
リア。
「うん」
『長かった』
「まだ」
「そんなに」
「でも」
俺も。
長く感じた。
『義足』
セラ。
「設計」
「ほぼ」
「終わった」
『いつ』
「職人」
「二週間くらい」
『長い』
「待つ練習」
『それ』
『もう』
『聞き飽きた』
ノア。
笑う。
「ネイより」
「厳しい」
『ネイ』
『何』
「今」
「いる?」
『いる』
ネイ。
入る。
『セラ』
『待つ』
『大事』
『ネイまで』
『言わないで』
リア。
笑う。
第三の道。
普通の。
会話。
もう。
危険な。
研究。
ではない。
◇ ◇ ◇
夜。
宿。
荷物。
少し。
整理。
村。
土産。
焼き菓子。
紫の髪飾り。
靴の絵。
書類。
金色の知識石。
父の。
記録。
「これ」
持って帰る?」
エリシア。
父の。
音声石。
「原本」
「医術院」
「複製」
「作った」
「姉さんも」
「持つ?」
少し。
迷う。
「欲しい」
「じゃあ」
「一つ」
「母さんも?」
「私は」
「いりません」
「どうして」
「覚えています」
母。
少し。
笑う。
「十分です」
それも。
選択。
◇ ◇ ◇
「エリシア」
俺。
「村」
「いつ来る?」
「すぐには」
「研究室」
「整理」
「第三の道」
「監督」
「義足」
「完成」
「その後」
「じゃあ」
「三週間?」
「一ヶ月」
「長い」
「待つ練習」
エリシア。
俺。
睨む。
「それ」
「私に」
「言わないで」
「セラと」
「同じ」
「腹立つ」
ノア。
笑う。
「でも」
姉。
少し。
声。
柔らかい。
「行く」
「本当に?」
「うん」
「村」
「見たい」
「診療所も」
「まだ」
「ない」
「作るなら」
「設計」
「手伝う」
「建物も?」
「研究室」
「必要」
「診療所なのに」
「小さく」
「なら」
「相談」
「うん」
未来。
少し。
具体。
◇ ◇ ◇
翌朝。
王都。
最後の。
一日。
特別な予定。
なし。
だから。
母。
「今日は」
「観光します」
「何」
「王都に来て」
「ほとんど」
「地下」
「王城」
「医術院」
「それだけです」
「でも」
「帰る準備」
「午後で」
「十分」
ノア。
目。
輝く。
「行く」
「どこ」
「市場」
「菓子」
「昨日」
「買った」
「もっと」
「駄目」
「見るだけ」
「それなら」
「良い」
普通の。
王都。
歩く。
前世。
俺。
仕事。
女。
酒。
それくらい。
今。
母。
ノア。
オリヴィア。
ゲイル。
ダグラス。
そして。
エリシアも。
途中から。
来た。
「姉さん」
「仕事」
「午後」
「今日は」
「休む」
「成長」
「言ったら」
「帰る」
「言わない」
危ない。
◇ ◇ ◇
中央広場。
噴水。
ネイ。
地下。
つながっている?
「この水」
俺。
第三の道。
「ネイ」
『何』
「王都の」
「噴水」
「ネイの水?」
『違う』
「分かる?」
『浅い』
「地下水だけど」
『私』
『もっと下』
「そう」
景色。
送る。
『光』
「水」
「きれい」
『人』
「多い」
『怖い』
「でも」
「皆」
「ネイのこと」
「知らない」
『良い?』
「今は」
「それで」
「いいと思う」
法的。
認定。
された。
でも。
王国中。
公表。
するか。
まだ。
決めていない。
『私』
『有名』
「なりたい?」
『嫌』
「じゃあ」
「無理に」
「公表しない」
『良い』
いつか。
必要。
あるかも。
でも。
今。
静かに。
生きる。
それも。
権利。
◇ ◇ ◇
市場。
母。
布。
見る。
オリヴィア。
香水。
ノア。
菓子。
俺。
医術道具。
エリシア。
「それ」
俺。
「何見てる」
「工具」
「義足用?」
「細工」
「村に」
「持ってく?」
「自分用」
「買う?」
「うん」
「好きなもの」
「増えた」
「工具を」
「好きなものに」
「入れる?」
「入れる」
「良い」
「それ」
「また」
「でも」
「良い」
姉。
笑う。
◇ ◇ ◇
夕方。
王立医術院。
最後に。
六人の子ども。
会う。
ミア。
ケイン。
リゼ。
バルト。
残り。
二人。
一人。
名前。
思い出した。
「ソフィ」
少女。
「もう一人は?」
少年。
首。
横。
「まだ」
「じゃあ」
「まだでいい」
「うん」
ミア。
俺。
見る。
「帰るの?」
「明日」
「村」
「うん」
「また」
「会う?」
「必要なら」
「会える」
「第三の道?」
「本人同意」
「なら」
「使える」
「私」
「家族」
「会うことにした」
「母親?」
「うん」
「怖い?」
「すごく」
「でも」
「会いたい?」
「少し」
「じゃあ」
「それでいい」
ミア。
笑う。
「ルーク」
「何」
「ありがとう」
俺。
少し。
止まる。
「ノアにも」
隣。
「僕?」
「うん」
「名前」
「自分で」
「使っていいって」
「言ってくれた」
ノア。
少し。
照れる。
「どういたしまして」
「ノア」
「何」
「赤い」
「うるさい」
◇ ◇ ◇
夜。
荷造り。
終わる。
明日。
王都。
出る。
長かった。
「忘れ物」
母。
確認。
「白石」
「ある」
「知識石」
「ある」
「父さんの記録」
「ある」
「土産」
「ある」
「紫の欠片」
「ある」
「ノア」
「いる」
「物みたいに」
「言わないで」
「確認」
オリヴィア。
笑う。
「ルーク自身」
「いる」
「それ」
「必要?」
「一番」
母。
真顔。
「いる」
うん。
◇ ◇ ◇
寝る前。
ネイ。
『明日』
「帰る」
『村』
「うん」
『長い』
「四日くらい」
『待つ』
「できる?」
『できる』
「えらい」
『えらい』
「王国」
「今日」
「ネイのこと」
「ものじゃないって」
「決めた」
『うん』
「どう?」
『まだ』
「分からない?」
『でも』
『私』
「うん」
『私』
それ。
何度。
言っても。
大事。
「ネイ」
「村」
「帰ったら」
「最初」
「何見たい?」
少し。
考える。
『食卓』
「そこ?」
『本物』
「媒介層じゃなく?」
『うん』
「見せる」
『鳥肉』
「母さん」
横。
「作ります」
『母』
「聞いてた?」
『聞こえた』
「じゃあ」
「帰った夜」
「鳥肉」
『約束』
「約束」
通信。
終わる。
俺。
目。
閉じる。
王都。
父。
前世。
第三鍵。
泉。
姉。
裁判。
全部。
まだ。
完全に。
終わったわけではない。
アルバートの。
分離。
残る。
六人の。
回復。
続く。
第三の道も。
これから。
でも。
俺たちは。
明日。
村へ帰る。
帰ったら。
診療所。
考える。
セラの。
義足。
待つ。
姉が。
来る。
ネイへ。
村の景色。
見せる。
そういう。
未来。
ある。
前世の俺は。
死ぬ時。
次は。
誰かに惜しまれる人間に。
そう。
願った。
今。
少し。
思う。
惜しまれるかどうかより。
帰りを。
待ってくれる人がいること。
自分が。
帰りたい場所があること。
その方が。
ずっと。
大事なのかもしれない。
そして。
明日。
俺は。
鍵でも。
前世の天才でもなく。
ただの。
ルークとして。
村へ帰る。




