↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/49

【第46話】テクノロジーフロンティア高校ロボコン部

テクノロジーフロンティア高校。通称テクティア。

IT企業出身の県知事肝いりで設立された、超理系特化の男子校である。

そして昨年度ロボコン県大会王者。

今年度も機堂(きどう)高校に立ちふさがる決勝の対戦校だ。

そこに真黒(まくろ)は来ていた。


「見よ、航(わたり)ジン一年生!これがテクティアロボコン部の部室だ。」

「なんで俺まで……。」


真黒の隣にはゲッコウのパイロットである航。

隠れてゲッコウの操作練習していたところを真黒に拉致され、わけもわからず連れてこられたのだった。

そして今、二人は両手足を縛られてロボコン部の部室に転がされていた。

そう、来ていたというのは訂正しよう。

二人は、テクティアロボコン部の部室に捕らえられていた。


「大会にも顔を出さずにいた貴様が、こっそりと部の資産を使っていたのを目こぼししてやっていたのだ。

 この程度のことでつべこべ言うな。」


愚痴る航に真黒が言う。

この人、今の状況がわかっているのか?


テクティアの部室は巨大だ。

機堂の体育館ぐらいはあるのではないかと思われる部室に、なお所狭しと様々な機械が設置されている。

そして自分たちに注がれる大勢の部員たちの視線。

その集団の先頭に紅一点、教師だろうか。女性が真黒を見下ろしていた。


「スパイに来たの?

 勝つためになりふり構わない姿勢は相変わらずね、真黒くん。」

「才鬼(さいき)ヤクモ顧問、賞賛と受け取っておこう。」

「えっ、なんです?部長、テクティアの先生と知り合いなんですか?」


名前で呼び合う二人を不思議に思った航に、才鬼と呼ばれたテクティアの女教師が答える。


「あなたが部長と呼んでいる男はね、元テクティアだったのよ。」

「えーっ!」

「一年生の一学期だけな。あれは我輩にとって若気の至り、黒歴史だ。」


才鬼の後ろからも「噂は本当だったのか」「初めて見た」などとどよめきが聞こえる。


「まあ、あまり格好良い形ではなかったから、あなたにとっては黒歴史かもね。」

「違うな。テクティアに入ったこと自体が馬鹿げていたのだ。

 ロボコンでフルオートのロボットなんてナンセンスだ。」

「そう?でもうちのヘカトンケイルは一昨年、去年と県大会二連覇中だわ。」

「三連覇はないさ。機堂が勝つ。」

「根拠は?」

「決まったタスクを高速で繰り返すならフルオートでよい。

 だが、ロボコンはそうではない。」

「私たちが生まれるより前ならそうだったかもね。でも今は違う。

 うちのAIに勝てる人間はいないわ。」

「論より証拠だ。うちのロボットを今ここで見せてやる。」

「…… 持ってきてるんですか、ゲッコウを?」


ああ、そういうことか。

航は驚きながらも状況を飲み込んだ。

岩田(がんだ)ウミが倒れたことは聞いていた。

つまり、残されたパイロットである自分に決勝戦の相手のスパイ、あわよくば実戦経験をさせようと連れてきたのだろう。


「こんなときでも真黒さんは相変わらずですね。

 でも、だいたい決勝戦なんて出られるんですか?」

「出るとも。大会の辞退はしていない。

 学校が何と言おうと、会場に行ってしまえばこちらのものだ。」


こちらを見ることもせず、真黒は答える。


「愚かな子ね、真黒くん。

 あなたはうちに残ればきっとロボコン部の…… いえ、テクティアの歴史に名を残せた。」

「やるのか、やらんのか?どっちだ、才鬼ヤクモ顧問!」

「でも機堂高校に行ったあなたは、人知れず高校生活を終えるのよ。

 あなたたちはここで負けて、決勝戦に出ることさえできない。」


才鬼は真黒たちに背を向け、テクティアの部員たちに指示を出した。

部員の一人が真黒たちの縄を解き、ほかの部員たちはロボットの準備を始める。

真黒と航もゲッコウを準備。

間もなく、二体のロボットがテクティア部室前で対峙する形となった。


テクティアのヘカトンケイルは漆黒の人型ロボットだ。

ただし、腕が四本あり、代わりに頭部がない。


「不気味なデザインのロボットですね……。」

「競技に特化したロボットだもの。頭みたいな飾りはいらないわ。」

「はっ!効率を追求する姿勢は大したものだが、ロマンのかけらもないデザインだ。」


真黒の因縁を無視して才鬼が言った。


「さて…… どこからでもどうぞ。」


ヘカトンケイルは静かだ。構えたりもしない。

ただ、二本の足で支えられ、四本の腕を携えた漆黒のボディが目の前にある。

攻撃すればボディに直撃させられそうだが、この余裕は何だ。


「航ジン一年生、かまわん。やってしまえっ!」


真黒の怒声が戸惑っていた航を突き動かした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。