【第44話】県大会準決勝 その5
「右足、直せよ。待っててやる。」
岩田ウミが男のような口調で言う。
西アスナはそのことにもはや疑問を持たない。
右足のロボット義足を付け直し、体制を整える。
「せっかくのチャンスでしたのに……。」
「武道の精神とやらかもしれんな。
妹を痛めつけられて怒り心頭に見えるが、律儀なことだ。」
やはり、リクは空手家失格などではない。
江波ツキ子は思った。
「負けたら許さんぞ、岩田リク二年生。くっくっくっ……。」
隣の真黒も、言葉とは裏腹に笑っている。
「岩田…… なんだな?いくぞ。」
「ああ、来いよ。お前は俺に勝てない。」
西が蹴りを放った。
コンパクトな回転から放たれる右ミドル。速い。
最高に研ぎ澄まされた蹴りだったが、ウミは打点を微妙にずらしてこれをガード。
逆に距離を詰め、西の軸足にローを放つ。
「ぐっ、弱者が強者にあらがうときの王道だな。岩田!」
西はウミの蹴りをもらいながらも頭のコアめがけて突きを放つ。
しかし、突きが当たるより前にウミが先ほどと反対の足にロー。
西がバランスを崩す。
「体格を過信しすぎだ、西。
お前が戦ってるのは女子高生じゃなくて装着型ロボットだぜ。」
ウミは西の膝に自分の足をかけ、巨体を駆け上がるようにして跳んだ。
そして膝蹴り。
西の顎が跳ね上がり、ついにその体はあおむけにひっくり返り地へ沈む。
「終わりだ、西。」
ウミは着地したその足で、西の頭のコアを踏みつぶした。
「コア破壊。準決勝は機堂高校の勝利ですっ!」
勝利のアナウンスが響く。
ツキ子はすぐさまウミに駆け寄った。
「リクくん…… リクくんですよね!?」
「…… ツキ子さん、俺……。」
さすがです!おめでとう!
とツキ子が言おうとした矢先、ウミはその場に倒れた。




