表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
232/246

Ep232. 王都へ向かう道

馬車は。


 北の街道を。


 ゆっくり進んでいた。


 村を出てから。


 まだ半日。


 それなのに。


 ずいぶん遠くまで来た気がする。


「疲れた?」


 向かいに座るノアが聞く。


「少し」


「馬車」


「揺れる」


「そこ?」


「身体」


「まだ完全じゃないから」


 ダグラスにも。


 何度も言われた。


 王都へ行く。


 それだけで。


 戦いに行くわけではない。


 だからこそ。


 途中で倒れるような無茶はするなと。


「休憩」


 バーバラが言う。


「次の宿場で」


「まだ早くない?」


「あなた基準では」


「早くありません」


 最近。


 母の判断へ。


 逆らっても。


 ほとんど勝てない。


「分かった」


「素直」


 ノア。


「うるさい」


   ◇ ◇ ◇


 街道。


 北側は。


 東街道より。


 人が少ない。


 森。


 低い丘。


 小さな集落。


 それだけ。


 王都へ向かう商隊も。


 ほとんど見ない。


「この道」


 オリヴィアが。


 窓の外を見る。


「昔」


「使われてた?」


「王都が」


「今の形になる前はな」


 ゲイル。


 御者台から。


 声だけ。


「北の鉱山から」


「石材を運ぶ道だった」


「今は?」


「東街道の方が」


「早い」


「だから」


「廃れた」


 遠回り。


 人が少ない。


 だから。


 待ち伏せも。


 しにくい。


「セオドアの」


「警告」


 俺は呟く。


 東門を使うな。


 マティアスは。


 もう拘束されている。


 それでも。


 誰が。


 俺たちを狙っていたのか。


 まだ。


 分かっていない。


「第零研究室の」


「関係者」


 ノアが言う。


「他にも」


「残ってる?」


「可能性はある」


「でも」


「今は」


「決めつけない」


「うん」


 前なら。


 怪しいもの。


 全部。


 敵。


 そう考えた。


 今は。


 確認する。


   ◇ ◇ ◇


 最初の宿場。


 小さい。


 十数軒。


 宿。


 食堂。


 馬小屋。


 鍛冶場。


 王都へ向かう旅人が。


 休む程度。


「ここで」


 一泊?」


 俺が聞く。


「今日は」


「ここまで」


 母。


「半日しか」


「進んでない」


「初日だからです」


「明日から」


「距離を伸ばします」


 ゲイルも。


 頷く。


「夜道は」


「使わない」


「警戒も」


「ある」


「分かった」


 荷物。


 降ろす。


 宿。


 二階。


 二部屋。


 俺。


 ノア。


 ダグラス。


 一つ。


 母。


 オリヴィア。


 もう一つ。


 ゲイル。


 外。


 護衛。


「俺たち」


「子ども部屋?」


 ノア。


「ダグラスいる」


「老人部屋」


「誰が老人だ」


 聞こえた。


「耳」


「良い」


「まだ悪くない」


   ◇ ◇ ◇


 夕食。


 宿の食堂。


 豆。


 干し肉。


 黒パン。


「鳥肉じゃない」


 ノア。


「ネイ」


「今」


「話してない」


「そうだけど」


 もう。


 鳥肉。


 少し。


 習慣になっている。


「王都まで」


 ダグラスが。


 地図を広げる。


「明日」


「川沿い」


「その次」


「山道」


「三日目に」


「北の関所」


「四日目」


「王都北門」


「予定どおりなら」


「招集期限」


「余裕」


 問題なし。


「王都に着いたら」


 母。


「まず」


「宿?」


「医術院」


 俺。


「駄目です」


「え」


「まず」


「宿へ荷物」


「休憩」


「それから」


「医術院」


「でも」


「セオドア」


「待ってる」


「待たせてください」


「泉も」


「待つ練習できた」


 ノア。


 笑う。


「セオドアも」


「できる」


「確かに」


 母。


「ルークより」


「大人ですから」


「俺も」


「中身」


「大人」


「最近」


「そうでもない」


 ノア。


「何」


「よく」


「怒られてる」


「それと」


「大人は」


「関係ない」


「大人も」


「怒られる」


 ダグラス。


「その通り」


 少し。


 笑う。


 普通の。


 旅。


 こんな時間。


 久しぶり。


   ◇ ◇ ◇


 食後。


 部屋。


 窓。


 夜。


 紫の欠片。


 俺の荷物の中。


 淡く光る。


「ネイ?」


 予定日ではない。


 でも。


 文字。


 短い。


『第三鍵』


「どうした」


『廃棄』


『七十三』


 早い。


「もう?」


『うん』


「大丈夫?」


『大丈夫』


「怖くない?」


 少し。


 間。


『少し』


「何が」


『ルーク』


「俺?」


『鍵』


『なくなる』


「うん」


『話せる』


「話せる」


『本当』


「第三の道」


「残す話」


「したでしょ」


『うん』


「だから」


「大丈夫」


『約束』


「約束」


 ネイ。


 少し。


 間。


『旅』


「今」


「宿場」


『知らない』


「小さい町」


『見たい』


「見せられる?」


 紫の欠片。


 第三流路。


 まだ。


 完全には。


 再構築していない。


 映像。


 送る。


 できるか。


 分からない。


「今は」


「難しい」


『残念』


「王都」


「着いたら」


「景色」


「覚えて」


「次」


「見せる」


『記憶』


「うん」


『良い』


 また。


 関係。


 形。


 増える。


「ネイ」


「ナエルと」


「話した?」


『少し』


「どうだった」


『怒った』


「どっちが」


『私』


「ナエルは?」


『泣いた』


「それで」


『話した』


「良かった?」


 長い。


 間。


『まだ』


「まだ?」


『でも』


『また』


『話す』


「それでいい」


『うん』


「おやすみ」


『おやすみ』


 光。


 消える。


 ノアが。


 隣の寝台から。


「聞こえてた」


「勝手に」


「聞くな」


「同じ部屋」


「仕方ない」


「ネイ」


「ちゃんと」


「おやすみ」


「覚えたね」


「うん」


 朝。


 おはよう。


 夜。


 おやすみ。


 時間。


 関係。


 続いている。


   ◇ ◇ ◇


 翌朝。


 出発。


 街道。


 川沿い。


 昨日より。


 速度。


 少し上げる。


 途中。


 何度か。


 休憩。


 母。


 厳しい。


「水」


「飲んで」


「さっき」


「もう一度」


「そんなに」


「必要です」


 ノア。


 横。


 笑う。


「ルーク」


「子ども」


「ノアも」


「飲んで」


「はい」


 母。


 二人。


 同じ扱い。


   ◇ ◇ ◇


 昼過ぎ。


 前方。


 道。


 馬車。


 一台。


 止まっている。


「止まれ」


 ゲイル。


 こちらも。


 速度。


 落とす。


 道端。


 壊れた。


 車輪。


 男。


 二人。


 女性。


 一人。


 困っている。


「旅人?」


 オリヴィア。


「たぶん」


 でも。


 俺たち。


 警戒。


 東街道ではない。


 人が少ない。


 こんな場所で。


 偶然。


「通り過ぎる?」


 ノア。


「怪我人」


 俺。


 見る。


 一人。


 男。


 腕。


 血。


「助ける」


 母。


 即。


「でも」


 ゲイル。


「罠の可能性」


「だから」


「全員降りない」


 役割。


 母。


 ダグラス。


 治療。


 ゲイル。


 警戒。


 オリヴィア。


 俺とノア。


 馬車。


「俺も」


「診る」


「駄目」


 母。


「窓から」


「見ていてください」


「医術知識」


「必要なら」


「呼びます」


「分かった」


 今。


 従う。


   ◇ ◇ ◇


 男の傷。


 浅い。


 車輪。


 外す時。


 金具。


 刺さった。


「大丈夫」


 ダグラス。


「縫うほどではない」


 処置。


 終わる。


 旅人。


 何度も。


 頭。


 下げる。


「助かりました」


「王都へ?」


 ゲイル。


「ええ」


「北門から」


「珍しい」


「東は」


「検問が」


「厳しくて」


 全員。


 少し。


 反応。


「検問?」


 ゲイル。


「何で」


「昨日から」


「王都東門」


「閉鎖に近いそうです」


「理由は」


「分かりません」


 セオドア。


 警告。


 東門を使うな。


 今。


 閉鎖。


「北門は?」


「普通に」


「通れると」


 旅人。


 嘘。


 ついている様子。


 ない。


「ありがとう」


 ゲイル。


「車輪」


「直せる?」


「時間が」


「かかります」


 俺たち。


 工具。


 ある。


「手伝う?」


 オリヴィア。


「ゲイル」


「時間」


 少し。


 迷う。


「一刻」


「それ以上は」


「進む」


 遠回り。


 でも。


 困っている人。


 無視。


 しない。


 父。


 最後。


 人を。


 助ける方。


 選べ。


   ◇ ◇ ◇


 車輪。


 応急修理。


 終わる。


 旅人。


 出発。


 俺たちも。


 再開。


「東門」


 ノア。


「何か」


「あった?」


「セオドアに」


「聞く」


 伝令板。


 短い。


『王都東門』


『閉鎖理由』


 返答。


 すぐ。


『昨夜』


『泉関連術式反応』


 何。


「泉?」


 第三鍵。


 廃棄中。


 ネイ。


 人への接続。


 停止。


「ネイじゃない」


 俺。


「たぶん」


 続き。


『反応は』


『中央泉由来ではない』


「じゃあ」


「何」


『第零研究室』


『旧式模造術式』


 マティアス?


 拘束。


 権限。


 失効。


「他の誰か」


 ゲイル。


 低い。


『犯人不明』


『東門地下に』


『模造魔力痕』


『複数』


 複数。


「ノアみたいな」


「器?」


 ノア。


 顔。


 強張る。


「分からない」


 俺。


「でも」


 模造。


 第零研究室。


 マティアス以外。


 誰か。


 使っている。


『北門』


『現状安全』


『予定変更不要』


 セオドア。


 そう言う。


「でも」


 母。


「王都へ着く前に」


「情報」


「集めたい」


「うん」


 宿場。


 次。


 そこで。


 聞く。


   ◇ ◇ ◇


 二日目。


 夜。


 宿。


 今度は。


 少し大きい。


 商人。


 旅人。


 多い。


 食堂。


 噂。


 自然。


 耳へ入る。


「東門で」


「人が倒れたらしい」


「何人?」


「五人」


「六人だって」


「白い顔して」


「名前も」


「分からないとか」


 俺。


 ノア。


 顔。


 見る。


 名前。


 分からない。


 白い顔。


「模造器」


 ノア。


 小声。


「可能性」


「高い」


「マティアス」


「もう」


「王都」


「拘束」


「じゃあ」


「誰が」


 分からない。


「第零研究室」


 ダグラス。


「昔の研究者」


「まだ」


「他に」


 残っていた?」


 エレナ。


 零号。


 セオドア。


 マティアス。


 父。


 アルバート。


 名簿。


 全部。


 でも。


 正式な。


 研究者だけ。


 だったとは。


 限らない。


「補助員」


「王家側」


「資金提供者」


 母。


「関係者」


「多かったかも」


「セオドアに」


「名簿」


「出してもらう」


 俺。


 伝令。


『第零研究室』


『全関係者一覧』


 返答。


 少し。


 時間。


『完全記録なし』


「やっぱり」


 続き。


『ただし』


『旧王家監督官』


『一名』


『記録確認』


 名前。


『ラドウィン・セルク』


「誰」


 ダグラス。


 表情。


 変わる。


「知ってる?」


「王家の」


「元侍医長だ」


「生きてる?」


「年齢なら」


「八十近い」


「今は?」


「十年以上」


「消息不明」


 嫌な。


 名前。


「第零研究室で」


「何してた」


 セオドア。


『王家側の』


『倫理監督』


 ノア。


 少し。


 笑わない。


「倫理?」


「ノアやリアみたいなこと」


「止める人?」


 本来。


 そう。


「なら」


「味方?」


「分からない」


 俺。


 すぐ。


 言う。


「肩書きだけ」


「見ない」


 過去。


 今。


 違う。


 そして。


 伝令。


 追加。


『ラドウィン』


『マティアスの』


『研究停止を』


『過去に複数回要求』


「止めてた?」


『そうだ』


「じゃあ」


「模造術式」


「使う理由」


 ない。


 でも。


『同時に』


『エドワードの』


『第三鍵研究継続を』


『強く支持』


 俺。


 止まる。


「父さん側?」


『第三鍵を』


『完成させ』


『中央泉を消滅させるべきと』


『主張』


 セオドアより。


 強い。


「今」


「第三鍵」


「消えてる」


 ノア。


「だから」


「止めたい?」


 可能性。


 ある。


 ネイが。


 自分から。


 第三鍵を。


 廃棄。


 それを。


 ラドウィンが。


 知ったなら。


「泉を」


「消す機会が」


「失われる」


 ダグラス。


「そう考えるかもしれん」


 旧王家監督官。


 泉を。


 危険。


 だから。


 消す。


 そのため。


 第三鍵。


 必要。


「東門の」


「模造器」


 俺。


「第三鍵を」


「別に」


「作るため?」


 ノア。


 身体。


 少し。


 震える。


 自分が。


 された。


 同じ。


「でも」


「本物の第三鍵機構」


「ネイが」


「消してる」


「だからこそ」


 俺。


「急いで」


「模造を」


「作ってる?」


 もし。


 そうなら。


 王都。


 まだ。


 終わっていない。


   ◇ ◇ ◇


 その夜。


 ネイへ。


 直接。


 伝えるか。


 迷う。


 第三鍵。


 廃棄。


 続行。


 ラドウィン。


 模造。


「知らせた方が」


 ノア。


「いいと思う」


「不安に」


「させる」


「でも」


「本人の」


「第三鍵」


「自分の問題」


「隠したら」


「セオドアと」


「同じ」


 その通り。


 情報。


 全部。


 渡して。


 選ぶ。


 紫の欠片。


『ネイ』


 光。


『何』


「王都で」


「模造第三鍵を」


「作ってる人が」


「いるかもしれない」


 長い。


 間。


『なぜ』


「ネイを」


「消したい人」


『私を』


「危険だって」


「思ってる」


『私は』


『人を』


『傷つけた』


「うん」


『だから』


『消す』


「そう考える人も」


「いる」


『悪い』


「したことは」


「悪い」


『なら』


『消すの』


『正しい?』


 難しい。


「俺は」


「そう思わない」


『なぜ』


「今」


「変わろうとしてる」


「それを見る前に」


「昔のことだけで」


「全部」


「終わらせるのは」


「違う」


『でも』


『また』


『傷つける』


「可能性は」


「ある」


『怖い』


「だから」


「第三根」


「共同管理」


「勝手に」


「つながれない仕組み」


「作る」


『皆で』


「うん」


 ネイ。


 少し。


 落ち着く。


「第三鍵」


「廃棄」


「止めたい?」


 これ。


 大事。


 ラドウィンが。


 模造。


 作るなら。


 第三鍵機構。


 残せば。


 対抗。


 できる可能性。


 でも。


 危険。


『止めない』


 即。


「いいの?」


『鍵』


『いらない』


「でも」


「誰かが」


「別の鍵」


「作る」


『それも』


『いらない』


「止める?」


『うん』


「どうやって」


『話す』


 俺。


 少し。


 笑う。


「相手が」


「話さなかったら」


『皆』


「で?」


『止める』


 それ。


 ネイ。


 覚えた。


 一人で。


 やらない。


「分かった」


『ルーク』


「何」


『王都』


「明後日くらい」


『気をつけて』


「うん」


『帰って』


「帰る」


『約束』


「約束」


 光。


 消える。


 そして。


 保存盤。


 遠隔。


『第三鍵機構』


『廃棄率』


『八十一』


 止めない。


 ネイ。


 自分で。


 選んだ。


   ◇ ◇ ◇


 三日目。


 山道。


 北の関所。


 王都。


 近づく。


 道。


 少しずつ。


 人。


 増える。


 兵士。


 商隊。


 巡回。


「警備」


 多い。


 ゲイル。


「東門の件」


「広がってる?」


 関所。


 兵士。


 招集状。


 確認。


「ルーク・E・オリバー?」


「はい」


 兵士。


 俺。


 見る。


 少し。


 驚く。


「もっと」


「大人だと思ってた」


「よく言われる?」


 ノア。


「言われない」


「今回だけ」


 兵士。


 慌てる。


「失礼しました」


「大丈夫」


 通行。


 許可。


 その時。


 兵士。


 声。


 低く。


「王都へ入るなら」


「北門でも」


「気をつけてください」


「何か」


「ある?」


「昨夜」


「北側でも」


「白い服の子どもが」


「一人」


「見つかった」


 ノア。


 表情。


 固まる。


「名前は?」


「分からないそうです」


「記憶も?」


「ほとんど」


 模造器。


 東だけではない。


 北。


 広がっている。


「保護先」


「王立医術院」


 セオドア。


 そこ。


「行く」


 俺。


 母。


 見る。


「王都に着いて」


「休んでから」


「分かってる」


 でも。


 心。


 急ぐ。


 ノア。


 横。


「僕も」


「会いたい」


「何で」


「同じか」


「確認したい」


「自分みたいな?」


「うん」


 もし。


 また。


 誰か。


 名前を。


 奪われているなら。


 助ける。


 今度は。


 俺たちが。


   ◇ ◇ ◇


 山を。


 越える。


 夕方。


 遠く。


 王都。


 見えた。


 高い城壁。


 塔。


 王城。


 前世。


 何度も。


 見た。


 場所。


「どう?」


 母。


「懐かしい?」


「少し」


「怖い?」


「少し」


「帰りたい?」


 俺。


 村。


 思い出す。


「今は」


「王都へ」


「行く」


「帰るのは」


「後」


 母。


 頷く。


 馬車。


 坂。


 下る。


 北門。


 もう。


 見える。


 そして。


 その瞬間。


 俺の胸。


 何も。


 ないはずの場所。


 ほんの一瞬。


 熱。


「ルーク?」


 母。


「何か」


「今」


 手。


 胸。


 青。


 ない。


 銀。


 ない。


 でも。


 何か。


 懐かしい。


 前世。


 王都。


 魔力。


 呼ばれたような。


 感覚。


「第三鍵?」


 ノア。


「違う」


 紫の欠片。


 光る。


 ネイ。


『違う』


「ネイ?」


『私じゃない』


「じゃあ」


 誰。


 王都。


 方向。


 胸。


 もう一度。


 熱い。


 今度は。


 声。


 俺にしか。


 聞こえない。


『ルーク・E・オリバー』


 男。


 老人。


 知らない声。


『ようやく』


『戻ってきた』


 北門の上。


 城壁。


 遠く。


 一人の老人が。


 こちらを。


 見下ろしていた。


 白衣。


 杖。


 胸元。


 第零研究室。


 三本枝の紋章。


 そして。


 王家の古い監督印。


「ラドウィン」


 ダグラスが。


 顔を上げる。


 老人。


 口元。


 笑う。


 声は。


 聞こえない。


 それでも。


 唇。


 読めた。


「第三鍵は」


「捨てさせない」


 王都へ。


 着く前から。


 最後の。


 第三鍵を巡る戦いが。


 始まろうとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ