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233/248

Ep233. 第三鍵を残したい男

北門の上。


 白衣の老人。


 ラドウィン・セルク。


 王家の元侍医長。


 第零研究室。


 旧王家監督官。


 老人は。


 こちらを見下ろしたまま。


 動かなかった。


「第三鍵は」


「捨てさせない」


 唇。


 確かに。


 そう動いた。


「聞こえた?」


 ノアが。


 俺を見る。


「声は」


「俺だけ」


「でも」


「言ってることは」


「見えた」


 ゲイル。


 御者台から。


 城壁を見上げる。


「罠か」


「分からない」


「北門は」


「安全って」


「セオドアは言ってた」


「昨日までは」


 ダグラス。


 低い声。


「状況が変わった」


 門の前。


 兵士。


 普通に。


 通行人を確認している。


 混乱。


 ない。


 ラドウィンだけが。


 異質。


「引き返す?」


 オリヴィア。


「いや」


 俺は答えた。


「王都に」


「入る」


 母。


 すぐ。


 俺を見る。


「無茶では?」


「門を」


「突破するわけじゃない」


「招集状もある」


「セオドアへ」


「先に連絡」


「うん」


 伝令板。


『北門上』


『ラドウィン・セルク確認』


『第三鍵廃棄を阻止する発言』


 返答。


 すぐには来ない。


「待つ」


 ゲイル。


「ここで?」


「門の射程外」


「それがいい」


 馬車。


 街道脇へ。


 止める。


 ラドウィン。


 こちらを。


 見ている。


 逃げる様子。


 ない。


 むしろ。


 待っている。


   ◇ ◇ ◇


 数分。


 伝令板。


 光。


『ラドウィン』


『王都内で』


『昨日確認されず』


『北門への配置命令なし』


「勝手に」


「いる?」


『王都警備隊へ』


『拘束要請送付』


 続き。


『ルークは』


『接近するな』


「了解」


 母。


 先に答える。


「俺が」


「返事」


「分かっています」


「早い」


 伝令。


『了解』


 送る。


 だが。


 その直後。


 城壁の上。


 ラドウィンが。


 杖を。


 地面へ。


 一度。


 突いた。


 ――コン。


 遠いはずなのに。


 音が。


 胸へ。


 直接。


 響く。


「っ」


 熱。


 また。


 胸。


「ルーク!」


 母。


 俺を。


 抱く。


「大丈夫」


「何が」


「前と同じ」


「声」


 老人。


 今度は。


 はっきり。


 頭の中。


『第三鍵機構』


『廃棄率』


『八十四』


「何で」


 ノア。


「ラドウィンが」


「分かるの?」


『間に合う』


 老人の声。


『今なら』


『まだ』


『戻せる』


「戻さない」


 俺は。


 声に。


 返事。


 してしまう。


 母。


 表情。


 険しくなる。


「ルーク」


「直接」


「話さない」


「でも」


「向こうが」


「頭に」


「なら」


「口では」


「返さない」


「分かった」


 ラドウィン。


 続ける。


『泉は』


『人を殺した』


『何百年も』


『奪った』


『それを』


『一度』


『会話しただけで』


『許すのか』


 許してない。


 ネイも。


 自分が。


 したこと。


 悪いと。


 認めている。


『根を消して』


『名前を付けて』


『善良になったと』


『信じるのか』


 そこ。


 怖い。


 俺も。


 完全には。


 信じていない。


 ネイが。


 また。


 人を。


 離せなくなる可能性。


 ゼロ。


 ではない。


『だから』


『消すべきだ』


 合理的。


 分かる。


 でも。


「返さない」


 俺。


 自分へ。


 言う。


 直接。


 声と。


 会話しない。


「ルーク」


 ノア。


 隣。


「何て」


「泉を」


「信用するのかって」


「僕は」


「全部は」


「信用してない」


「俺も」


「でも」


「消したい?」


「今は」


「思わない」


 それで。


 いい。


 一人で。


 答えない。


「母さん」


「私は」


「怖いです」


「ネイが?」


「はい」


「でも」


「変わろうとしている相手を」


「怖いからという理由だけで」


「消すことにも」


「賛成できません」


「ゲイル」


「俺は」


「また暴れたら」


「止める」


「それだけだ」


「ダグラス」


「医術師としては」


「経過観察」


「治療中の患者を」


「危険性があるからと」


「殺す選択はしない」


「オリヴィア」


「私も」


「今は」


「消さなくていいと思う」


「ノア」


「さっき言った」


「全部は信用してない」


「でも」


「話せるなら」


「話す方がいい」


 皆。


 同じではない。


 少しずつ。


 理由。


 違う。


 でも。


 今の答え。


 同じ。


「決まり」


 俺。


 胸の。


 熱。


 少し。


 下がる。


 ラドウィン。


 聞こえているのか。


 分からない。


 だが。


 城壁。


 老人の表情。


 変わる。


 笑み。


 消えた。


   ◇ ◇ ◇


 北門。


 上。


 兵士が。


 ラドウィンへ。


 近づく。


 二人。


 三人。


 老人。


 抵抗。


 しない。


「拘束?」


 ノア。


「そう見える」


 兵士。


 杖。


 取り上げる。


 手。


 後ろ。


 封魔具。


 装着。


「終わった?」


 オリヴィア。


「そんなに」


「簡単?」


 ゲイル。


 怪しむ。


 俺も。


 同じ。


 ラドウィンは。


 第三鍵を。


 残したい。


 なのに。


 抵抗なし。


「中へ」


 入る前に。


 兵士が。


 こちらへ。


 走ってくる。


「ルーク・E・オリバー様」


「様?」


「王家より」


「保護対象指定が出ています」


「いつ」


「つい先ほど」


「セオドア?」


「王立医術院長と」


「王城双方から」


 早い。


「ラドウィンは?」


「拘束しました」


「どこへ」


「王城ではなく」


「北門詰所へ」


「直接」


「接触しないよう」


「命令されています」


 ちゃんと。


 対応。


 してくれている。


「なら」


「入れる?」


「はい」


「ただし」


「護衛を」


「増やします」


 北門から。


 兵士。


 四人。


 追加。


「多い」


 ノア。


「良い」


 俺。


「一人じゃない」


「かなり」


 ゲイル。


 少し。


 笑う。


   ◇ ◇ ◇


 王都。


 北門。


 通過。


 久しぶり。


 石畳。


 高い建物。


 人。


 馬車。


 声。


 匂い。


 前世。


 何度も。


 歩いた街。


 でも。


 今は。


 小さい身体。


 馬車。


 母。


 皆。


 景色。


 違う。


「懐かしい?」


 母。


「うん」


「嫌?」


「少し」


「嬉しい?」


「少し」


「面倒」


 ノア。


「何が」


「気持ち」


「ネイみたい」


「人間」


「面倒」


「本当に」


 窓。


 外。


 王都。


 前世の。


 記憶。


 断片。


 店。


 橋。


 広場。


 でも。


 完璧ではない。


「ここ」


 俺。


「前」


「薬屋」


「今も」


 看板。


 違う。


「パン屋」


「変わった」


「前世から」


「何年?」


 ノア。


「俺が」


「死んで」


「今」


「そんなに」


「長くない」


「でも」


「店」


「変わる」


「うん」


 同じ場所でも。


 変わる。


 ネイ。


 関係。


 同じ。


   ◇ ◇ ◇


「まず宿」


 母。


「医術院」


「宿」


「でも」


「ラドウィン」


「宿」


「東門の子ども」


「宿」


「分かった」


 強い。


 王都。


 北区。


 小さな宿。


 王家側が。


 用意していた。


 一階。


 警護。


 二階。


 俺たち。


「ここ」


 安全?」


 ゲイル。


 兵士。


「王城警備隊が」


「確認済みです」


「出入口」


「二つ」


「地下」


「なし」


「隣接建物」


「距離あり」


 ゲイル。


 さらに。


 自分で。


 見る。


「まあ」


「悪くない」


 荷物。


 降ろす。


「休憩」


 母。


「一刻」


「長い」


「二刻にしますか」


「一刻」


 交渉。


 失敗。


   ◇ ◇ ◇


 部屋。


 ベッド。


 横。


 身体。


 思っていたより。


 疲れている。


「王都」


 着いただけ」


 なのに」


 ノア。


 隣の椅子。


「ルーク」


「顔」


「白い」


「そう?」


「うん」


 母。


 水。


 持ってくる。


「飲んで」


「はい」


「素直」


「もう」


「言われる前に」


「飲む」


「成長」


 ノア。


「うるさい」


 紫の欠片。


 荷物。


 光る。


『着いた』


 ネイ。


「分かる?」


『景色』


「まだ」


「送ってない」


『ルーク』


『違う』


「俺の」


「気持ち?」


『少し』


「第三流路?」


『欠片』


「便利」


『便利』


「ネイ」


「ラドウィン」


「見た」


『消す人』


「そう」


『怖い』


「俺も」


『第三鍵』


「今」


「どれくらい」


 少し。


 間。


『八十七』


「もうすぐ」


『止めない』


「うん」


『ルーク』


「何」


『私』


『悪い』


「したことは」


「悪い」


『それでも』


『生きる』


 質問。


 ではない。


 確認。


「うん」


『良い?』


 そこ。


「俺が」


「許可することじゃない」


『では』


「ネイが」


「決める」


「でも」


「他人を」


「傷つけないように」


「皆と」


「仕組み作る」


『皆』


「うん」


『分かった』


「ラドウィンとも」


「できれば」


「話す」


『私も』


「話したい?」


 少し。


 間。


『怖い』


「でも?」


『話す』


「じゃあ」


「勝手に」


「つながらない」


『同意』


「覚えてる」


『うん』


「ラドウィンが」


「嫌って言ったら」


『つながらない』


「良い」


『えらい』


「自分で言う」


 ネイ。


 少し。


 間。


『良い』


 いつもの。


「王都」


「景色」


「今」


「見せられる?」


 俺。


 窓。


 外。


 石造り。


 通り。


 塔。


 記憶。


 頭。


 強く。


 思い浮かべる。


 紫の欠片。


 反応。


『高い』


「建物?」


『多い』


「人も」


『多い』


「怖い?」


『少し』


「村より」


「ずっと」


「多い」


『ルーク』


『昔』


「いた」


『今』


「来た」


『違う』


「うん」


『良い』


 ネイ。


 景色。


 直接。


 奪わない。


 俺が。


 渡した。


 記憶だけ。


 見る。


「それ」


「大事」


『何』


「今」


「勝手に」


「俺の記憶」


「見なかった」


『同意』


「うん」


『覚えた』


「えらい」


『えらい』


 また。


 自分。


 褒める。


 でも。


 良い。


   ◇ ◇ ◇


 一刻。


 休憩。


 終わる。


 母。


 俺の顔。


 確認。


「行けそう?」


「うん」


「無理なら」


「戻ります」


「分かった」


 目的。


 王立医術院。


 東門で。


 保護された。


 名前のない子どもたち。


 それを。


 先に。


 見る。


「ラドウィンは?」


 ゲイル。


「北門詰所」


「まだ拘束」


 兵士。


「尋問は」


「王城側が」


「開始しました」


「俺たちは」


「後」


「そうだな」


 先。


 子ども。


 助ける。


   ◇ ◇ ◇


 王立医術院。


 大きな。


 白い建物。


 前世。


 何度も。


 来た。


 いや。


 働いた。


 記憶。


 胸。


 少し。


 ざわつく。


「ここ」


 ノア。


「知ってる?」


「前世の」


「職場」


「嫌?」


「少し」


「入れる?」


「入る」


 正面。


 セオドア。


 待っている。


「ルーク」


「久しぶりだ」


「そんなに」


「久しぶり?」


「こちらでは」


「色々ありすぎて」


「長く感じる」


「分かる」


 老人。


 俺。


 見る。


「顔色」


「悪いな」


「母さんにも」


「言われた」


「先に休むか」


「一刻」


「休んだ」


「なら」


「診察室で」


「座って話す」


「それなら」


「いい」


 母。


 横。


 頷く。


「私が」


「許可する形?」


「そうです」


 セオドア。


 少し。


 笑う。


   ◇ ◇ ◇


 医術院。


 奥。


 保護区画。


「東門」


 セオドアが説明。


「五人」


「北側」


「一人」


「合計六人」


「全員」


「子ども?」


「見た目は」


「七歳から」


「十五歳」


「記憶は」


「ほぼない」


「名前」


「分からない」


 ノア。


 隣。


 手。


 握る。


 自分。


 同じ。


「魔力は」


「白」


「模造?」


「そうだ」


「誰を」


「入れられてる?」


「まだ」


「判別できない」


「前世の俺?」


「違う」


 ノア。


 少し。


 安心。


 でも。


「じゃあ」


「何」


「一人」


「見てもらう」


 扉。


 開く。


 寝台。


 小さな。


 女の子。


 十歳。


 くらい。


 白い髪。


 いや。


 色。


 抜けて見える。


 リア。


 最初。


 似ている。


「名前」


 俺。


 近づきすぎない。


「分かる?」


 少女。


 首。


 横。


「怖い?」


 少し。


 頷く。


「俺」


「ルーク」


 少女。


 目。


 俺。


 見る。


 瞬間。


 白い魔力。


 大きく。


 揺れる。


「下がれ!」


 セオドア。


 でも。


 攻撃。


 違う。


 少女の口。


 開く。


 別の。


 老人の声。


『第三鍵』


 ラドウィン。


 声。


「何」


 ノア。


 顔。


 青くなる。


 少女。


 続ける。


『廃棄停止』


『代替鍵構築』


 白い魔力。


 身体。


 六本。


 細い線。


 壁。


 外。


 他の。


 五人へ。


 つながる。


「六人」


 俺。


「一つの」


「模造鍵?」


 セオドア。


 顔。


 険しい。


「そういうことか」


 ラドウィンは。


 一人へ。


 三つの生を。


 詰め込むのではない。


 六人。


 複数の器を。


 一本の鍵として。


 つなげようとしている。


「止める!」


 ノア。


 前へ。


「待って」


 俺。


「まず」


「本人たち」


「切れる?」


 セオドア。


「接続は」


「まだ浅い」


「だが」


「全員」


「同時でなければ」


「別の器へ」


「集中する」


「六人」


「同時」


「人」


「足りる?」


 医術師。


 いる。


 白石。


 ある。


 でも。


「何を」


「入れられてるか」


「分からない」


 俺。


 少女。


 見る。


「君」


「何か」


「聞こえる?」


 少女。


 震える。


 自分の。


 声。


 小さく。


「おじいさん」


「何て」


「鍵に」


「なれば」


「皆を」


「助けられるって」


「誰を」


「分からない」


「でも」


「しないと」


「悪い子って」


 胸。


 熱くなる。


 怒り。


「それ」


「嘘」


 俺。


「鍵に」


「ならなくていい」


「でも」


「皆」


「困る」


「困る人がいても」


「君が」


「自分を」


「なくす必要ない」


 少女。


 目。


 涙。


「名前」


「思い出せない」


「今」


「決めなくていい」


 ノア。


 横。


 しゃがむ。


「僕も」


「名前」


「奪われた」


 少女。


 ノア。


 見る。


「でも」


「今」


「ノアって」


「自分で」


「使ってる」


「あなたも」


「後で」


「決められる」


「本当?」


「うん」


「まず」


「この声」


「外す」


 ノア。


 俺。


 見る。


「助けよう」


「うん」


 六人。


 誰も。


 鍵に。


 しない。


   ◇ ◇ ◇


 セオドア。


 すぐ。


 医術師。


 集める。


 六室。


 同時。


「役割」


 俺。


「分ける」


 俺。


 一人目。


 ノア。


 二人目。


 ダグラス。


 三人目。


 セオドア。


 四人目。


 医術師。


 五。


 六。


「俺」


「子ども」


「一人」


「大丈夫?」


 母。


「直接」


「魔力」


「入れない」


「声」


「本人」


「戻す」


「危険なら」


「切る」


「私」


「ここ」


「いる」


「うん」


 ゲイル。


 全体。


 警戒。


 オリヴィア。


 白石。


 運ぶ。


 一人。


 一つ。


 役割。


「開始」


 セオドア。


 白石。


 六室。


 同時。


 光。


 少女。


 身体。


 震える。


『第三鍵』


『必要』


「いらない」


 俺。


『泉』


『危険』


「それを」


「決めるの」


「君じゃない」


 ラドウィン。


 声。


 少女。


 使う。


『子ども一人と』


『王国全体』


『比較しろ』


 前世。


 俺なら。


 比較した。


 一。


 多数。


 効率。


 でも。


「比較しない」


『なぜ』


「この子は」


「数じゃない」


 少女。


 俺。


 見る。


「君」


「何したい?」


「分からない」


「じゃあ」


「今」


「鍵」


「なりたい?」


 首。


 強く。


 横。


「それで」


「十分」


 白い魔力。


 揺れる。


 本人。


 拒絶。


「皆!」


 伝令。


 各室。


『拒絶確認』


 一人。


『拒絶』


 二人。


 三。


 四。


 五。


 最後。


 六。


『全対象』


『拒絶』


 白い線。


 一瞬。


 強く。


 そして。


 切れる。


 少女。


 胸。


 青白い。


 小さな。


 核。


 浮く。


「今!」


 セオドア。


 白石。


 全室。


 同時。


『模造接続』


『切断』


 六本。


 消える。


 少女。


 身体。


 力。


 抜ける。


「大丈夫!」


 俺。


 支える。


 脈。


 ある。


 呼吸。


 安定。


「他」


 伝令。


『全員』


『生存』


『接続解除』


 成功。


 ノア。


 隣室から。


 走ってくる。


「こっち」


「大丈夫!」


「名前」


「思い出した?」


「まだ」


「でも」


「自分の声」


「戻った」


 良かった。


 六人。


 鍵。


 ならない。


   ◇ ◇ ◇


 だが。


 その瞬間。


 王都。


 北。


 遠く。


 低い。


 鐘。


 一度。


 鳴る。


 紫の欠片。


 強く。


 光る。


『第三鍵機構』


『廃棄率』


『九十一』


 ネイ。


『ルーク』


「何」


『誰か』


『触る』


 何。


「どこ」


『鍵』


「ラドウィン?」


『違う』


 保存盤。


 セオドア。


 確認。


 顔。


 変わる。


「第零研究室」


「遠隔侵入」


「誰」


 表示。


『旧王家監督権』


『認証』


「ラドウィン」


「拘束されてる」


「本人でなくても」


 セオドア。


「監督権を」


「事前に」


「別へ移していた可能性」


「誰に」


 表示。


 名前。


 ない。


『権限保持者』


『未登録』


 未登録。


 でも。


 権限。


 ある。


「模造器」


 ノア。


「六人」


「囮?」


 俺。


 胸。


 冷える。


 ラドウィンは。


 自分が。


 拘束されること。


 分かっていた。


 その間。


 別の誰かが。


 第零研究室へ。


 触れる。


『第三鍵機構』


『廃棄停止要求』


 ネイ。


 すぐ。


『拒否』


 強い。


 でも。


 続き。


『旧王家監督権』


『強制保全命令』


「保全?」


 セオドア。


「まずい」


「何」


「中央泉の」


「自己廃棄より」


「王家監督権を」


「上位に設定した」


「昔の」


「仕組み?」


「そうだ」


 人間が。


 泉を。


 管理する。


 その思想。


 残っていた。


『第三鍵機構』


『廃棄停止』


 数字。


『九十一』


 止まる。


「ネイ」


 俺。


『嫌』


「分かってる」


『私の』


『鍵』


「うん」


『私が』


『消す』


「うん」


『人間』


『止める』


 怒り。


 ネイ。


 強い。


「ネイ」


「勝手に」


「つながらない」


『……うん』


「約束」


『約束』


「俺たちが」


「止める」


『皆』


「そう」


 まず。


 権限者。


 誰。


「セオドア」


「第零研究室」


「今」


「エレナ?」


「いる」


「アルバート?」


「いる」


「警備?」


「二人」


 少ない。


「未登録権限者」


「そこに」


「いる?」


 返答。


 数秒。


 エレナから。


『侵入者』


『確認』


「誰」


 通信。


 乱れる。


『白衣』


『女性』


「女性?」


 ラドウィン。


 老人。


 違う。


『年齢』


『二十代』


 エレナの。


 保存体。


 似た。


 でも。


 違う。


『名乗った』


「何て」


 エレナ。


 最後。


 短く。


『エドワード・E・オリバーの』


『娘』


 部屋。


 全員。


 止まる。


「父さんの」


「娘?」


 俺。


 知らない。


 母。


 顔。


 青ざめる。


「そんな」


 バーバラ。


 震える。


「エドワードに」


「娘なんて」


「いません」


 だが。


 通信。


 女の声。


 直接。


 割り込む。


『初めまして』


 若い。


 落ち着いた。


 声。


『弟』


 俺の。


 知らない。


 女。


『あなたが』


『ルークね』


 そして。


 最後。


『私は』


『エリシア・E・オリバー』


 第零研究室で。


 第三鍵の廃棄を止めた女は。


 父エドワードの娘。


 俺の姉だと。


 名乗った。


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