Ep239. 転生の理由
翌朝。
王立医術院。
旧棟。
俺たちは。
地下へ続く。
古い階段の前にいた。
「ここ」
俺は。
壁を見る。
「前世でも」
「知らなかった」
「当然だ」
セオドアが答える。
「旧棟地下三階は」
「二十年以上」
「封鎖されていた」
「父さんが?」
「最後に」
「一部区画を」
「個人封鎖した」
「どうして」
「分からない」
「また」
ノアが。
小さく言う。
「エドワード」
「秘密多すぎ」
「本当に」
母。
今日は。
かなり。
怒っている。
父。
死んだ後まで。
隠し事。
出てくる。
「開ける?」
ゲイル。
「血縁認証」
セオドア。
「ルーク」
「エリシア」
「二人」
俺たち。
前へ。
古い。
鉄の扉。
中央。
白石。
「俺だけじゃ」
「駄目?」
「父系血縁」
「二名」
「必要とある」
「父さん」
「最初から」
「姉さんも」
「使うつもり?」
エリシア。
少し。
止まる。
姉さん。
初めて。
自然に。
口から出た。
「今」
「何て」
「エリシア」
「違う」
「聞こえなかった?」
「聞こえた」
「なら」
「聞かないで」
エリシア。
少し。
口元。
緩む。
「分かった」
母。
横。
何も。
言わない。
でも。
少し。
嬉しそう。
◇ ◇ ◇
俺。
右手。
エリシア。
左手。
白石へ。
『父系血縁』
『二名確認』
『ルーク・E・オリバー』
『エリシア・E・オリバー』
『封鎖解除』
音。
重い。
鉄扉。
ゆっくり。
開く。
中。
暗い。
セオドア。
灯り。
つける。
小さな。
書庫。
思ったより。
狭い。
棚。
三つ。
机。
一つ。
箱。
二つ。
「これだけ?」
ノア。
「父さん」
「大げさ」
「重要なのは」
エリシア。
机。
見る。
「量じゃない」
紙。
古い。
研究記録。
表紙。
『輪廻・魂連続性研究』
胸。
少し。
冷える。
「転生」
俺。
「やっぱり」
父。
調べていた。
「読む?」
母。
「うん」
「皆で」
紙。
開く。
◇ ◇ ◇
『研究目的』
『同一魂が』
『異なる時間軸において』
『同一肉体系列へ』
『再出現する現象の検証』
「同一肉体系列?」
ノア。
「俺」
俺。
「前世」
「ルーク」
「今世も」
「ルーク」
「同じ家系」
「同じ名前」
「同じ魂」
普通の。
転生。
ではない。
『対象』
『ルーク・E・オリバー』
名前。
出る。
母。
息。
止まる。
「父さん」
「俺が」
「生まれる前から?」
ページ。
日付。
俺の。
誕生。
より。
前。
「どうして」
未来の。
俺。
名前。
知っていた。
「予測?」
ダグラス。
「違う」
エリシア。
次。
読む。
『中央泉に』
『未発生魂の』
『反応を確認』
未発生。
「まだ」
「生まれてない」
「魂?」
「そう」
セオドア。
顔。
険しい。
「中央泉は」
「時間の」
「一方向性に」
「完全には」
「従わない」
「前にも」
「夢」
「過去」
「記憶」
「混ざった」
「でも」
「未来まで?」
「可能性は」
「理論上」
「あった」
父。
中央の泉。
そこから。
俺の魂。
見つけた。
生まれる前。
「つまり」
ノア。
「前世のルークが」
「死んだ後」
「今世に」
「来ること」
「父親が」
「知ってた?」
「全部じゃ」
「ない」
俺。
記録。
続き。
『魂反応は』
『既知の』
『ルーク・E・オリバーと』
『高一致』
「既知」
「前世の俺?」
日付。
前世。
俺。
まだ。
生きている時代?
待て。
今世の父。
エドワード。
前世の俺。
同じ世界。
時間。
どう。
つながる。
「年表」
エリシア。
横。
別紙。
「見て」
前世。
ルーク。
死亡。
その後。
数年。
今世。
俺。
誕生。
父。
その間。
生きていた。
「父さんは」
前世の俺を。
「知ってた?」
セオドア。
少し。
目。
伏せる。
「知っていた」
俺。
止まる。
「何で」
「今まで」
「言わなかった」
「聞かれなかったから」
「それ」
「零号みたい」
「すまん」
「父さんと」
「前世の俺」
「会った?」
セオドア。
長い。
間。
「ああ」
何。
「いつ」
「前世の君が」
「王立医術院に」
「在籍していた頃」
「エドワードは」
「匿名で」
「何度か」
「君の診療記録を」
「確認していた」
「診療?」
「前世の俺」
「患者?」
「一度だけ」
「魔法実験事故で」
「重傷」
覚えている。
前世。
大きな。
事故。
死んだ。
最後。
でも。
「それ」
「死亡事故?」
「違う」
「その前」
俺。
記憶。
薄い。
実験。
失敗。
火傷。
魔力路。
損傷。
治った。
「その時」
「父さん」
「俺を見た?」
「ああ」
知らない。
前世の俺は。
今世の父と。
すでに。
会っていた。
◇ ◇ ◇
「直接?」
俺。
「話した?」
「一度」
セオドア。
「何を」
「詳細は」
「記録に」
ページ。
挟まれている。
小さな。
紙。
『観察記録』
『対象ルーク』
『極端な自己完結傾向』
『他者への依存拒否』
『高い医術能力』
『著しい共感欠如』
「ひどい」
ノア。
「合ってる」
「そこ」
「否定して」
「無理」
続き。
『ただし』
『患者を』
『見捨てる選択は』
『ほぼしない』
俺。
止まる。
前世。
傲慢。
女癖。
悪い。
人。
信用しない。
でも。
医術。
患者。
そこ。
完全には。
捨ててなかった。
『本人は』
『善意ではなく』
『医術師としての』
『責任と主張』
「前世の俺」
「言いそう」
「言ってた」
セオドア。
「会話した時?」
「そうだ」
「何て」
「エドワードが」
「なぜ」
「そこまで」
「患者を」
「助けると聞いた」
「俺は?」
「腕があるのに」
「助けないのは」
「無能だと」
「答えた」
ノア。
笑う。
「本当に」
「前世のルーク」
「嫌な人」
「知ってる」
「でも」
母。
紙。
見る。
「エドワードは」
「その答えを」
「どう思ったの?」
次。
『善人ではない』
『しかし』
『完全に』
『人を捨てたわけでもない』
『この魂が』
『もう一度』
『人との関係を』
『選べる可能性は』
『ある』
胸。
詰まる。
父。
前世の。
俺を見て。
今世の。
俺を。
考えた?
「でも」
俺。
「それって」
「転生を」
「父さんが」
「起こした?」
核心。
皆。
静か。
次のページ。
『重要』
『魂転生現象は』
『人為的に』
『発生させたものではない』
俺。
息。
吐く。
「父さんじゃない」
少し。
安心。
『ただし』
また。
それ。
『発生しようとする魂を』
『特定の』
『出生先へ』
『誘導した』
止まる。
「誘導」
ノア。
「それ」
「やってる」
父。
俺の。
転生。
作ったわけではない。
でも。
行き先。
変えた。
「どこへ」
「本来」
「行くはずだった?」
記録。
『不明』
「分からない」
エリシア。
眉。
寄せる。
『確認できたのは』
『ルーク魂が』
『死亡後』
『中央泉へ』
『一時吸引された事実』
「泉?」
前世の俺。
死んだ。
魂。
中央の泉。
吸った。
そして。
『エドワードが』
『吸引を阻害』
『自家系統の』
『胎児魂座へ』
『誘導』
俺。
母。
全員。
止まる。
「胎児」
バーバラ。
顔。
白い。
「私の」
「子ども?」
日付。
俺が。
宿る。
少し前。
「父さん」
俺の魂を。
「母さんの」
「子どもに」
「入れた?」
言い方。
怖い。
でも。
記録。
違う。
『注意』
『胎児固有魂』
『未形成』
つまり。
別の魂を。
押し出した。
わけではない。
『魂座形成前』
『空の器』
「だから」
誰かを。
奪ってない。
少し。
安心。
でも。
父が。
選んだ。
「何で」
俺。
「俺を」
「自分の」
「息子に」
「した」
次。
手書き。
研究記録。
ではない。
父の。
字。
『理由は』
『研究ではない』
その下。
『私は』
『あの男を』
『哀れだと思った』
前世の。
俺。
『自分だけで』
『生きているつもりで』
『誰にも』
『頼らず』
『誰からも』
『愛されなくても』
『構わないと』
『言う男を』
『見ていられなかった』
俺。
言葉。
出ない。
『だから』
『もし』
『もう一度』
『生きる機会が』
『あるのなら』
『今度は』
『誰かに』
『愛される場所へ』
『送ってやりたいと』
『思った』
母。
泣く。
静か。
俺。
胸。
痛い。
前世。
死んだ。
その魂。
泉へ。
吸われる。
父。
止めた。
そして。
自分の。
家族へ。
入れた。
「それ」
ノア。
小さく。
「ルークが」
「最初」
「決めたこと」
「何」
「人に」
「愛される人生」
俺。
止まる。
転生した。
赤子。
前世。
自分。
もう一度。
人に。
愛される人生。
目指す。
そう。
決めた。
でも。
その前。
父も。
同じことを。
願っていた。
「偶然?」
俺。
記録。
最後。
『魂は』
『転生時』
『直前の』
『強い願いを』
『保持する可能性』
前世の俺。
死ぬ前。
何。
願った。
記憶。
事故。
痛い。
暗い。
誰も。
いない。
そして。
ほんの。
一瞬。
『次は』
声。
自分。
『誰かに』
『惜しまれる人間に』
断片。
戻る。
「俺」
言った。
死ぬ前。
たぶん。
思った。
「人に」
「愛される人生」
「父さんが」
「植えたんじゃない」
「自分で」
「願ってた」
父は。
その願いを。
見つけた。
だから。
行き先。
用意。
した。
◇ ◇ ◇
「でも」
エリシア。
声。
少し。
硬い。
「父は」
「勝手に」
「決めた」
その通り。
「ルークへ」
「聞かず」
「出生先を」
「選んだ」
母。
目。
拭う。
「そうね」
「良いことだけではない」
俺。
頷く。
「もし」
「俺が」
「別の場所に」
「行きたかったら」
「父さん」
「勝手」
「うん」
また。
一人で。
決めた。
父。
最後まで。
そこ。
「でも」
俺。
少し。
考える。
「今の俺は」
「ここで」
「良かったと思ってる」
母。
顔。
上げる。
「母さん」
「オリヴィア」
「ノア」
「皆」
「村」
「今世」
「好き」
言うの。
少し。
恥ずかしい。
でも。
言う。
「だから」
「父さんの」
「やり方」
「全部」
「正しかったとは」
「思わない」
「でも」
「結果は」
「俺」
「嫌じゃない」
エリシア。
静か。
「私は」
「父に」
「そういうこと」
「してもらえなかった」
痛い。
比較。
出る。
「うん」
「そこ」
「不公平」
俺。
すぐ。
言う。
「父さん」
「俺に」
「やったこと」
「姉さんにも」
「ちゃんと」
「言うべきだった」
エリシア。
止まる。
「姉さん」
「また」
「嫌?」
少し。
間。
「嫌じゃない」
「じゃあ」
「使う」
「勝手」
「嫌なら」
「言って」
「……分かった」
小さく。
笑う。
◇ ◇ ◇
「まだ」
ダグラス。
机。
見る。
「続きがある」
箱。
二つ。
一つ。
開く。
中。
白石。
小さい。
『最終記録』
父。
音声。
「聞く?」
俺。
皆。
見る。
エリシア。
少し。
迷う。
「聞く」
母。
「私も」
白石。
起動。
父の。
声。
『ルーク』
『もし』
『お前が』
『これを』
『聞いているなら』
『私は』
『もう』
『いないだろう』
零号。
ではない。
本物。
過去。
録音。
『まず』
『謝る』
母。
「また」
小さく。
怒る。
エリシア。
少し。
笑う。
『お前の』
『転生先を』
『勝手に』
『選んだ』
『正しいとは』
『思っていない』
『だが』
『あの時』
『中央泉へ』
『お前の魂を』
『渡したくなかった』
中央泉。
当時。
今の。
ネイ。
ではない。
人を。
離さない。
魂。
吸う。
『そして』
『私には』
『一つ』
『思いつく場所が』
『あった』
『バーバラの』
『そばだ』
母。
泣く。
『彼女なら』
『お前を』
『愛せると思った』
「父さん」
俺。
胸。
熱い。
『私は』
『父親として』
『優秀ではない』
エリシア。
目。
伏せる。
『それは』
『自覚している』
『だから』
『ルーク』
『私を』
『許さなくてもいい』
『ただ』
『もし』
『もう一度の人生で』
『誰かを』
『信じられるように』
『なったのなら』
『それだけで』
『十分だ』
間。
そして。
『エリシア』
姉。
身体。
固まる。
父。
知っていた。
この記録。
二人。
開ける。
だから。
姉へ。
残す。
『お前にも』
『謝る』
エリシア。
手。
震える。
『私は』
『お前を』
『娘として』
『愛する方法を』
『知らなかった』
静か。
『研究で』
『生まれた』
『それを』
『言い訳にした』
『お前へ』
『近づけば』
『自分の罪を』
『見ることになるのが』
『怖かった』
エリシア。
泣く。
初めて。
はっきり。
『だから』
『距離を取った』
『それは』
『お前のせいではない』
『私の』
『弱さだ』
母。
エリシア。
見る。
何も。
言わない。
『自由にしたいと』
『思った』
『だが』
『その言葉すら』
『本人へ』
『伝えられなかった』
『すまない』
エリシア。
声。
出ない。
『もし』
『お前が』
『まだ』
『第三鍵の予備として』
『生きているなら』
『やめていい』
『いや』
父。
少し。
間。
『やめてくれ』
姉。
息。
震える。
『私が』
『お前へ』
『与えた役割を』
『捨ててくれ』
『お前が』
『何を好きか』
『何をしたいか』
『私は』
『何も知らない』
『それを』
『今さら』
『悔やんでいる』
『だから』
『私のためではなく』
『自分のために』
『それを』
『探してくれ』
エリシア。
顔。
伏せる。
泣く。
止めない。
『二人へ』
父。
最後。
『兄妹として』
『仲良くしろとは』
『言わない』
「姉弟」
ノア。
小さく。
「そこ」
「今じゃない」
俺。
でも。
少し。
笑う。
『ただ』
『互いを』
『私の失敗の』
『理由にしないでくれ』
俺。
エリシア。
目。
合う。
『ルークは』
『エリシアを』
『奪っていない』
『エリシアも』
『ルークから』
『何も』
『奪っていない』
『私が』
『二人へ』
『違う形で』
『失敗した』
『それだけだ』
父。
明確。
『だから』
『もし』
『会ったなら』
『私のことは』
『二人で』
『好きなだけ』
『悪く言え』
母。
吹き出す。
涙。
出てるのに。
「それは」
「良いですね」
エリシアも。
泣きながら。
少し。
笑う。
『以上』
『エドワード・E・オリバー』
『最後の』
『個人記録』
音。
切れる。
白石。
消灯。
◇ ◇ ◇
誰も。
しばらく。
話さない。
エリシア。
最初。
「父」
「最低」
「うん」
俺。
「秘密」
「多すぎ」
「うん」
「勝手」
「うん」
「卑怯」
「うん」
母。
「そのくらいに」
「しなくていい」
何。
母。
少し。
笑う。
「もっと」
「言っていいです」
「母さん」
「かなり」
「怒ってる」
「当然です」
エリシア。
初めて。
母へ。
自然に。
笑う。
「バーバラ」
「何です?」
「あなた」
「面白い」
「よく」
「言われません」
「俺も」
「思う」
「ルーク」
「後で」
「何」
「説教」
「今」
「何も」
「してない」
「父親の悪口へ」
「乗りすぎです」
「母さんも」
「乗ってた」
「私は」
「妻です」
「強い」
ノア。
笑う。
空気。
少し。
軽くなる。
◇ ◇ ◇
「結局」
ノア。
俺。
見る。
「転生」
「誰が」
「起こした?」
「自然に」
「俺の魂が」
「転生しようとした」
「父さんは」
「行き先だけ」
「変えた」
「中央泉は?」
「一度」
「吸おうとした」
「じゃあ」
「ネイ」
「昔」
「ルークを」
「捕まえようとした?」
「たぶん」
今の。
ネイに。
言う。
必要。
隠さない。
「怒る?」
ノア.
「分からない」
「でも」
「話す」
第三の道。
次。
対話。
する。
「ルーク」
母。
「今」
「どう思ってる?」
前世。
今世。
父。
転生。
全部。
分かった。
「変」
「それだけ?」
「あと」
「少し」
「安心」
「何が」
「俺が」
「誰かを」
「押し出して」
「この身体に」
「入ったわけじゃない」
そこ。
怖かった。
自分が。
誰かの人生を。
奪った。
可能性。
なくなった。
「それから」
「父さんが」
「俺を」
「鍵にするために」
「転生させたんじゃなかった」
第三鍵。
後。
利用。
されかけた。
でも。
最初。
理由。
違う。
「愛される場所へ」
「送ろうとした」
母。
また。
泣きそう。
「成功?」
ノア。
俺。
母。
見る。
オリヴィア。
ゲイル。
ダグラス。
エリシア。
皆。
いる。
「かなり」
答える。
「成功」
母。
今度。
本当に。
泣く。
「母さん」
「泣く?」
「泣きます」
「俺」
「何か」
「悪い?」
「違います」
「なら」
「良い」
抱かれる。
最近。
多い。
でも。
嫌じゃない。
◇ ◇ ◇
その時。
第二の箱。
ノア。
見る。
「まだ」
「一個」
「ある」
「開ける?」
俺。
エリシア。
見る。
「今日は」
「もう」
「十分」
意外。
「姉さんが」
「言う?」
「疲れた」
「俺も」
「じゃあ」
「後」
母。
満足。
「そうしてください」
でも。
箱。
表。
文字。
見える。
『ルーク死亡事故』
『最終検証資料』
俺。
止まる。
前世。
俺が。
死んだ。
魔法実験事故。
ずっと。
自分の。
失敗。
そう。
思っていた。
「それ」
エリシア。
「明日」
「うん」
今。
開かない。
前なら。
絶対。
開いた。
でも。
今日は。
父。
転生。
姉。
十分。
「帰る?」
ノア.
「帰る」
「宿」
「休む」
「成長」
「うるさい」
◇ ◇ ◇
旧書庫。
出る。
階段。
上。
王立医術院。
昼。
明るい。
胸。
少し。
重い。
でも。
前とは。
違う。
俺は。
前世の。
罰として。
生き直したわけじゃない。
第三鍵になるために。
生まれ直したわけでもない。
誰かを。
救うためだけでもない。
ただ。
もう一度。
生きる機会があった。
そして。
父が。
少し。
勝手に。
行き先を。
選んだ。
それだけ。
なら。
この先。
何をするかは。
俺が。
決める。
役割。
ではなく。
俺自身が。
そして。
階段を。
上り切った時。
第三の道。
小さな。
声。
『ルーク』
「ネイ?」
『今』
『話す?』
「今日は」
「少しだけ」
『良い』
「ネイ」
「前世の俺」
「死んだ後」
「中央泉に」
「吸われたらしい」
長い。
沈黙。
『……私』
「たぶん」
『ごめん』
早い。
「覚えてる?」
『少し』
「何を」
『魂』
『一人』
『怖かった』
「俺が?」
『違う』
『私が』
ネイ。
当時。
誰か。
離したくない。
魂。
来た。
捕まえる。
また。
同じ。
「父さんが」
「俺を」
「引っ張り出した」
『怒る?』
「少し」
『私に』
「うん」
『ごめん』
「でも」
「今」
「俺」
「ここ」
『うん』
「次から」
「勝手に」
「魂」
「捕まえない?」
『捕まえない』
「約束」
『約束』
「なら」
「今は」
「それでいい」
『許す?』
「それは」
「まだ」
「分からない」
ネイ。
少し。
間。
『便利』
「便利」
『でも』
『話せる』
「うん」
『良い』
通信。
終わる。
過去。
また。
一つ。
出た。
でも。
今。
話せる。
変えられる。
それで。
進む。
そして。
明日。
第二の箱。
前世の俺を。
死なせた事故。
その最後の記録を。
開く。
俺が。
自分の失敗だと。
ずっと思っていた。
あの日。
本当に。
何が起きたのか。
その答えが。
まだ。
地下書庫に。
残っていた。




